上映中の映画『リコリス・ピザ』は小林亜星と西城秀樹が親子を演じた『寺内貫太郎一家』に似ている?意外な共通点とは
⑤『寺内貫太郎一家』と同時期の大ヒット映画『アメリカン・グラフィティ』との共通点と違い
『リコリス・ピザ』が直接影響を受けた作品はズバリ『アメリカン・グラフィティ』(1973年)。
後に『スター・ウォーズ』を作る脚本・監督のジョージ・ルーカス(1944年5月14日生れ)が大ヒットさせた初めての作品だ。
『アメリカン・グラフィティ』の舞台は、1962年のカリフォルニア州モデスト。
ジョージ・ルーカスの故郷である。
夏の一晩を描いた高校生達の群像劇である。
『アメリカン・グラフィティ』の主人公達は車で常に行動する。
『リコリス・ピザ』では、車内でアラナとゲイリー達の仲間と一緒にいる画面と重なる。
1962年と1973年の時代の風俗は違う。
大人になろうと必死にもがく年頃の雰囲気が共通していた。
その過程では、自分の親以外の大人から学ぶ必要がある。
父親はただの大きな壁で、自分をちっとも理解してくれない分からず屋のようだ。
きっと、親以外の大人が自分を本物の大人に救い上げてくれるに違いない。
アラナ・ケイン(アラナ・ハイム)はそう思い込んでいる。
『リコリス・ピザ』の中で『トコサンの橋』の監督レックス・ブラウと言う人物が登場する。
レックス・ブラウは直接のモデルは『トコリの橋』の監督マーク・ロブソン(1913~1978)だ。
『トコリの橋』は、朝鮮戦争下の横須賀基地を舞台にした戦争映画である。
(レックス・ブラウを演じるトム・ウェイツ イラストby龍女)
さて、レックス・ブラウのモデルは実は他にもいる。
筆者は、予告編の時に現役のある映画監督に見た目がよく似ていると思った。
トム・ウェイツだとすぐに認識できなかった。
それはロン・ハワード(1954年3月1日生れ)である。
いきなり、名前が出てきてだれ?と思うかもしれない。
実は『アメリカン・グラフィティ』の準主役を演じた子役出身の人物である。
主人公のゲイリー・ヴァレンタインのモデル、ゲーリー・カーツマンと同じく子役から裏方に転じた。
大人の男は、見た目が老けただけで中身はゲイリー・ヴァレンタインと大して変わらない。
ようやく親の存在が想像していたよりも、自分の将来を遮る高い壁では無い事に気づき始める。
『アメリカン・グラフィティ』の舞台の1962年のモデストは、田舎だ。
『リコリス・ピザ』の舞台1973年のサン・フェルナンドバレーと比べると働いている大人の数が圧倒的に少ない。
ジョージ・ルーカスの分身の高校生は、自分がなりたい大人の姿は、田舎には無かった。
一方、ポール・トーマス・アンダーソンの故郷、サンフェルナンド・バレーにはなりたい大人の姿があった。
しかし、その正体は大して年を重ねて思い出が増えただけで、中身はアラナ・ケインと大して変わらない。
『寺内貫太郎一家』の舞台の東京の下町も、近所に働く大人がいっぱいいる。
なりたい大人の姿もある。
しかし、周平(西城秀樹)の祖母のきんは
「ジュリー~~」
と中高生と変わらず当時のアイドルでもあったロック歌手の沢田研二が大好きである。
(『寺内貫太郎一家』の寺内貫太郎の母きんを演じる樹木希林 イラストby龍女)
大人と子供の世界は分断されているのではなく、地続きなのに気づいて、少しづつ大人になる。
『リコリス・ピザ』は、『アメリカン・グラフィティ』の要素に、舞台の1973年の空気が存在する大都市の郊外の様子が細かく描かれる。
図らずも同時代を描いていた『寺内貫太郎一家』の寺内周平目線を、『リコリス・ピザ』のアラナ・ケインで当てはめて読み解いてみた。
一致する事が多い事に改めて気づかされたのである。
