リカちゃんとは根本的に次元が違いすぎる、消えたペラペラの二次元人形が愛おしくてたまらない

2014/9/2 11:00 フレネシ フレネシ




こんにちは、フレネシです。

女性のみなさんは、子供の頃、どんなお人形で遊んでいたでしょうか?

私は、隣に住んでいた色白で美人なお姉さんに、前髪がセンターパーツでキリっとしたつり目、外ハネ巻き髪の二代目リカちゃんと双子の妹ミキちゃんとマキちゃんの片割れ(ほくろがあったのでおそらくマキちゃんの方)、家具付きのドールハウスのセットを譲ってもらい、それはそれは大切に遊んでいたことを覚えています。



↑隣のお姉さんにもらった2代目リカちゃん。

さて、それとは別に、当時よく遊んだ人形があります。それは、表に斜め正面からの顔とボディ、裏に斜め背後からの後姿が描かれたペラペラのビニール人形で、ペラペラながらスポンジの入ったふわふわした感触が心地良く、さらに全身に針金が入っており、二次元ながら椅子に座らせたりかばんを持たせたりといった三次元のポーズをとることができる、いわば2.5D的な位置付けの着せ替え人形でした。

この人形をどこで手に入れたかというと、当時家族でよく行った近所のデパートのレストランでした。お子様ランチをオーダーすると、おまけにおもちゃが付いてくるのですが、100円程度で買えそうなコマやゴム人形に比べ、着せ替え用の服まで大量についてくるこちらのセットは、多少古臭いデザインではあったものの、子供心にたいそう魅力的に思えました。

なぜこの着せ替え人形のセットだけがそれほどに豪華だったかというと、どうやらデパートのおもちゃ売り場の在庫処分だったようで、確かに80年代当時にしては、随分とレトロな髪型、服装をしていたように思います。

人形たちは、主に70年代にテレビアニメで放送されていた魔法少女のキャラクターをモデルにしたデザインだったのですが、私はそれらの放送をほとんど見たことがなかったため、キャラクターに先入観を持つことなく、単純に好きな顔か否かでどの子にするかを選び、思うままの人格を当てはめて遊んでいました。なお、私が遊んでいたのは、『魔法のマコちゃん』モデルでした。哀愁漂う青い目と知的なブルネットのポニーテールヘアが決め手となりました。



友人が家に遊びに来たとき、「この人形で遊ぼう」と提案すると、何人かは「服がダサい」、「顔がかわいくない」と言って嫌がりました。そう言いたくなる気持ちも理解できたので、だんだん友達には勧めなくなり、主に家でのみ、姉と二人で、あるいは一人で、この人形遊びをするようになりました。

ところで、どれくらいそのファッションが古臭いかというと、記憶を辿って衣装や髪型を再現すると…


そう、ちょうどこんな感じです。テレビアニメでミンキーモモやクリィミーマミが全盛期だった当時からすれば、ありえないほどに時代遅れです。ボトムスのシルエットは下に行くほど広がったベルボトムで、しかも裾には真っ赤なチューリップがついています。

これはほんの一例に過ぎません。母専用(と偽って入手しほとんど自分が遊んでいた)と姉専用の人形の服とトレードして、さまざまな組み合わせを楽しみつつ、相当日本的に噛み砕かれたネオ・ロマンティックかつサイケなレトロファッションの世界に浸り「めぐりめぐって今、オシャレなのでは!」と自らに言い聞かせつつ、ボディラインに全くあっていないビニールの服を着せたり脱がせたりして楽しんでいました。


なお、着せる際は、服の後ろにスリットが入っており、子供でも簡単に着脱できるようになっていました。また、靴は筒状になっていて足に履かせることができ、全く頭にフィットしていない帽子もスリット入りで、それなりにかぶせることができるようになっていました。

ところで、紙の着せ替え人形の場合、大抵は肩に衣装を引っ掛けるようになっていて、バックスタイルはびんぼっちゃま仕様というのが一般的ですが、こちらの人形は後ろから見ても何ら都合の悪いことはなく、二次元でありながら一歩先を行っているような誇らしさを感じたものです。

● 或る事件

それは、ある夏の午後のことでした。

私が持っていた人形の髪はかつらで取り外し可能だったのですが、人形で遊んでいたら隣で洋裁をしていた祖母が突然、

「何やその人形、髪が顔にかかって邪魔臭いな」

と言い放つや人形を取り上げ、おもむろに

「パチン!」

ともみあげの髪(今で言うところのアイドルなんかが顔の横に垂らしている「触角」の部分)を手に持っていた洋裁ばさみで切ってしまうという事件が発生しました。

祖母は、「これ作って」と雑誌に載っている服を見せただけで自ら型紙を起こし、同じデザインのものを作ってしまうほど洋裁が得意という繊細で家庭的な一面も持ち合わせているのですが、基本的には竹を割ったような男勝りな性格で、自らの好みに反するものには容赦なく「だらしない」、「みっともない」と切り捨てていくようなところがあり、それゆえ警戒はしていたものの、まさか人形のもみあげを切られるとは思わなかったため、ショックが大きくて、逆に私は、小さく

「ひっ」

と声を上げるにとどまりました。

それ以降も、もみあげのないマコちゃん人形で遊ぶ日々は続いたのですが、いつしか人形遊びも卒業し、衣装と共に箱に入れたまま、マコちゃんのことも忘れていきました。

さて、そんなペラペラ人形について、大きくなってから友人に尋ねてもほとんど知っている人はおらず、リカちゃんやジェニーちゃんに比べて、同世代には圧倒的に認知度が低いことが判明しました。ネットが普及してから検索して初めて知ったのですが、それは「タケミファッションポーズ人形」という名で売られていた人形のシリーズでした。現在は製造されておらず、おもちゃのアンティークショップなどでそこそこの高値で取引されているようです。なお、ヤフオクで探したところ、わずかですがヒットしました。

たくさんのおもちゃがあふれていて、プリキュアなど今の人気キャラクターで復活しても、数あるおもちゃのひとつに過ぎない存在となるであろうタケミファッションポーズ人形。でも、私にとっては、もう一度遊んでみたい、特別なお人形。もし、自分のグッズを好きに作っていいといわれたら、タケミファッション人形のネシ子ちゃんモデルを作って、レトロな着せ替え用の服をデザインし、思う存分、遊んでみたいと思います。



↑ネシ子ちゃんバージョンのタケミファッションポーズ人形、作ってみたい。