はじめての写真展の楽しみ方【初級編】秋冬のおススメ展覧会7選
この秋から冬にかけて写真関連の良い展覧会が続きます。
ただ、写真展って「どうやって見たらよいかわからない」「写真って誰でも撮れるしね」などと敬遠している人もいるのではないでしょうか?
実は、私も展覧会はある程度は見ていながらも、写真の展覧会に関してはいつまで経っても初心者から抜け出せません。まぁ、でも、そんな私が初心者ならではの、写真展の楽しみ方を、あくまでも一つの提案として挙げて見たいと思います。
なお、タイトルに【初級編】とありますが、私が初心者の間は中級や上級編はありません……
まず、見に行く写真展をどのように選びしましょう?写真展ですもの、ポスターやチラシに使われている写真がちょと気になったものを見に行っても良いでしょう。
展覧会の近くに行きたいカフェや美味しいご飯屋さんがある美術館を選ぶのも良いでしょう。自分の家から近いとか、行きやすい所でも良いですね。そんな選び方で良いと思います。
さて、展覧会に入ると、たいていは順路っぽいものがあり、壁などに作品がかかり、その前に作品を見ている人が居ます。人が多い展覧会では順路に沿って人が並んでいたりします。
まずは作品をサラッと見ながら、会場を1周してみましょう。気分は散歩がてらで良いです。順路は気にせず、最前列で見る必要もありません。作品を見ている人が居ればその後ろから眺める感じで良いです。
そう、まずはどんな作品が並ぶ展覧会なのか?なんとなく把握してみるのが大事。いきなり、方向性も判らずに、癖のある(?)一つ一つの作品に対峙しようとしても難しいですよね。まずどんな展覧会なのか、どんな作品を撮っている人のか、など全体を把握します。なんとなくで良いです。
この時にちょっと気になるな、目を引くな、と言う作品があるかもしれません。その時はその作品を覚えておきましょう。手元の作品リストに印をつけておいても良いです。気になる作品の前で少し立ち止まり、その作品だけを一度じっくり見ても良いです。
そして2周目に入ってみましょう。順路をさかのぼっても良いし、再入場出来るような会場なら入口へ再度行っても良いです。こんどは作品を近くで1点ずつ見ていきます。キャプションなどでタイトルなどを確認したり。新たに2周目で気になる作品が見つかるかもしれません。
それら気になった作品の前にきたらその時に、その作品に関してどこが好きなのか?気になるのか?など考えてみると面白いです。
色がきれいだから?景色が好きだから?写っている人が綺麗だから?不思議な感じがするから?
そして、その「どんなところが気になるか」を幾つも重ねていくと、自分はこう言うタイプが好きなんだな、と言うのが徐々にわかってきます。また、気にならなかった他の作品の中にも「気になるところ」が見えてくるかもしれません。
最初のうちは構図だの露出だのモチーフだの、写真の技術的なことはまずは考えずに見てみましょう。そして、自分の好きなタイプがわかってきたら、そこからその興味ある部分についてそれがどんな技術に基づくのかを調べて見ましょう。
アート全般について言えるかと思いますが、歴史や技術、関連した知識などについて知っていると、面白さが広がり、深くなるのは間違いないです。ただ、初めからそれが必要かと言うと、そうでも無い気もします。
まずは自分の好きなものがどんなものなのか。その興味あるものについて調べて見て。そこから広げるというのが良いのではないかと思います。
秋から冬にかけて都内で開催される写真関連の展覧会を幾つか紹介します。なんか素晴らしい展覧会ばかりでワクワクします。
写真展 はじめての、牛腸茂雄。
渋谷PARCO8階「ほぼ日曜日」 2022/10/7-11/13
https://www.1101.com/hobonichiyobi/exhibition/5449.html
ハンデキャップ持ちながらも写真を学び、36歳で亡くなった牛腸(ごちょう)茂雄。1970年代に写真集を出していますが1990年以降に再評価されています。
高木由利子 写真展 カオスコスモス 壱 - 氷結過程 -
GYRE GALLERY 2022/10/7-11/28
https://gyre-omotesando.com/artandgallery/yurikotakagi-chaoscosmos-vol1/
現代に活躍する写真家、高木由利子。自然が生み出す美を捉えた作品の展覧会。氷が出来ていく過程の氷結という現象を写真におさめた作品が並んでいます。
展覧会HPより
写真新世紀 30年の軌跡 写真ができること、写真でできたこと
東京都写真美術館 2022/10/16-11/13
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4309.html
キヤノンの文化支援プロジェクト「写真新世紀」。過去の歴代受賞作品から一般投票で選ばれた10作品を紹介する展覧会。青山 裕企(2007年優秀賞)、奥山 由之(2011年優秀賞)、澤田 知子(2000年特別賞)、蜷川 実花(1996年優秀賞)など早々たるメンバーが選出されています。同時にキヤノンギャラリー Sでも歴代のグランプリ/準グランプリ受賞者の受賞作品展も開催(2022/10/13-11/22)。
最近あちこちで名前を見かける、現代に活躍する写真家、川内倫子の個展。日本初公開のシリーズもふくめこの10年の作家の活動に焦点をあてた展覧会です。展示の空間設計を建築家の中山英之が手がけているのも見どころです。
太陽や宇宙などの大きなものから、町や日常などの身近な世界までを扱う、現代に活躍する写真家、野口里佳の個展。初期から近年の作品までを通し、作家が出会ってきた様々な現象や光景を描き出す展覧会のようです。
展覧会HPより
祈り・藤原新也
世田谷美術館 2022/11/26-2023/1/29
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00211
旅人であり、数多くの本や写真集を出している現代の作家・写真家、藤原新也の個展です。写真だけでなく、文筆、絵画など多岐にわたる作家の仕事を見る事ができる展覧会になるのではないかと思います。
1960から80年代に活躍した写真家、深瀬昌久の個展。カラスなどの題材を通じて、60から70年代の日本写真黄金時代とも言える時に新しい表現を切り開いた作家の活動を紹介する展覧会です。
苦手意識を持っている人も、是非、素晴らしい写真作品に出会ってみてください!