「鯖大師」に「魚籃観音」?!お寺で会える水辺の生き物大集合!!
4月8日は、お釈迦様の誕生を祝うお祝いする「花まつり」(「灌仏会」)が全国各地のお寺で開催される日です。
花まつりでは、天と地を指差したお釈迦様の誕生仏を白象の上に花を飾った花御堂に安置し、甘茶をそそぎ誕生をお祝いする仏教の大事な年中行事のひとつです。
渡辺おさむ作品《Sweets Elephant》
今年は、美術作家の渡辺おさむ氏が千葉県市川市にある「稲荷山雙輪寺」へ本物そっくりの スイーツを纏った白象作品を「花まつり」用に奉納し話題となりました。
一方で、沙羅双樹のそばの宝台上で、両手を体側につけて右脇を下にして体をまっすぐ伸ばし北枕で横になるお釈迦様が入滅された姿を描いた「涅槃図」では、死を悲しむ象や龍、鳥たちなど多くの動物が描かれています。
重要文化財「仏涅槃図」12世紀(平安時代)
古代インドが発祥の仏教にはこのように動物が欠かせない存在として、その教えやエピソードそして仏像などに多く登場します。
迫力ある仏像として人気の高い、十二神将も十二支の動物と習合した姿で表現されているものもあり、お寺や博物館で目にしたことのある方も多いはずです。
そんな動物たちと深い関係のある仏教ですが、魚や貝、亀など水辺を生息地とする生き物たちも探してみると意外なほど多く信仰の対象とされているのです。
今回は日本各地のお寺で会える水辺の生き物たちをまとめて紹介したいと思います。「仏教水族館」の幕開けです!!
「魚籃観音」薬王寺 (徳島県美波町)
三十三観音に数えられる観音菩薩の一つ魚籃観音(ぎょらんかんのん)。魚を入れたかごを手にさげている観音さまです。
wikiによると「中国唐の時代、魚を扱う美女がおり、観音経・金剛経・法華経を暗誦する者を探し、めでたくこの3つの経典を暗誦する者と結婚したがまもなく没してしまった。この女性は、法華経を広めるために現れた観音とされ、以後、馬郎婦観音(魚籃観音)として信仰されるようになったという。」とあります。
東京都港区の魚籃寺の本尊である「魚籃観世音菩薩」は毎年5月の第2土曜日だけ開帳となり秘仏です。
「精進落としの鯉」華厳寺(岐阜県揖斐郡)
西国33番満願霊場で、「谷汲さん」の愛称で親しまれる華厳寺御本堂にかかる「精進落としの鯉」。
本堂の両脇の柱に唐突に張り付いている鯉はかなりのインパクトと驚きがあります。
何故、お寺に鯉なのかその由来は定かではないそうですが、「登龍門」の語源となった鯉は縁起の良い魚として昔から貴ばれてきたので巡礼最後のお寺に相応しい存在なのでしょう。
「恵比寿像」瀧泉寺(東京目黒不動尊)
東京最初山手七福神のひとつ、目黒不動尊の三福堂に祀られている恵比寿像。大きく立派な鯛を両手で抱えるようにして持っています。
恵比寿神は釣りざおを持物としている像もありますが、鯛はそれこそ「おめでたい霊験」を人々に授けるものとして貴ばれています。
因みに恵比寿神は七福神の中で唯一、日本生まれの神様です。
「鯖を持って立つ大師石像」(鯖大師)八坂寺 (徳島県海陽町)
四国阿波国を中心として伝わる高僧伝説で、後に日本の各地に波及した民間信仰である鯖大師(さばだいし)。
八坂寺や円福寺(千葉県)には鯖を手に持った弘法大師像が伝わります。以下のような話が「鯖大師」伝説として語られています。
「あるとき、旅の僧が馬に塩鯖を積んだ馬子に出会い、鯖を乞うが馬子は僧を嘲りその願いを拒否する。馬子が去ろうとしたところ、僧が呪歌を唱えると馬が腹痛を起こし苦しみ始める。馬子が謝って鯖を与えると僧は再び呪歌を唱え、馬はもとに戻った。」(Wikiより)
「鮫様」(龍神・妙亀菩薩・鮫神像)金龍寺(北海道石狩市)
台座の中央に唐風の衣装をまとい龍に乗る「龍神」像、宝珠を持ち緋色の袴を着け鮫の上に立つ「鮫神」像、剣を携え亀の上に立つ「妙亀菩薩」像の三体の神像で構成されています。
鮫は、石狩地方のアイヌの人たちの伝承に見える「石狩川の主」としてのチョウザメと結び付くものと考えられているそうです。
お寺で会える魚を見てきましたが、その地域の文化や特性と密接な関わりがあることが分かります。そしてそれぞれ深い信仰心に由来するものです。
お寺にお参りし、魚や動物たちを見かけたら、どんな由来、関係性があるのだろう?と探求心を駆り立てる存在としてみるとより深くそのお寺や教えについて知ることが出来るはずです。
学校では教えない「どら焼き」「スジャータ」「インゲン豆」に共通するものとは?!
