あなたの暮らしのムダ時間をなくします! 現役東大生が教える『東大式時間術』

2021/8/4 16:10 吉村智樹 吉村智樹




夏です。暑いです。猛暑です。酷暑です


暑いとどうしても、だらだらしてしまいますよね。テレワークの皆さん、お仕事はかどっていますか。夏休みの学生さん、宿題は進んでいますか。受験生の皆さん、目標校へ向けての勉強はちゃんとやれていますか。


実際は、こなすべきタスクがあるにもかかわらず、ソファに寝転んでスマホでゲームをしたり、パソコンでついついもう何度も観た同じYouTubeをまた観たり、真っ昼間からお酒を飲んだり、貴重な時間を浪費してしまう。そういうかた、多いのではないでしょうか。


1日は24時間。有限です。今日さぼったツケがまわり、将来の夢がかなわないかもしれませんよ


「わかっちゃいるんだけれど。ついつい、だらーんとしちゃうんだよなあ」


そんな自己コントロールが苦手なあなたに、この一冊を贈ります。


おススメの新刊を紹介する、この連載。
第61冊目は、現役東大生時間管理の極意を明かす『東大式時間術』です。





■テレワークで気がついた「時間の自己管理」の難しさ


猛威を振るう新型コロナウイルスは、日本の生活習慣を大きく変えてしまいました。もっとも大きく変転したのが、企業の「テレワーク」「リモートワーク」導入でしょう。


これまで会社で仕事をしていた人たちが、突然「自宅でやらんかいワレ」と命じられる。そうすると仕事の時間管理は自分自身で行わなければならない。テレワークを始めてみて「誰も見張っていない状況で、自分でスケジュールを決めるのがこんなに難しいなんて!」、そう嘆く人は少なくありません。


何時に起きてもいい。いつテレビを観てもいい。昼間に風呂に入ってもかまわない。バレさえしなければ漫画を読もうが缶チューハイを開けようが昼寝をしようが怒る上司はいない。


けれども天国と地獄は表裏一体です。期限内に成果物はしっかりあげなければならない。会社の売り上げに貢献しなければ、待っているのはクビ。気が散ったら自分で自分を叱らなければならないのです。自分を律する。これがかなり難しい。


また、会社では気を張っていてわからなかったけれど、「昼間の自分はこんなにもコンディションが悪かったんだ」と改めて自分の身体や精神状態の不調と向き合った人もいたでしょう。頭痛がしたり、自分でも驚くほど生活騒音が耳障りだったり、家のエアコンが体質に合わなかったり、強い孤独感にさいなまれたり。


自分自身の調子の悪さが、自分の仕事に支障をきたす原因となるのだから困ったものです。会社だとチームワークで乗り越えられていたものが、在宅だと味方は自分しかおらず、しかも敵も自分なのですよね。





テレワーク、リモートワークは、人によっては会社で残業するより厳しいかもしれませんね。終業時間がいくら遅くとも、必ず終わりがくる。シメは訪れる。コロナ前の頃ならば終電間際に居酒屋に飛び込んで1日をリセットできた。けれども在宅だと、我が家が永遠に職場であり、エンドがないわけですから。他愛ない同僚との会話や、愚痴を共有できる相手もおらず、咳をしても一人。


そういえば昨年から「テレワーク疲れ」「サイレントうつ」という言葉をよく耳にするようになりました。


かく言う私は25歳でフリーランスになり、在宅ワーク歴は30年。30年もリモートワーカーをやっているのに、いまだ一日たりとも「自分の怠け心を制することができた」「時間の自己管理がうまくいった」と満足できた経験はありません。ただただ「自分はこんなにも時間内に仕事をこなせないダメ人間なのか」と落ち込み続けた30年でした。


嗚呼、この本に、もっと早く出会ってさえいれば……


■アルバイトをしながら東大合格を成し遂げた時間術とは


現役東大生ライター布施川天馬さんの新刊『東大式時間術』(扶桑社)が話題となっています。


家庭が裕福ではなかったがために高校時代からアルバイトを余儀なくされながらも東大に合格した布施川さん。彼がそれを成し遂げられたのは自らあみだした「時間術」のおかげ。新刊『東大式時間術』は、まさにリアルでセルフな「ドラゴン桜」と言える一冊です。





