ヒミツを歌う…女子中学生アイドル「amiina」ライブでの衝撃とは

2016/2/24 16:50 小池啓介 小池啓介


Canvas/○△□
Canvas/BootRock



ふたりの女子中学生が世界のすべてを歌いあげる。

それがamiinaというアイドルです。

2月13日、土曜日。週末の新宿区役所通りの先にある地下のライブハウスでは、壮大な世界の秘密が、たくさんの笑顔と少しの哀しみとともに歌われ、そこには奇跡としか呼びようのない時間が流れていました。

その空間をつくり上げていたのは、amiina(あみいな)。たったふたりの――それも中学生の――アイドルでした。


■ほころびを魅力に変える力

彼女たちを知るには、その楽曲を聴くのが一番の近道です。まずは「Drop」のPVをご覧ください。




いわゆるポストロック/エレクロニカを基調とした音に「耳を」奪われる感覚がたまりません。続いて歌詞を意識すると、優し気でけれども力強い言葉の連なりが心地よく、サウンドに一段と深みが増していきます。

9組目としてご紹介するamiina(あみいな)は、山井あみとかわいみいなの二人組。

グループ名は両者の名前をつなげたものです。2012年、なんと小学生の時期に結成されました。 これまで3枚のシングルをリリースし、自分たちで主催したイベントなども成功させています。

このグループの最大の特徴は、作詞・作曲・アレンジに込められた緻密な計算と、計算では生み出しえないふたりの歌声とのバランス感覚にあります。

まだ中学生ということもあり、時にその歌唱には不安定さが付きまといます。でも、それが一部の隙もない楽曲と不思議な調和をなしている。続いて見えてくるのは、未完成であるがゆえに放たれる原石のもつ輝きにほかなりません。

ほころびを魅力に変える力は、女性アイドルたちの持つ大きな不思議のひとつですが、amiinaのそれは群を抜いているといっていいでしょう。


■少女たちは世界のすべてを歌う

もう1曲「マインドトラベル」のライブ映像を。



amiinaの楽曲が表現するのは、一言でいうなら、“少女の目から見た世界のすべて”です。

ふとした瞬間に感じた偽りのない気持ち、これから続いていく未来への不安と希望――そういった一瞬も永遠もあわせて包み込んだ大小のあらゆる感情が、きめ細やかなサウンドと、彼女たちのプロデューサーである齊藤州一の歌詞の力、そしてふたりの歌声によって、普遍性をもって聴き手の心に届けられます。

作品にふれるたびに、僕たちオタクはamiinaのまなざしという“音楽”を通して、見たことのない世界の秘密を覗き込むような心地にすら、させられてしまう。彼女たちの音楽は、聴き手を実に不思議な感覚にみちびいていく。それはときに、自分自身の人生観の奥深くにまでも響いてくるのです。

いつも以上に極私的な感覚を吐露するなら、僕は彼女たちの音楽に、どこか「全体小説」と向き合うような感覚をおぼえます。そのくらいの“大きさ”を感じるのです。


そんなamiinaの“理念”が余さず詰め込まれた1曲「Canvas」をお聴きください。先日のライブでもクライマックスのシンガロングを生んだ現代音楽シーン屈指のアンセム(本気でいっていますよ)です。


「Canvas」Live ver.



■新しい季節へ

さて、残念ながら、2月13日のライブをもってメンバーのひとり、かわいみいながamiinaを脱退することになりました。

冒頭に書いた少しの哀しみとはそういう意味です。まあ、少しじゃないですね。グループにとって、大きな転換点に違いありません。

それでも楽曲は残ります。山井あみも活動を続けていく。
やがて訪れる次の季節にamiinaはどんな輝きを放つのだろう――彼女たちが生み出した楽曲を聴きながら、想像をふくらませていきたいと思います。

(小池啓介)