【東京は縄文時代からにぎやかだった!?】江戸東京博物館 特別展「縄文2021-東京に生きた縄文人-」で縄文人の世界にタイムスリップ!

2021/10/19 20:17 yamasan yamasan

こんにちは、いまトピアート部のyamasanです。

時空を超えてタイムスリップできるのが展覧会の大きな楽しみの一つなのですが、今回は1万年以上にわたって続いた縄文時代にタイムスリップしてきました。

会場は、東京墨田区にある江戸東京博物館
展覧会のタイトルは特別展「縄文2021-東京に生きた縄文人-」

縄文時代の土器や土偶なら他の博物館でもたくさん見ている、と言われる方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の縄文展には他の展覧会とは違った2つの大きな特徴があります。

ひとつは東京の縄文遺跡にこだわった展覧会であること。
そしてもう一つが、遺跡から出土された土器や土偶、装身具などから東京に生きた縄文人たちの暮らしや交流が浮かび上がってくる展示になっていることなのです。

特別展「縄文2021-東京に生きた縄文人-」

会 場  江戸東京博物館 1階特別展示室
会 期  2021年10月9日(土)~12月5日(日)
休館日  毎週月曜日
※会期中に一部展示品の入れ替えがあります。
開館時間 9:30~17:30(土曜日は午後7時30分まで)
※入館は閉館の30分前まで
観覧料(税込)
 一般 特別展専用券 1,300円 特別展・常設展共通券 1,520円ほか
※本展覧会は、混雑緩和のため日時指定予約を推奨しています。詳しくは江戸東京博物館のホームページをご覧ください。⇒https://www.edo-tokyo-museum.or.jp/


※展示室内は撮影OKです(フラッシュ使用禁止、動画の撮影は不可)。

展示構成
プロローグ 最新の調査成果から考える縄文時代像
第1章 東京の縄文遺跡発掘史
第2章 縄文時代の東京を考える
第3章 縄文人の暮らし
第4章 考古学の未来
エピローグ 文化財の保護と活用


多摩ニュータウンは「ニュー」ではなかった!

会場入口で笑顔でお出迎えしてくれるのは多摩ニュータウンの縄文遺跡から発掘された「多摩ニュータウンのビーナス」。

多摩ニュータウンのビーナス(土偶) 多摩ニュータウンNo.471遺跡出土
縄文時代中期 東京都教育委員会蔵

会場内には、多摩ニュータウン縄文遺跡の出土品が数多く展示されていますが、昭和40年代に始まった多摩ニュータウンの開発を契機に行われた調査で、この地域から964か所もの遺跡が確認されたのです。

現在では約22万人が住む多摩ニュータウンですが、今から約5,380年から5,320年前に作られたと思われる「多摩ニュータウンのビーナス」は「何千年も前に私たちがここに住んでいたのですよ。」と語りかけているようにも見えました。

縄文遺跡の宝庫・東京

続いて展示されているのが、アメリカの生物学者、エドワード・シルベスター・モースが横浜から新橋に向かう汽車の窓から「発見」したエピソードで知られる「大森貝塚」から出土された土器などの出土品。

モースによって日本での初めて考古学的な調査が行われたのがこの「大森貝塚」。そして、「縄文」という言葉もここで出土された土器の文様から始まっているので、まさに縄文時代の調査の出発点ともいえる展示です。

第1章展示風景 大森貝塚

現在の東京は、徳川家康が江戸に幕府を置いてから飛躍的に発展して、それが現在の大都会の姿につながり、その様子はまさに江戸東京博物館の常設展示で知ることができるのですが、実は東京にも多くの縄文遺跡があることがわかっているのです。

その数はなんと3800か所以上!

