【芸術の秋・美男の秋】美少年、美青年だけの絵画を集めた初めての展覧会「美男におわす」

2021/8/12 12:10 Tak(タケ) Tak(タケ)

『美少女戦士セーラームーン』『プリキュア』『ラブライブ!』などシリーズ化され今なお高い人気を誇る美少女アニメ作品は沢山あります。

そのルーツとして、洋の東西を問わず古代から現代に至るまで数多掛かれている絵画の世界で美女たちの存在があることは疑いないところ。



「美人画」なるジャンルまで確立しているほどで、2014年には「美少女の美術史」なる展覧会も開かれました。

しかし、多様性が声高に叫ばれている昨今。美女・美少女だけに目を向けるのはフェアではありません。

そこで勇ましく立ち上がったのが埼玉県立近代美術館!近世絵画、浮世絵、日本画、漫画などに描かれた男性像を集めた展覧会を開催します。

その名も「美男におわす~増殖する美男の園へ、ようこそ」



ポスターのビジュアルからしていかしています。白馬に乗った王子様!!

「美男子の美術史」、「美男子展」とはせずに敢えてちょっと謎めいたタイトルを冠しているのも魅力的ではありませんか。

元ネタは与謝野晶子の和歌「かまくらや みほとけなれど 釈迦牟尼は 美男におはす 夏木立かな」から採ったものだそうです。

鎌倉の大仏さまを見て「美男におわす」(美男でいらっしゃる)とストレートな感情を歌に表している辺り、与謝野晶子らしさがよく出ています。


高畠華宵 《月下の小勇士》 1929 弥生美術館 [後期展示]

与謝野晶子が活躍した同じ時代に描かれた美男子絵。高畠華宵は展覧会も開催されるなど近年注目を集めている両性具有的な美を現した画家です。 宝塚歌劇団のような、ジェンダーレスなまなざしがたまりません。

TVアニメ「美男高校地球防衛部LOVE!」を彷彿とさせるこんな作品もあります。


木村了子《男子楽園図屏風 − EAST & WEST》(左隻) 2011 作家蔵 撮影:宮島径

木村了子氏は越後最古の寺・国上寺本堂(新潟県燕市 住職:山田光哲)に「イケメン官能絵巻」を奉納したことでも名前のしれた絵師です。

東京藝大大学院を出た後、現代東洋の美しい男性(イケメン)をモチーフとした屏風絵や掛軸などの絵画作品を発表している注目のアーティストです。

→越後最古の寺・国上寺本堂に「イケメン官能絵巻」が描かれました。


山本タカト 《Nosferatu・罠》 2018 個人蔵


三宅凰白 《楽屋風呂から》 1915 京都市立芸術大学芸術資料館

他にもこのような超個性的な作品も。一体どれだけ濃密な展示空間になるのでしょう。今年の秋は埼玉県立近代美術館から目が離せません!色んな意味で!!

展示構成は以下の通り。

・伝説の美少年
・愛しい男
・魅せる男
・戦う男
・わたしの「美男」、あなたの「美男」


森栄喜 《"Untitled" from the Family Regained series》 2017 作家蔵 Courtesy of KEN NAKAHASHI

ところで、展覧会タイトルの「美男におはす」。与謝野晶子の歌より採ったとお伝えしましたが、それを知らずも日本語的に2つの解釈ができます。

つまり「美男でいらっしゃいますね」と「美男の匂いをさせている」と。

「匂い立つような美しさ」といった比喩表現もありますし、『源氏物語』には匂いや香りといった表現が沢山出てきます。

「この御にほひには並びたまふべくもあらざりければ」(桐壺)


山村耕花 《梨園の華 初世中村鴈治郎の茜半七》 1920 島根県立美術館 [後期展示]

公式には前者「美男でいらっしゃいますね」の意味だそうですが、「美男の匂いをさせている」もまんざらどころか、実にしっくりくる解釈だと思います。

池上英洋先生の著書に『美少年美術史』があります。今回の展覧会では「美男」の範囲を拡張しこの「美少年」も含めて展示されます。


『美少年美術史: 禁じられた欲望の歴史』 (ちくま学芸文庫)

色々とワクワクが止まりませんね。早く秋になって北浦和で190点もの美男に会いたい!!

「美人画」はあれども、これまで「美男画」といった呼称でひとくくりにされることはありませんでした。

まさに本邦初の試みです。担当された学芸員さんもさぞかし楽しかったことでしょうね。それにしても目の付け所が良すぎます。タイミング的にも!


入江明日香 《廣目天》 2016 丸沼芸術の森

【見どころ】

 江戸時代から現代まで、日本の視覚文化のなかの美少年・美青年のイメージを、浮世絵・日本画・彫刻・挿絵・マンガ・写真といった幅広いジャンルから紹介します。

 人々の理想が投影された多様な男性像を、「美人画」ならぬ「美男画」として提示することで、男性を美しいものとして表現すること/見ることに光を当てます。


「美男におわす」

会期:2021年9月23日(木・祝) ~ 11月3日(水・祝)
※会期中、一部作品の展示替えがあります。
 前期:10月10日(日)まで
 後期:10月12日(火)から
休館日:月曜日
開館時間:10:00 ~ 17:30 (展示室への入場は17:00まで)
会場:埼玉県立近代美術館(埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1)
主催:埼玉県立近代美術館
協力:ヤマト運輸株式会社、JR東日本大宮支社、FM NACK 5




『美男子作画 ゼロから学ぶプロの技 神技作画シリーズ』