名古屋へ行ったら絶対観ておきたい名画5選

2021/11/10 21:25 Tak(タケ) Tak(タケ)

味噌カツにひつまぶし、それに手羽先、天むす、きしめんと名古屋へ行くとまず美味しい店探しをしてしまいます。

でも、実は美味しいものだけでなく、他では観られないレアな名画が名古屋には多くあるのです。



名古屋と名画。同じ「名」繋がりでも、ちょっとピンと来ないかもしれません。

ところが、日本のみならず世界屈指の絵画がこの街にはあるのです。その場所は「ヤマザキマザック美術館」。

某パン屋さんが運営に携わっている美術館ではありません。

工作機械メーカー売上高世界第一位を誇るヤマザキマザック株式会社(Mazak)の創業者、山崎照幸氏が収集した西洋美術館コレクションを常設展示している美術館です。


ヤマザキマザック美術館
http://www.mazak-art.com/

日本の美術館は印象派周辺のコレクションは秀でていますが、フランスのオールドマスターの作品は中々国内で観るのは難しいものがあります。

中でもヴァトーやブーシェ、フラゴナール、シャルダンなど「ロココ時代」から、「新古典主義」のアングル、ドラクロアをまとめて観られる美術館はまず見当たりません。

ところが、名古屋のヤマザキマザック美術館ではそれらがすべて観られるのです!しかも印象派やエコール・ド・パリから20世紀絵画まで揃っており、18世紀から20世紀までのフランス美術200年の流れを一望出来てしまうのです!!

今回はその中からとびきりの名画を5作品選んでご紹介します。


アントワーヌ・ヴァトー「夏の木陰」1715年頃

37歳の若さで結核により亡くなってしまったヴァトーですが、フランス絵画史において欠くことの出来ない大きな存在の画家です。

「雅宴画」と後に称されるロココ美術の一つのジャンルを確立し、同時代の画家に大きな影響を与えました。

ヤマザキマザック美術館所蔵の「夏の木陰」には二組のカップルが描かれていますが、よく見ると服装が違います。しかも片方は当時のパリ市民のものではなく、お芝居の舞台衣装を身に纏っています。

小さな作品ですが、見どころが多く、ルーヴル美術館スタッフをして「欲しい!」と言わしめる名画です。


ジャン=バティスト・グルーズ 「少女の頭部像」制作年不詳

グルーズも日本では知る人ぞ知る画家です。サロンで活躍し人気を博しましたが、歴史の中にその名が埋もれてしまった画家でもあります。

風俗画を得意とし、こちらの作品では新古典主義の古代趣味に倣い、古代ギリシア風の髪型をした少女を描いています。

左目と右目の視線の先がチグハグであることを気付かせないほど、アンニュイで夢見るような眼差しの美少女。これが日本国内しかも名古屋市内で観られるとは驚きです。


アルフレッド・シスレー「サン=マメのロワン運河」1885年

サロン画家の他にもちゃんと印象派の名画も揃っています。印象派とサロンの画家を分けてどうしても考えがちですが、同じ時代に同じパリで活躍していたのですから、同等に比較しながら観るのが本筋でしょう。

古典主義絵画を観たあとにあらためて印象派、とりわけこの外光の光を存分に描いたシスレーの作品を観ると、印象派が如何に革新的であり、同時に異端であったのかも分かります。

因みに、ヤマザキマザック美術館でが額縁からガラスやアクリルを外して展示してあるので画家の筆致を生で感じ取ることができ、筆を走らせる音まで聞こえてきそうです。


モーリス・ドニ「聖母月」1907年

ここ数年、ナビ派の画家たちが再評価されオルセー美術館などで大規模なナビ派の展覧会が開催されています。

それよりも遥か以前より、山崎氏はナビ派とりわけドニやボナールの魅力を発見し積極的にコレクションしていきました。だからこそこれほど質の高いドニの作品が名古屋にあるのです。

聖母月とは5月のこと。カトリック教徒にとって聖母マリアを湛える5月はとても大切な月です。「聖書の画家」ドニらしい敬虔な信仰心が大きな画面いっぱいに表現されており、クリスチャンでない自分でも崇高な気分になる一枚です。


アメデオ・モディリアーニ「ポール・アレクサンドル博士の肖像」1909年

エコール・ド・パリ(パリ派)の画家の中でも抜きん出て人気の高いモディリアーニの作品。彼の作品にしては珍しく女性でなく男性の肖像画です。

しかもアーモンド形の独特の目の表現ではなく、しかりとお顔が分かるよう描かれています。それもそのはずこの男性は、早くにモディリアーニの才能を見抜き作品を購入するなどし彼を支えた恩人なのです。

背景の壁に掛けられている絵もモディリアーニの作品でアレクサンドル博士が購入したもの。襟と袖口に少し加えられた白がとてもよいアクセントとなり作品全体のバランスを保っています。


ヤマザキマザック美術館
http://www.mazak-art.com/

名画を鑑賞するにはそれに見合った環境も大事だという信念に基づき展示空間もホワイトキューブではなく、ヨーロッパの美術館を彷彿とさせる内装になっています。

著作権が切れている作品であれば自由に写真撮影も可能です。ロココ調の衣装を身に纏い、赤い壁紙のゴージャスな展示室で、自撮りすることも出来ちゃいます。



絵画の他にも19世紀末アール・ヌーヴォーの代表的な作家であるガレをはじめ、様々な作家達のガラス工芸品、家具も展示されており、ゆったりとした優雅な時間を過ごせる美術館です。

音声ガイドも無料なので、美術初心者にとっても優しい、名古屋へ行かれたら必ず毎回訪れたいとっても素敵で贅沢な美術館です。


ヤマザキマザック美術館
http://www.mazak-art.com/
[開館時間]平日 10時から17時30分、土日祝 10時から17時(最終入館は閉館30分前まで)
[休館]毎週月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)
[住所]〒461-0004 愛知県名古屋市東区葵1-19-30
[電話番号]052-937-3737
[交通機関]名古屋市営地下鉄東山線「新栄町」駅(1番出口)直結



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