絶景!雲の上に浮かぶ「ラピュタの道」は本当にあった
ジブリ映画「天空の城ラピュタ」といえば、日本人に最も知られている映画の一つだろう。
詳細な説明は割愛するが、作中には低気圧の雲の中を飛ぶ古城が登場する。授業中に教室の窓から遠くの雲を眺めながら「あの中にラピュタがいたらなぁ」と想像した人も多いのではないだろうか?かくいう私もその一人だ。
さてそんなラピュタに関する重要な噂を耳にした。
「天空の道」「ラピュタの道」となど呼ばれる、雲の上に浮かぶ道が実在するのだという。
これは何としても実際にこの眼でラピュタの道を見なければ気が済まない。しかしどこへ行けばいいのだろうか?
調べたところ、熊本県の阿蘇山のどこかにあるようなのだが、阿蘇は広大な上に土地勘が無いので難しい。というわけで単刀直入に「ここから車でラピュタの道」とgoogle先生に聞いてみたら、あっさり今いる旅先の宿から2時間の場所に存在した!これは行くしか無い。
しかし、ここで一つの問題が判明。ラピュタの道は3つの条件を満たさなければ、雲の上に浮かぶ姿を見るのは容易ではないのだという。それがこちら。
①最近雨が降ったばかりで、
②夜に風がなく晴れて急に冷え込んだ、
③その翌朝早くのわずかな時間
直前の天気、気温の変化、さらに時間まで限定されていて非常にシビアだ。
自然が相手なので待つしかないので、天気予報とにらめっこしつつ条件の揃いそうな日を念入りにチェックした。
さていよいよその日がやってきた。
前々日に大雨が降った上に、夜半から晴れて気温も日中の最高26℃→翌朝最低16℃予報と寒暖の差が大きい。
風は無風とまではいかず2m予報ではあるが、どうだろうか。行ってみなくては始まらないのでとにかく行ってみよう。
マップが示す場所は、阿蘇山の外郭をぐるりと囲む阿蘇外輪山の北西部分。牧場が多く立地することからミルクロードと名付けられた県道の脇だ。急に冷え込んできたことにより、道中はところどころ霧がかかっている。
そうこうしているうちに現地に到着。どうやらラピュタの道自体は補修のために通行止めになっているようだ。脇の小高い丘から見るのがいい眺めのようなので、そちらで夜明けまで待機してみる。
あれがラピュタの道と呼ばれている道のようだ。
丘の上の素敵な道ではあるが、空を飛んでいる感じではない。これが天空に浮かぶ感じになるのか?
さて、ここまで順調だった展開に陰りが出た。予報では晴れだったが、雲が思ったよりも多く、風も思ったより強い。
もしかしてこのまま条件が揃わず、雲の上に浮かぶラピュタの道は見られないのか!?と、あれこれ考えても仕方ないので、いったん車に戻って不貞寝して待つことに。
ふと目を覚ますと辺りが明るくなっている。ちょうど夜明けの瞬間のようだ。やや寝過ごした。急いで丘の上に戻ってみると眼下に広がる見事な雲海!
この雲海の発生条件こそが、あの3つだったのだ。
さて、ラピュタの道はどうなったのか?
期待と不安が入り交じる中、足取りがどんどん早くなる。丘の先端につき、目の前に広がったのは…
雲の上にぽっかりと浮かんで見えるその道はまさにラピュタの道!
「空に浮かぶラピュタの道は本当にあったんだ!」と映画であったようなセリフをとりあえず口にしてみる。この大自然の圧倒的な風景を前にすると、心が洗われるようだ。しかし、なんとこの雲海、日が昇り温度が上がり始めると、2時間程度で消えてしまうのだという。
▼動画版
ここによく来るという方に話を聞くと、昔はほとんど知る人のいない場所だったそうだが、ここ数年ネット等で口コミが広がり、人が訪れるようになったのだという。この日は初夏には珍しい当たり日で、三脚が多く並んでいた。さらに条件が良ければ、道のギリギリまで雲海が這い上がってよりラピュタ度の高い幻想的な様子を拝むことも可能だが、場合によっては雲海の中に沈んでしまうこともあるので、自然任せの賭け要素が高い、実に運任せの絶景スポットだ。
■見に行きたい!と思った方へ
ラピュタの道こと、阿蘇市道狩尾幹線は通行止めになっていることが多い上、古い農道で路面が細く荒れて相互通行が難しいので、通行はオススメできない。ミルクロード脇の丘の上などから一番美しい姿を眺めるのがいいと思う。
雲海は寒暖の差が大きい春と秋が出やすいが、それ以外の季節でもときおり出ることがある。条件の揃う日を根気よく見極めよう。雲海のない日や日中でも、天気さえ良ければ十分に絶景で、晩秋には黄金色の姿、冬には白くなった姿も見られる。特に駐車場などはなくスペースが限られるので、譲り合いって利用して欲しい。雲海の日は霧の中の運転になるので気をつけて。
(MOSS)
Twitter:@moss3rd
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