「マイナス金利」の今こそ知りたいアノ頃の金利!バブル期の貯金がスゴイことに!?
2月16日から日本でも「マイナス金利」がスタートしたことが話題となりました。ざっくりいうと、銀行などの金融機関が日本銀行にお金を預けても利子がつかないどころか、逆にお金を取られてしまう、という金融政策。欧州などでは一部導入されているそうですが、歴史的にも世界的にも、異例の政策であることは確かなようです。
うーん、正直あんまりピンときません。なにせ私はバブル経済研究家ではなく、ただひたすら過去をふりかえり続けるだけのバブル時代研究家です。そこで今回は30年以上前の1980年から、その年その年の「金利」をふりかえることで、現在の金利の異例ぶりを明らかにしてみます。ついつい懐かしの銀行・金融機関のCM動画を差し込んでしまうところはどうぞご容赦を。
ちなみに記事中の金利はすべて、郵便貯金の定額貯金(3年以上)の当時の金利を指します(出典は日本郵政公社の統計より)。
■1980年4月14日…8.00%
間違いではありません。かつて日本には、定額貯金で3年以上預けると年利8%もの利子がもらえた時代がありました。有名な「72の法則」に当てはめると9年ちょっとで元本が倍になるという、そこらのヘッジファンドもびっくりの高利回りです。つまりこのころ株に投資したら、それ以上の儲けが期待されていた、ということなんでしょうね…。
■1984年1月4日…5.75%
ロス五輪の年、金メダリスト・山下泰裕すらも、「チュウコクファンド(中期国債ファンド)」のセールスに駆り出されました。結局「チュウコクファンド」が何なのかよくわからないまま1997年、山一證券は自主廃業となりました。
■1987年3月16日…3.64%
(あとから見れば)世はバブルに突入。庶民たちのありあまるボーナスを、証券会社だけでなく銀行も狙い始めます。80年代、定額貯金の金利が4%台を割り込んだのは、この時だけでした。
■1989年6月19日…4.20%
元号が昭和から平成に代わったこの年、日経平均株価は3万円台後半を記録します。株は毎日ボンボン上がるのに、誰が銀行にお金を寝かしておくでしょうか。
ところがこのころ、利回りでみれば必ずしも有利とはいえないワリシンやワリコーといった無記名の割引金融債をせっせと購入する人たちが存在しました。”政界のドン”金丸信 元自民党副総裁が、表ざたにできない政治資金をワリシンなどで蓄財していたことが露見し、脱税容疑で摘発されるのは1993年のことです。
■1991年11月25日…5.50%
よくよく聞くと、BGMが松田聖子の「チェリーブラッサム(=さくら)」であることにお気づきでしょうか。太陽神戸三井銀行はこの翌年の4月から、さくら銀行へと改称します(現・三井住友銀行)。ジュリー・ドレフュスが美しい。
同じころ、協和銀行と埼玉銀行は合併し、協和埼玉銀行を経てあさひ銀行へ(現・りそな銀行、埼玉りそな銀行)。鷲尾いさ子と中山美穂のツインバブル感。
そして郵便貯金(現・ゆうちょ銀行)は、牧瀬里穂がフレッシュな笑顔で窓口業務に臨みます。BGMの「ミラクルラブ」は三菱電機とのダブルタイアップが成立していたことも驚きです。
■1994年3月1日…3.64%
バブル崩壊を経て、金利は再び3%台へ。新生活を富士銀行(現・みずほ銀行)のJリーグ通帳で始めたモックン。無地の通帳に切り替えることができたのは、はたしていつだったのでしょうか。
■埋もれているバブル期の通帳の残高が、ものすごい金額に膨れ上がっているかも?
「マイナス金利」の現代に戻りましょう。2016年3月現在、ゆうちょ銀行の定額貯金の金利は、わずか0.0025%。100万円預けて1年後に25円しか増えない、というのが現実です。
いっぽうゆうちょ銀行の「定額貯金シミュレーション」によれば、仮に1991年に20万円を定額貯金に預け、そのまま放置していたとしたら、25年後の2016年には税引き後でも33万8000円ほどになっている計算です。
バブル期に分不相応なお年玉をもらっていた記憶のある人は、いちど古い通帳を探してみることをおススメします。思わぬ臨時収入を発見したとしても、バブル時代のようなムダ使いはしないでくださいね!
(バブル時代研究家 DJGB)