チェコの学生が日本の日常を描いたコミックを紹介する展覧会!
チェコの西ボヘミア大学でコミックを学ぶ学生たち、その学生が東京都杉並区の日常を漫画で描いた作品が展示された展覧会をご紹介します。
この西ボヘミア大学で教えているヴァーツラフ・シュライフ教授と日本の井荻に住むジャン=ギャスパール・パーレニーチェク氏の二人が、西ボヘミア大学の学生たちに出した課題が元になっている展覧会「IOGI チェコ・コミックに描いた日本の日常」です。
西ボヘミア大学は女子美とは学術交流協定校。「女子美ガレリアニケ」とは女子美術大学杉並キャンパス1号館1階に併設されているギャラリーです。
また、この展覧会は昨年にチェコセンター東京、杉並区立郷土博物館別館、高知県須崎市民文化会館を巡回。単行本『Iogi』は第15回日本国際漫画賞で銅賞を獲得、チェコ作品としては初の日本国際漫画賞入賞です。
異文化と通してコミックを描くという課題を出したのが西ボヘミア大学のヴァーツラフ・シュライフ教授。課題の第一弾として日本を取り上げました。
チェコにとって日本と言う国は「フジヤマ」「スシ」「シンカンセン」など、目に付く文化のイメージが強く、その印象のみしか持っていないということも多いようです。きっとそれは他の国でも同じでしょう。
ただ、そこには血の通った「人」がいて、「生活」している。そういった「人間」そのものを見つめ、その「日常」に目を向けることを課題のテーマとしたとのこと。
実際にコミックを描いた学生たちは来日経験は無いそうです。「本質」と「イメージ」の差を感じることなどを考えていく課題でした。
その課題に参加し、監修とストーリーを手掛けたのが日本の井荻(東京都杉並区)に住むジャン=ギャスパール・パーレニーチェク氏。パーレニーチェク氏が送った2000枚ほどの写真や指導により学生たちの作るコミックは完成していきます。ヨーロッパと日本でのしぐさの違い、タクシーのドアの開き方などとても細かい点にまで監修が入っています。
海外文化を取り入れた日本の文化を更にチェコの作品に取り入れられるという面白い現象も起きていました。ストーリーも井荻に住む人の日常を切り取ったもの、「キョウト」「フジサン」「ニンジャ」など日本の目立つ文化をモチーフにしならがら「人」を見つめているものなど様々でした。
ロックバンドがゴミを捨てる曜日について歌っている、かと思ったら、そのバンドメンバーの仕事がまさかの……!などコミックらしい仕掛けがある作品などもあり。
コミック作家として活躍するヴァーツラフ・シュライフ教授の技術指導。シュライフ教授が武蔵野美術大学に交換留学生として来日した際に実際に感じた日本のイメージとの差異。そこで知り合ったジャン=ギャスパール・パーレニーチェク氏との交流と互いへの尊敬。パーレニーチェク氏の井荻への愛。それらが重なって産まれた企画です。
IOGI チェコ・コミックに描いた日本の日常
https://www.joshibi.ac.jp/news/1916
女子美ガレリアニケ
https://joshibinike.tumblr.com/
開廊日時:2022/4/1-4/27
開廊時間:10時〜17時
休廊日:日曜日
主催:女子美術大学国際センター/女子美術大学美術館
企画責任者:ヴァーツラフ・シュライフ/ジャン=ギャスパール・パーレニーチェク
共催:チェコ国立西ボヘミア大学ラディスラフ・ストナー・デザイン・芸術学部
企画協力:JGP ART
協力:チェコセンター東京
後援:杉並区
原作:ジャン=ギャスパール・パーレニーチェク
画:アダム・カニョフスキー、マリナ・クディノヴァー、マチェイ・コラージ、ペトラ・シェスターコヴァー、オンドジェイ・ダヴィッド、ヨゼフ・パヴェルカ、ダニエラ・ヘロデソヴァー、マテイ・ユルカーチェク、ペトラ・ラメショヴァー、ヤクブ・ラング、ドミニカ・リゾニョヴァー、ドミニク・ティル、マティアーシュ・トショフスキー、イリナ・ブリツィカヴァ、エリシュカ・リボヴィツカー、ヤナ・ヴィスコチロヴァー、バルボラ・ヴォラーチクヴァー
クールジャパンや派手な文化ももちろん日本の誇る文化の一つではあります。ただ、それだけでその国を理解するというのは確かに偏った見解でかありません。
目立つ文化のイメージに引きずられ、先入観に捉われる恐ろしさ。そのイメージを与える側の「芸術」における責任などについて考える展覧会になっています。
これは我々日本人が外の国に対して思うことに関しても当てはまります。そこにある人、生活などを考えて見れば、世の中に起こる争いなども減るのではないでしょうか?
チェコ共和国 プラハ