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身近にある仏教由来の食べ物などを紹介したこちらのコラムも合わせてどうぞ。
小学館のウィークリーブック『隔週刊 古寺行こう』では国宝・重文といった寺宝はもちろんのこと、「旅の栞」として寺院近くの美味しいお店や名物、銘菓も紹介されています。
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渡辺おさむ作品《Sweets Elephant》
今年は、美術作家の渡辺おさむ氏が千葉県市川市にある「稲荷山雙輪寺」へ本物そっくりの スイーツを纏った白象作品を「花まつり」用に奉納し話題となりました。
一方で、沙羅双樹のそばの宝台上で、両手を体側につけて右脇を下にして体をまっすぐ伸ばし北枕で横になるお釈迦様が入滅された姿を描いた「涅槃図」では、死を悲しむ象や龍、鳥たちなど多くの動物が描かれています。
重要文化財「仏涅槃図」12世紀(平安時代)
古代インドが発祥の仏教にはこのように動物が欠かせない存在として、その教えやエピソードそして仏像などに多く登場します。
迫力ある仏像として人気の高い、十二神将も十二支の動物と習合した姿で表現されているものもあり、お寺や博物館で目にしたことのある方も多いはずです。
そんな動物たちと深い関係のある仏教ですが、魚や貝、亀など水辺を生息地とする生き物たちも探してみると意外なほど多く信仰の対象とされているのです。
今回は日本各地のお寺で会える水辺の生き物たちをまとめて紹介したいと思います。「仏教水族館」の幕開けです!!
「魚籃観音」薬王寺 (徳島県美波町)
三十三観音に数えられる観音菩薩の一つ魚籃観音(ぎょらんかんのん)。魚を入れたかごを手にさげている観音さまです。
wikiによると「中国唐の時代、魚を扱う美女がおり、観音経・金剛経・法華経を暗誦する者を探し、めでたくこの3つの経典を暗誦する者と結婚したがまもなく没してしまった。この女性は、法華経を広めるために現れた観音とされ、以後、馬郎婦観音(魚籃観音)として信仰されるようになったという。」とあります。
東京都港区の魚籃寺の本尊である「魚籃観世音菩薩」は毎年5月の第2土曜日だけ開帳となり秘仏です。
「精進落としの鯉」華厳寺(岐阜県揖斐郡)
西国33番満願霊場で、「谷汲さん」の愛称で親しまれる華厳寺御本堂にかかる「精進落としの鯉」。
本堂の両脇の柱に唐突に張り付いている鯉はかなりのインパクトと驚きがあります。
何故、お寺に鯉なのかその由来は定かではないそうですが、「登龍門」の語源となった鯉は縁起の良い魚として昔から貴ばれてきたので巡礼最後のお寺に相応しい存在なのでしょう。
「恵比寿像」瀧泉寺(東京目黒不動尊)
東京最初山手七福神のひとつ、目黒不動尊の三福堂に祀られている恵比寿像。大きく立派な鯛を両手で抱えるようにして持っています。
恵比寿神は釣りざおを持物としている像もありますが、鯛はそれこそ「おめでたい霊験」を人々に授けるものとして貴ばれています。
因みに恵比寿神は七福神の中で唯一、日本生まれの神様です。
「鯖を持って立つ大師石像」(鯖大師)八坂寺 (徳島県海陽町)
四国阿波国を中心として伝わる高僧伝説で、後に日本の各地に波及した民間信仰である鯖大師(さばだいし)。
八坂寺や円福寺(千葉県)には鯖を手に持った弘法大師像が伝わります。以下のような話が「鯖大師」伝説として語られています。
「あるとき、旅の僧が馬に塩鯖を積んだ馬子に出会い、鯖を乞うが馬子は僧を嘲りその願いを拒否する。馬子が去ろうとしたところ、僧が呪歌を唱えると馬が腹痛を起こし苦しみ始める。馬子が謝って鯖を与えると僧は再び呪歌を唱え、馬はもとに戻った。」(Wikiより)
「鮫様」(龍神・妙亀菩薩・鮫神像)金龍寺(北海道石狩市)
台座の中央に唐風の衣装をまとい龍に乗る「龍神」像、宝珠を持ち緋色の袴を着け鮫の上に立つ「鮫神」像、剣を携え亀の上に立つ「妙亀菩薩」像の三体の神像で構成されています。
鮫は、石狩地方のアイヌの人たちの伝承に見える「石狩川の主」としてのチョウザメと結び付くものと考えられているそうです。
お寺で会える魚を見てきましたが、その地域の文化や特性と密接な関わりがあることが分かります。そしてそれぞれ深い信仰心に由来するものです。
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