約150点が集結する史上初の大規模展『大阪の日本画』開幕!

2023/1/28 18:00 明菜 明菜



大阪中之島美術館で開館1周年を記念する特別展『大阪の日本画』が開幕しました。会期は4月2日(日)までです。

近代大阪の日本画約150点が勢ぞろいする大規模な展覧会ですが、初心者からすると、まず「日本画に地域差があるの?」と引っかかるのではないでしょうか。

美術は、その土地の文化や生活を吸収して生まれるもの。実は地域差があるのは当然でして、作品には「場所」の個性が滲み出ます。


島成園「祭りのよそおい」大正2年(1913)大阪中之島美術館

近代日本画でよく取り上げられるのが、東京画壇と京都画壇です。しかし、本展が注目するのは大阪。「近代大阪の日本画」がまとまって展示される機会はこれまで少なく、これほど大規模な展覧会は本展が史上初とのことです。

(ちなみに「近代」は何年から何年までとカッチリ決まっているわけではないのですが、明治時代から昭和の戦争前後のあたりまでを近代とすることが多いかなと思っております)

市民が支えてきた近代大阪の美術は、伝統にとらわれない自由な表現が特徴です。画家が人や町に向けるまなざしが感じられる作品、大阪の文化が色濃く反映された作品など、ユニークな絵画ばかりです。


北野恒富「風」大正6年(1917) 広島県立美術館 前期展示(1/21〜2/26)

例えば、明治時代後半から昭和初期にかけて、北野恒富(きたの・つねとみ)とその弟子たちによって花開いた人物画です。ねっとりした艶めかしさがある女性の絵には、生活の中にある色気を感じます。

北野恒富の描く女性像って、女性の人生が滲み出ているような気がしてすごく好きなんですよね。私も日常生活でふとした瞬間に知り合いの女性たちの本性を感じてドキリとするのですが、そんなハッとする一瞬が描かれているように思います。


木谷千種「芳澤あやめ」大正7年(1918) 個人蔵(大阪中之島美術館寄託)前期展示(1/21〜2/26)

北野らの作品は、当時は「悪魔派」と揶揄されたそうです。そう言いたくなってしまう気持ちもわかるなあ……。

大阪の風俗を描いた菅楯彦(すが・たてひこ)は、伝統的な風俗や風景を題材とした絵を描き、自ら「賛」という文を書き入れ、四条派と文人画を融合させました。これが大阪人の感性に響いて広く愛されたそうで、新しいものを生み出す尖った感性が大阪らしいなと個人的には感じました。


菅楯彦「阪都四つ橋」昭和21年(1946)鳥取県立博物館 前期展示(1/21〜2/26)

近代の日本美術というと、どうしても東京や京都がフィーチャーされがちですが、大阪でも数多くの優品が生まれてきたことがわかります。史上最大の規模で開催される本展では、美術初心者のみならず、美術が好きでよく日本画の展覧会に行く方にも、新たな出会いがあるのではないでしょうか。




開館1周年記念特別展 大阪の日本画

会期:2023年1月21日(土)~4月2日(日)
※会期中展示替あり ●前期:1月21日(土)~2月26日(日)
●後期:2月28日(火)~4月2日(日)
休館日:月曜日(3月20日を除く)
開場時間:10:00~17:00(入場は16:30まで)
会場:大阪中之島美術館 4階展示室
https://nakka-art.jp/exhibition-post/osaka-nihonga-2022/