ここにもあった!里山の駅、アートと建築から生まれたトイレたち。
いつもは渋谷のトイレ情報を報告していますが……千葉でも発見しました。建築家の手掛けるトイレ!
千葉県、房総半島の里山を走る小湊鉄道をご存じでしょうか?100年以上の歴史のある鉄道です。懐かしい里山の風景と昔ながらの駅舎はドラマやCMのロケにも使われています。その駅舎に現代建築家が設計したトイレが出来ているというのです。
飯給駅:藤本壮介 設計「Toilet in Nature」
https://ichihara-artmix.jp/artist/1520
こちらのトイレは2014年の「いちはらアートミックス」というイベント時に完成したもの。外から見ると黒い杉壁が見えます。この杉壁にぐるりと囲まれたエリアがトイレになるのですが……(なお、この囲いの中は女性トイレ扱いになります)。
中に入るとまるで草むらの中のトイレ!世界一大きなトイレと言われているようですが、まぁ、囲い部分までをトイレとするのかどうか……。設計をした藤本壮介さんは「ヴェネチア・ビエンナーレ第13回国際建築展」で受賞などをしている建築家。
上総鶴舞駅:藤本壮介 設計「Tree / Toilet」
https://ichihara-artmix.jp/artist/2975
こちらも藤本壮介 設計で2018年に完成したトイレ。自然を感じられるトイレですね。建物の中央に樹木が突き抜けています。
男性トイレの便器に座って見える景色が坪庭みたい。樹を見つめながら用を足すのも良いですね。解放感とは違うなにか……。
上総牛久駅:藤本 壮介 設計「里山トイレ」
https://ichihara-artmix.jp/artist/2974
藤本壮介 設計のトイレ最新作は2020年完成。トイレと待合所が5つの建物に分かれています。それぞれの建物を巡るようにトイレに入っていく構成。
一番手前のトレイには階段が。上に登って鉄道を眺める景色はとても気持ち良い。トイレに展望台?こういうのが遊び心ですかね。
上総大久保駅:CLIP 設計「森の入口」
https://ichihara-artmix.jp/artist/1769
こちらは数人の建築家で設立したアトリエ系建築事務所 CLIPの設計。2014年のいちはらアートミックスの時に完成した白くモダンなトイレです。奥へと通路が続いています。
小湊鉄道で使っていた枕木を利用して奥へと、森へと続いていくような空間になっています。「いちはらアート×ミックス」以外にも「妻有アートトリエンナーレ」などにも参加している建築事務所です。
先日終了してしまいましたが千葉県市原市でアートイベント「いちはらアート×ミックス」が開催されていました。去年開催予定だったものの、コロナ禍の影響で延期。今年2021年の11/19-12/26に開催されました。東京に近い千葉の里山を背景にアートを楽しむイベント。今回で第3回目でした。
このアートイベント、千葉の市原市を走る小湊鉄道の駅舎やその周辺にある閉校した学校の校舎などを舞台にしたもの。小湊鉄道の駅舎などをうまく使っています。歴史ある駅舎はそのままでも良い感じ。上の写真の上総鶴舞駅はCMなどのロケに良く使われているとか。
今回紹介したトイレはこのアートイベントで公開されたものがそのまま残っているものもあります。一時的でなくこういう形で残っていくのは嬉しいですね。
上総村上駅:レオニート・チシコフ「7つの月を探す旅 第二の駅《村上氏の最後の飛行 あるいは月行きの列車を待ちながら》」
https://ichihara-artmix.jp/artist/2779
「いちはらアート×ミックス」で展示されていた宇宙飛行士。こちらはさすがに残らないと思いますが、今回のイベントの中でインスタグラムなどに良く上がっていたもの。駅舎と現代的な飛行士の組み合わせが印象的。
上総久保駅:西野 達「上総久保駅ホテル」
https://ichihara-artmix.jp/artist/1474
こちらは駅舎に繋げてホテルの部屋を作ってしまったという西野 達さんのアート作品。朝起きたら里山と鉄道を見る事が出来るのですね。こちらも残らないのでしょうか。泊まれるホテル、運営維持費が捻出出来るのであれば残したいところでしょうけど、難しそう。
アートイベントも何回も続いていくとその歴史が残り、街にその跡を刻んでいくことになります。その街に住む人に受け入れられ、誇りにされるようになると良いですね。