日本の萌えと世界の名画がコラボ!「絵師で彩る世界の名画」に大注目!

2016/5/24 13:00 Tak(タケ) Tak(タケ)


サイドランチから刊行となる『絵師で彩る世界の名画』に熱い熱い注目が集まっています。

誰しもが知る歴史的な名画の数々を、現代の「絵師(えし)」たちが、模写しオリジナル作品として描きあげています。




ところで「絵師」って何なの?という方もアートファンには多いかと思いますので、Wikipediaから引用しておきますね。

1990年代末ごろから使われるようになった用法で、主に日本の漫画やアニメ、ゲーム風の範疇に入る絵を描く画家・イラストレーターのこと。主にインターネット上で、作品を鑑賞する側から敬称の1つとして使われる言葉。

萌絵とか、アニメ絵とか苦手だ~と毛嫌いしていてはいけません。今では、すっかりひとつのジャンルを築きあげている絵師。「絵師100人展」といった展覧会まで開催されています。
http://www.eshi100.com/


そんな絵師たちが、歴史的名画を模写し描き上げると一体どんな作品が生まれるのでしょう。たとえば、日本でも高い人気を誇っているジョン・エヴァレット・ミレー「オフィーリア」。



ジョン・エヴァレット・ミレー「オフィーリア」(1852年・テート・ブリテン収蔵)


この絵をもとに絵師が描いたのがこちらです。





「えーー全然、イメージと違うよ~」とのお怒りの声もあろうかと思いますが、そっくりそのままトレースし模写したのでは、面白くもなんともありません。クリエイティブな仕事とは言えませんよね。

元絵を尊重し構図はそのままに、絵師の個性を存分に発揮した「作品」として捉えれば、とても魅力的に映るはずです。



43枚の名画を43人の絵師たちがそれぞれ思い思いに描いた作品はどれを観てもとても新鮮です。『絵師で彩る世界の名画』では見開きで、絵師のオリジナル作品と元となった名画を掲載してあります。比較してみるとより一層楽しめます。

また、単に絵だけを載せてあるのではなく、名画の解説も展覧会のキャプションと同等もしくはそれ以上に。驚くほど丁寧にされています。

自分の大好きなフェルメール作品もありましたが、ここではもう一枚、ロートレックのポスターをご紹介しておきたいと思います。



アンリ・ド・トゥルーズ=ロートレック「ディヴァン・ジャポネ」(1892~93年)


この作品が絵師さんの手にかかるととこうなります。





「オフィーリア」に比べると、とてもおとなしい印象を受けますが、多分この絵師さんかなりロートレック作品に精通しているのではないでしょうか。彼の作品は微妙なバランスの上に成り立っているので、配置や構図をちょっと変えただけでも、元絵と別物になってしまいます。

そこで、女性の顔だけをしっかりと描き他はほぼそのままで。でも一か所だけ遊び心を加え女性の右手の先にいる猫が、ロートレックの作品とは顔の向きが逆になっています。中々どうして芸が細かいです。


名画を模写することは、古今東西昔から盛んに行われてきました。日本人にとって有名なのはゴッホが浮世絵を模写していることが一例としてあげられます。

日本の「萌え」と世界の名画がコラボレートした今までありそうでなかった一冊。
これは大注目でしょう!展覧会企画しませんか!!





絵師で彩る世界の名画

名画こそが最良のお手本!
古きを知り、新しきを生み出す、現代の絵師ブームを美術史に刻むべく綴った意欲作。歴史的な名画と現代絵師とのコラボレーションを是非お楽しみください。




「模写という行為そのものは、真似ごとの域に入るのかもしれません。しかし面白いことに、時代や文化の違いを経て行われたとき、その価値観の差異が、あたらしい変化や意味、手法を生み出す可能性があるのです。
現代の絵師が紡ぐイラストと名画の間には、そうした可能性を秘めるに十分な隔たりがあり、絵師による名画の模写は、まさに格好の題材であるといえるでしょう。」