バンクシーの壁画をまるごと再現! #中村倫也 さんがナビゲート

2021/8/27 09:30 明菜 明菜

オークションで落札された直後、作品に仕込んだシュレッダーを作動させ、自作を切り刻んだ覆面アーティスト。バンクシーの名を知らない人はいないでしょう。


Banksy, Girl with Balloon (Diptych), 2006, Private Collection

バンクシーはイギリスを始め、世界各地の公共物などの壁に絵を描いてきました。褒められたことではなく、基本的には違法行為です。

しかし、権力や常識をあざ笑うかのような軽快な作品は多くの人を魅了。今では、法に反していることを咎める側のはずのマスメディアまで、「あのバンクシーが新作を発表!」と嬉々として伝えるほどの人気っぷりです。


バンクシー《ラヴ・ラット》2004年 個人蔵

バンクシーは素性を隠して活動しています。ストリートで暗躍する彼の作品は、現地に行けば誰でも無料で見られるものの、コロナ禍で海外旅行に行けない今、最も遠い存在かもしれません。壁は運搬できないですからね……。

そんな中、東京都品川区にある寺田倉庫 G1ビルにて『バンクシーって誰? 展』が開幕。作品とその周りの環境ごと再現した展示で、現地の雰囲気ごと楽しめました!


Flower Throweの再現展示、奥:Spy Boothの再現展示

「映画のセットのような美術展」との自称はまったくその通り。イギリスやパレスチナなど、作品の周囲を再現しており、しかもそのレベルが高いんです。バンクシー作品より、美術スタッフの腕前のほうが気になってしまいました。


展示風景

特に素晴らしかったのが、現地のゴミの再現です。イギリスのストリートの再現には、徹底してイギリスのお菓子の袋が使われ、「そこにこだわる!?」と驚きました。

バンクシーが活動するストリートは、決して清潔な場所ではないのです。警察官に見つからないように、壁に絵を描いて去っていく。こうした活動ができる場所、彼らが生きる場所がどんなところなのか、本展の環境再現で強く感じたんですよね。


Girl with a Pierced Eardrumの再現展示

バンクシーは政治批判や皮肉を込めた作品を多数発表しています。そのメッセージが力を持つのは、こういう環境だからなんだ、と察知できました。



ちなみに音声ガイドのナビゲーターは、本展のアンバサダーを務める、俳優の中村倫也さん。少し甘めのしっとりした声で展示をご案内いただきました。耳が溶けそう。


展示風景

ストリートに描かれた絵は、写真で紹介するくらいしかやり方がなかったのに、「環境ごと再現する」という大胆な戦略を取った本展。映画のセットあるいはテーマパークのような展覧会で、新しい体験ができるのでは。



バンクシーって誰? 展
会場:寺田倉庫 G1ビル(東京・天王洲)
会期:2021年8月21日(土)〜12月5日(日)
休館日:10/5(火)、10/12(火)、10/19(火)
開館時間:11:00〜20:00 (金・土・祝前日は21:00まで) ※最終入場は閉館時間の30分前
公式HP:https://whoisbanksy.jp

※名古屋、大阪、郡山、高岡、福岡に巡回予定