もちろんそれらの遺跡が1万年以上もの間、同時にずっと存在していたわけではないのですが、現在の東京に多くの縄文人が住んでいたのですから、発掘された出土品もバラエティーに富んでいます。

まずはずらりと並んだ石器と土器をご覧ください。

日本史の授業で習った縄文時代の特長をおさらいすると、縄文土器、磨製石器を使い、狩猟・漁労・採取を主とする食料採取段階の文化の時代で、時期は土器の形式から、草創期、早期、前期、中期、後期、晩期の6期に区分されています。

第2章の展示スペースには、草創期初頭の磨製石器に始まり、晩期の土器までがずらりと並ぶ壮観な眺めが広がっています。

第2章展示風景 縄文石器の移り変わり 縄文石器の多様なカタチ


第2章展示風景 土器の機能と美の変化

ヒスイが物語る広域的な交流

自給自足が原則の縄文時代なので、縄文人たちの行動範囲は集落の周辺だけかと思っていたのですが、縄文時代にも広い範囲での交流があったことには驚かされました。


第2章展示風景 人びとの交流を物語る土器(左)、ヒスイロードとコハク(右)

東北や中部、東海、近畿で使われていた土器と同じ様式のものが東京でも作られ、神秘的な色合いのヒスイは、国内唯一の産地、新潟県の糸魚川から「ヒスイロード」を通って東京まで運ばれてきたことや、コハクは千葉県の銚子から来たことが出土品からうかがえるのです。
土器の最先端のデザインや、ヒスイやコハクの輝きは縄文人たちの憧れの的だったのではないでしょうか。

ジオラマでわかる縄文人たちの暮らし

今回の展示の特長のひとつは、ビジュアルに縄文人たちの暮らしぶりを再現していることです。

貝塚の断面(貝層剥ぎ取り標本)からは、長い年月にわたって多くの縄文人が貝を採取して生活していたことがうかがえます。

第3章展示風景 中里貝塚(ハマ貝塚)(右)、低地における活動(左)

沿岸部で使われた丸木舟が展示されているエリアの床面は水色で、遠くには水平線が見えます。
足元には魚たちがスイスイ泳いでいて、まるで海の上を歩いているかのようです。

第3章展示風景 浜辺の様子

丘陵部での暮らしぶりは、多摩ニュータウン遺跡の1/20の再現模型で見ることができます。
ジオラマ好きの私にとってたまらない展示です。

第3章展示風景 環状集落再現模型

このジオラマでは広場を中心とした環状集落全体の様子がよくわかります。
そして、生活の一つひとつの場面も再現されているので、ぜひじっくりご覧になってください。
こちらは家を組み立てているところですね。

環状集落再現模型 部分(多摩ニュータウンNo.107遺跡)
復元年代:縄文時代中期 縮尺1/20

こちらは縄文人のファッションのコーナーです。装身具は身を飾るということ以外にも目的はあったのかもしれませんが、それは謎に包まれています。

第3章展示風景 装身具

手前の耳飾りは直径が10cmほどあるのですが、裏側が細くなっていて耳たぶに穴をあけてピアスのように耳につけたのだそうです。
近くで見るとこんなにオシャレな装飾ですが、実際に耳に付けているところを想像と、こちらまで痛くなりそうです。

重要文化財 土製耳飾(どせいみみかざり) 調布市下布田遺跡出土
縄文時代晩期 江戸東京たてもの園蔵

時期限定ですが、国宝の土偶も長野県茅野市から駆けつけてくれます。
(国宝の土偶は撮影不可です。)

国宝 土偶(縄文のビーナス) 茅野市所蔵 尖石縄文考古館保管
展示予定期間:10月19日~11月14日


国宝 土偶(仮面の女神) 茅野市所蔵 尖石縄文考古館保管
展示予定期間:11月16日~12月5日


展覧会オリジナルグッズも充実しているので、お帰りにはぜひミュージアムショップにもお立ち寄りください。

カラー写真も豊富で詳しい解説付きの図録も好評発売中(本体2,400円+税 )。


フィギュアになりやすいのが土偶です。土偶のフィギュアも盛りだくさん。


東京小金井市にある江戸東京たてもの園では特別展「縄文2021-縄文のくらしとたてもの-」が同時開催されています。
会期は2021年10月9日(土)から2022年5月29日(日)まで。
復元された実物大の縄文住居も屋外展示されているので、ぜひこちらもあわせてご覧ください。
展覧会の詳細は同園ホームページでご確認ください⇒https://www.tatemonoen.jp/