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『リコリス・ピザ』が直接影響を受けた作品はズバリ『アメリカン・グラフィティ』(1973年)。
後に『スター・ウォーズ』を作る脚本・監督のジョージ・ルーカス(1944年5月14日生れ)が大ヒットさせた初めての作品だ。
『アメリカン・グラフィティ』の舞台は、1962年のカリフォルニア州モデスト。
ジョージ・ルーカスの故郷である。
夏の一晩を描いた高校生達の群像劇である。
『アメリカン・グラフィティ』の主人公達は車で常に行動する。
『リコリス・ピザ』では、車内でアラナとゲイリー達の仲間と一緒にいる画面と重なる。
1962年と1973年の時代の風俗は違う。
大人になろうと必死にもがく年頃の雰囲気が共通していた。
その過程では、自分の親以外の大人から学ぶ必要がある。
父親はただの大きな壁で、自分をちっとも理解してくれない分からず屋のようだ。
きっと、親以外の大人が自分を本物の大人に救い上げてくれるに違いない。
アラナ・ケイン(アラナ・ハイム)はそう思い込んでいる。
『リコリス・ピザ』の中で『トコサンの橋』の監督レックス・ブラウと言う人物が登場する。
レックス・ブラウは直接のモデルは『トコリの橋』の監督マーク・ロブソン(1913~1978)だ。
『トコリの橋』は、朝鮮戦争下の横須賀基地を舞台にした戦争映画である。
(レックス・ブラウを演じるトム・ウェイツ イラストby龍女)
さて、レックス・ブラウのモデルは実は他にもいる。
筆者は、予告編の時に現役のある映画監督に見た目がよく似ていると思った。
トム・ウェイツだとすぐに認識できなかった。
それはロン・ハワード(1954年3月1日生れ)である。
いきなり、名前が出てきてだれ?と思うかもしれない。
実は『アメリカン・グラフィティ』の準主役を演じた子役出身の人物である。
主人公のゲイリー・ヴァレンタインのモデル、ゲーリー・カーツマンと同じく子役から裏方に転じた。
大人の男は、見た目が老けただけで中身はゲイリー・ヴァレンタインと大して変わらない。
ようやく親の存在が想像していたよりも、自分の将来を遮る高い壁では無い事に気づき始める。
『アメリカン・グラフィティ』の舞台の1962年のモデストは、田舎だ。
『リコリス・ピザ』の舞台1973年のサン・フェルナンドバレーと比べると働いている大人の数が圧倒的に少ない。
ジョージ・ルーカスの分身の高校生は、自分がなりたい大人の姿は、田舎には無かった。
一方、ポール・トーマス・アンダーソンの故郷、サンフェルナンド・バレーにはなりたい大人の姿があった。
しかし、その正体は大して年を重ねて思い出が増えただけで、中身はアラナ・ケインと大して変わらない。
『寺内貫太郎一家』の舞台の東京の下町も、近所に働く大人がいっぱいいる。
なりたい大人の姿もある。
しかし、周平(西城秀樹)の祖母のきんは
「ジュリー~~」
と中高生と変わらず当時のアイドルでもあったロック歌手の沢田研二が大好きである。
(『寺内貫太郎一家』の寺内貫太郎の母きんを演じる樹木希林 イラストby龍女)
大人と子供の世界は分断されているのではなく、地続きなのに気づいて、少しづつ大人になる。
『リコリス・ピザ』は、『アメリカン・グラフィティ』の要素に、舞台の1973年の空気が存在する大都市の郊外の様子が細かく描かれる。
図らずも同時代を描いていた『寺内貫太郎一家』の寺内周平目線を、『リコリス・ピザ』のアラナ・ケインで当てはめて読み解いてみた。
一致する事が多い事に改めて気づかされたのである。
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