土偶の髪型を再現!縄文人はこんなにもお洒落に敏感だった!!

2022/8/14 08:30 Tak(タケ) Tak(タケ)

2021年7月に「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界遺産に認定されてから早いものでもう一年が経過しました。

未知なるパワーに惹かれる「土偶女子」が増加するなど、縄文遺跡やその時代の文化への注目度が高まっています。



2022年8月3日には、JTBのMOOK『るるぶ縄文』が発売されるなど話題に事欠きません。

るるぶ縄文』は、縄文時代の集落の様子、縄文人の狩りや食生活、土器や土偶の謎に迫り、縄文時代を訪れるように楽しめる1冊となっています。

また全国の縄文スポットや、縄文モチーフのグッズやグルメを紹介するほか、世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」の詳細ガイド、周辺情報も掲載しているので、世界遺産をテーマにした旅にも役立ちます。


JTBのMOOK『るるぶ縄文

では、なぜ故、縄文時代にこれだけ注目が今、集まっているのでしょう?単に古代へのロマンだけではないように思えます。

現代人の、毎日の生活にかかせないヘアメイクや化粧の起源はとても古く旧石器時代だと言われています。

縄文時代のメイクは、目や口、体などに顔料や穀物粉で模様を描くというもので、魔除けとしての意味合いも備えつつ、やはりお洒落をしたいという思いが端的に現われていると言えます。


竪穴式住居の再現(長野県千曲市)

土偶、埴輪のヘアメイクから縄文、弥生、古墳時代の美容を研究を行っているのが、学校法人国際文化学園の美容考古学研究所です。

歴史的遺物から当時の髪型や化粧を類推して再現することを主として活動しており、縄文人のヘアメイクを土偶を元に再現する意欲的な試みを行っています。


遮光器土偶の再現ヘア

縄文時代を代表する遮光器土偶からは髪の束を四方から寄せて中央でまとめた髪型で再現。

髪を結わくことを再現するにも、当時どのようなものが紐として使われていたのかも分かってはいないため、技術的な根拠から推測し再現しています。


三つ編み

縄文時代の土器や土偶には、縄をおしつけたような文様が多くみられます(写真の土偶は長野県山形村の三夜塚遺跡より出土したもの)。

縄文土器の出現は古く、紀元前5000~7000年には定着していたといわれるので、その頃には縄を編むという技術が存在しています。


橋型(九年橋遺跡)

ヘアスタイルをイメージできる古代の遺物というものは珍しいのですが、縄文時代中期の土偶からは、髪型と思われるものが確認できるようになりました。

土偶で現わされた髪型を観ていくと次第に、<編み込み>や<ツイスト>といった技術もみられるようになります。


リボン型(鐙田遺跡)

後期になると、関東地方で「ミミズク系」「山形系」といった系統が誕生します。

晩期には大きなひねりを横につくったり、空間を感じさせるスタイルができたり、遮光器系土偶特有の「トラス形」といった複雑なデザインも多くみられるようになりました。

土偶髪型のバリエーションはたいへん豊富で多種多様です。デザインの高さも、現代の我々から見ても非常に美しく、優れたデザインであることが窺えます。


フロントロール(立花遺跡)

日本歴史の中で髪型が取り上げられるのは平安時代や明治時代が多いのですが、縄文時代にもこのような様々なヘアスタイルが存在していたのです。

しかも、現代的でとてもオシャレであったということが学校法人国際文化学園の美容考古学研究所が、研究を進めてわかってきました。


土偶髪型再現:土偶髪型のバリエーションの豊富さと デザイン性の高さに迫る

先史である縄文時代は文字のない時代ゆえ、文献が残っておりません。

しかし、当時の生活を知るヒントになり、とても重要なものとなる土偶が日本各地の遺跡から数多く出土しています。

縄文時代の土偶には、時代の習俗が反映されているため、出土されている土偶のヘアスタイルから、それが実際に人の髪で再現できるのか否かを研究し、技法の再現を試みることは大変意義深いものと言えます。

それにしても、何と豊かな時代だったのでしょう。モノや情報に溺れて身動きの取れなくなっている現代人には、とても真似できない、自由なお洒落への渇望がそこにはあります。

縄文時代に注目が集まる理由も自ずと分かってきますよね。


土偶を読む図鑑』竹倉 史人 (著)