『名画BEST100』に物申す!この100選を思わず一気読み。
『名画BEST100』 監修:山内舞子 (出版:永岡書店)
9月10日に出版となったこちらの本、名画を有名なものから順に100作品選んでみようといった本です。もうね、そんな危険なことをよくやりますね、と。ほら、こう、いろいろと突っ込みたくなるじゃ無いですか?!
先に言ってしまうと「あの作家は無いの?!あの作品は!?私だったらあれを入れるのに!」と楽しく突っ込みながら読む本かと思います、これ。そこそこ美術に詳しい人ならそう言うノリで楽しめます、間違いなく。
もちろん被るところはあるかと思いますが、まぁ、100人いたら100通りの100選があるわけです、こう言うものは。それを承知でこの本を作っている人たちの勇気が凄い!この本を一つのベンチマークとなる様に作り上げたのでは無いかと思います。
また、この本に載っている作品を幾つリアルで見たか、という図鑑的な使い方も良いかもですね。さらに初めの方に載っている美術の歴史や基本用語は本気でよくまとまっていて役に立ちます!
なお、それほど美術に詳しく無いよ、と言う人向けにも良い本だと思います。「こう言う美術が有名なのです」と言う紹介の本としてうまくまとまっています。オススメです。
さて、実際に読んでみて、正しい(?)突っ込みの仕方を考えてみます。※私の個人見解です。
まず、1作家1作品縛り……うん、これは100作品に絞るなら仕方ないですね。ただ、有名作品という基準なら1人で2作品あっても良いのでは?とも思いました。まぁ、各作品ページで「この作家の他の作品はこんなものがあります」と紹介されているので、一応そこら辺はケアされていて、そうですね、うまくバランス取れています。
大いに突っ込みしたいのが、この作家の一番代表的なのはこの作品なの?他のあの作品は出てないの?なんでこの順位なの?と言う点。
Wikipedia「モナ・リザ」より
この本の表紙になっているこの絵、誰が見ても最も知られている絵ですよね。有名な絵の一位ですよね。ただ、もしかしたら、もしかしたらですけどこの本では一位では無いのかもしれません。そうとしたら何が一位なのか?そこら辺の選出についてなども読めばわかります(賛同するかどうかはさておいて)。
Wikipedia「プリマヴェーラ」より
あと、どの作家とは言いませんが、なんでプリマヴェーラの画像は載って無いの?と言うか、この作家はプリマヴェーラが代表作で良いのではない?とか。
ルーベンスやレンブラントはもう少し上の順位では無いの?マグリットももう少し上でも良いでしょう!とか。※完全に私の個人見解です。
作品の権利や使用料など、大人の事情もあるかもしれません。ただ、ウォーホルからバンクシーまで、現代アートに関して幅広く載っているのもこの本の特徴。ここら辺は写真等の使用料が高く、ここまで取り上げられないことも多いと言います。「この本(名画BEST100)は赤字覚悟で踏み込みました!」という話も聞きました。
Wikipedia「俵屋宗達」より風神雷神図
日本人作家は20人と言う割合。バランス取れてますよ、間違いなく。ただ、20人に絞らなくてももう少しあっても良くない?琳派からもう1人くらい入れませんか?狩野派はあの人以外に入れないの?とか、同一派から選ぶ人数は絞ってる?……と。でも、なんだかんだでバランス取れてますよね。※はい、私の個人見解です。
Wikipedia「松林図屏風」より
ただ、等伯や応挙はずっと上でしょう(O本T郎やY山T観やJ冲よりも!)。1作家1作品なら光悦+宗達コンビでもう1点出すのはダメでしょうか?とか。もうここまで来ると駄々をこねているだけとも言えますが。※くどい様ですが私の個人見解です。
もう、この駄々のこね具合が楽しく、他に100選に組み込みたい作家や作品を考えてみたり、この有名作品の作家名は知らなかったなぁ!とか思いながら……思わず一気に読んでしまいました。
この本に関わった人たちの「この本を一つの例示として、あなたなら何を選ぶ?」という問いかけにまんまとハマってしまった様です。
こちらの本の監修はキュレーター、美術評論家の山内舞子さん。そして執筆陣には美術ライターのかるびさん、明菜さん、ヴェルデさん。いまトピアート部の一員、明菜さんも参加している本でした。お勧めです。