ヨーロッパやアメリカの美術館・博物館のサイトを見て驚くのは、数十万点に及ぶ所蔵作品の高精細デジタル画像を無料でダウンロードし、自分のブログで紹介したり、非商用利用であればオリジナルグッズを作ったりすることも可能なことです。



利用可能な画像を簡単に見つけ出せる特設サイトまで作っている美術館まであります。

アムステルダム国立美術館
https://www.rijksmuseum.nl/en/rijksstudio
メトロポリタン美術館
http://www.metmuseum.org/collection/the-collection-online

一日中どころか、一年かけても、見きれないほどの圧倒的な物量の名画のシャワーを浴びられるのです。気になる作品があったらズームアップし絵具のタッチまで画面上で確認出来ちゃいます。

それに対し、日本でのミュージアムはまだまだ閉鎖的です。所蔵作品の画像検索すらままならぬサイトが数多く存在します。多くの人に見てもらうためには、広く門戸を開かねばならないのに、頑ななまでに所蔵作品を守っているのが悲しいかな現状です。

いつになったら世界基準に追いつけるのでしょうか（果たして追いつけるものか…）



文化庁が運営する「文化遺産オンライン」
http://bunka.nii.ac.jp/

そんな絶望的な中にあってひとり気を吐き、ひと際光彩を放っているのが、驚くことなかれ、「文化の振興及び国際文化交流の振興を図るとともに、宗教に関する行政事務を適切に行うことを任務とする（文部科学省設置法第27条）」文化庁なのです。

めちゃめちゃお堅いイメージがあり、美術館・博物館以上に閉鎖的な感じを受ける文化庁ですが、「国指定文化財等データベース」や、マンガ、アニメ、ゲームなど扱う「メディア芸術データベース」を公開しています。
http://mediaarts-db.jp/

中でも「文化遺産オンライン」、「文化財高精細画像公開システム」(「e国宝」)は海外のミュージアムに勝るとも劣らぬ質の高さを誇っています。

「e国宝」
4つの国立博物館 （東京国立博物館、京都国立博物館、 奈良国立博物館、九州国立博物館）が 所蔵する国宝・重要文化財の高精細画像を、多言語（日本語、英語、フランス語、中国語、韓国語）による解説とともに ご覧いただくことができます。

「e国宝」のすごいのはパソコンだけでなく、iPhone、iPad、アンドロイドスマホでも観られるアプリを提供している点です。しかも無料！まだダウンロードされていない方、今すぐにでも！！掌で国宝を愛でられます。


「e国宝」
http://www.emuseum.jp/

文化庁の革新的な取り組みはこれだけに留まりません、TwitterやFacebookのソーシャルメディアアカウントを幾つも運営しています。
http://www.bunka.go.jp/social_account/


複数のソーシャルメディアアカウントの中でも今、最も熱い視線が注がれているのがTwitterアカウントのひとつ「文化遺産オンライン」@bunkaisanonline です。

　
https://twitter.com/bunkaisanonline

こちらもまだフォローしていない方いらしたら、今すぐにでも！タイムラインが文化的にそしてとても華やかになります。

更に注目する理由として「文化遺産オンライン」@bunkaisanonline の独自企画として「文化遺産ウィーク」を平成27年7月から平成28年6月まで毎月第1週目の5日間（月曜日から金曜日）に開催していることがあげられます。

文化庁が音頭を取っているのですから、美術館・博物館の公式Twitterアカウントも心置きなく安心してツイート出来ます。日本全国のミュージアムに眠っているお宝を毎月のテーマに沿ってTwitterで紹介していく。上手い事考えたものです。

因みに、既に終了してしまいましたが、第一回目の７月のテーマが、＃刀剣　であったのもかなり出来る「中の人」が文化庁にいることを匂わせます。刀剣乱舞（とうらぶ）人気のみならず、刀工にまつわるエピソード、裏話などなど、中の人だからこそわかるお話を満載した魅力あるツイートが、数多くの美術館、博物館からツイートされました。

文化庁主催の文化遺産ウィーク、今月は刀剣でしたが、昨日10日（金）で終了しました。その際に執筆したツイートをトゥギャッターにまとめました。おまけもついておりますので、是非ご覧下さい。http://t.co/LeslVKhej6　 #文化遺産 #刀剣

— 太田記念美術館 (@ukiyoeota) 2015, 7月 10

【立花家のアルバムより】運動会の様子。手前にいるのは立花家の少年。よく見ると「梨地杏葉紋蒔絵細太刀拵」を佩いています。江戸時代初期の作で、現在は立花家史料館所蔵。甲冑は11代藩主鑑備所用のもの。本格的すぎる騎馬戦。 #文化遺産 #刀剣 pic.twitter.com/pPLB0zXPFr

— 立花家史料館 (@TachibanaMuseum) 2015, 7月 8

美術館・博物館のデジタルアーカイブはまだまだ欧米のそれに追いつく気配はありませんが、140字で盛り込める内容がアルファベット利用の国々と比べ圧倒的に有利な日本語。

それと、日本人のTwitter好きを巧く巻き込んだ「文化遺産ウィーク」は世界に誇るべきWebイベントであるのです。

因みに「文化遺産ウィーク」は一般の方でも参加可能です。ハッシュタグを付けてツイートするだけですからね！まだまだ始まったばかりの「文化遺産ウィーク」。次回10月のテーマは「琳派」です。今からツイートをするネタを仕込んでおきましょう。


そういえば、今年から日本も参加したTwitter社主催のイベント「ミュージアムウィーク」も大いに盛り上がりを見せましたよね。


#MuseumWeek 2015
http://museumweek2015.org/

スポーツもツイートも観るだけでも十分面白く興味深いものですが、自分もやってみると何十倍も愉しめるものです。



【参考記事】
「日本におけるTwitterの活用は、世界を魅了し続けている」Twitterの共同創業者、CEO ジャック・ドーシー氏
「日本のユーザーがTwitterの使い方を発明している」Twitter Japan執行役員／事業成長戦略本部長の牧野友衛氏
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20150904_719602.html

「文化遺産オンライン」Twitterで＃文化遺産ウィークを開催
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=4019