■「考えているようで考えていない時間」を見直そう


世帯年収300万円という、ある意味でトレンド最先端な家庭で生まれ育った布施川天馬さん。金銭的な理由により私大進学をあきらめねばなりませんでした。そうして彼は、せっかく国公立の大学を受験するのならば最高学府の東大を目指そう、と猛勉強を始めます。しかしアルバイトもしなければならないため、一日のすべてを受験勉強にだけ捧げられない現実もあったのです。


そこで布施川さんは自分の生活や性格を総点検し、時間の最大の効率化をはかります。こうして東大合格のためのさまざまなメソッドを見つけだしてゆくことに。


たとえば思考の効率をあげる方法。布施川さんは「同じ場所でじっと考えているとき」と「運動しながら考えているとき」では圧倒的に後者に成果があると気がつきます。表紙に「考える時間はムダだ!」と挑発的な文言が踊っていますが、確かに考えている自分に酔っているだけで実際は何も考えていない時間は多いですよね。





そうして布施川さんはテストに必要な事項の暗唱や証明を移動時間に脳内で行い、身体を動かしながら勉強するスタイルをとります(ひと駅分くらいは余裕で歩くのだそう)。身体を動かしているあいだ、もちろん参考書は読めません。すべて頭の中で展開しなければならない。これが逆によかったのです。


布施川さんはYouTubeで「蛍光ペンは一切使わない」と語っていました。参考書にアンダーラインを引いたり書き写したりすると勉強した気になってしまいますが、実際はほとんどの行為が無駄なのでしょうね。


こうしてアルバイト先への往復は、家で勉強するよりも効率がよくて無駄がない黄金の時間と化してゆきました。


■「休憩時間」と「自由時間」はまったく違う


もうひとつ感心したのが「休憩時間と自由時間を分ける」考え方。私たちは休憩時間と称し、ついつい漫画を読んだり、ネットを徘徊したり、おやつを食べたりしてしまいます。それって新たな刺激を脳に与えてしまって実はまったく「休憩していない」んですよね。


一つの仕事、勉強の一単元、それらをこなすには、自分が思う以上に脳力が必要です。そしてパワーをふりしぼったあとは、しっかりと休憩しなければ脳は再び十全に機能してくれない。なので布施川さんは、休憩時間は完全に休み、なにもしないと決めています。眠る、横になる、眼を瞑って座っている、ただそれだけ。


そしてちゃんと休憩し、スクを消化したあとに、晴れて「自由時間」というごほうびを自分に与える。自由時間の鉄則は「遊び尽くす」「絶対に勉強しない」。時間の無駄の多くはメリハリなく「混ぜる」ことから生じると布施川さんは気がついたわけです(布施川さん曰く、時間を混ぜる『もんじゃ型』ではなく個別にしてゆく『たこ焼き型』の時間管理)。この気づきで実際に東大に進学しているのですから、説得力が尋常ではありません。





■「自己肯定」よりもずっと大事な「自己客観」


このように時間管理にまつわる多彩な方法が記されたこの新刊『東大式時間術』。通底しているのが「自己を客観視する」姿勢です。決して自分を過信しない。自分を信じても悲しいかなまず予定通りにはいかないから、生活のなかにあえて「バッファ」(緩い領域)を設ける。「がんばる」が評価されるのは目標に達したときか、失敗しても次回に克服できるだけの情報を得られたときだけ。などなど、そういったクールな視線を自分に向ける勇気があってこそ、やっと赤門をくぐれるのでしょう。


在宅で気がついた、時間にだらしない残念な自分の姿。でも新型コロナウイルスとのつきあいは、もうしばらくかかりそう。在宅ライフはまだまだ続きます。いまから東大を目指すのはさすがに無茶でしょうが、この本を読んで時間管理で「優」をとれるくらいには成長してゆきたいものです。



東大式時間術
布施川天馬 著
1650円(本体1500円+税)
扶桑社

忙しい現代人に告ぐ、考える時間はムダだ!

毎日アルバイトとゲームとマンガで忙しくしていたのに東大に合格できたワケとは。

東大生はサボり方を知っている。

「一日が24時間では足りない」と思っている人に知ってほしい東大式時間の使い方。

「一日が24時間じゃなきゃ、たくさん遊んでいられるのに」子供の頃からの僕の願いですが、同じようなことを思ったことのある方は、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

とかく現代人は忙しい。

本書では、アルバイトをしながら、東大に受かるために五教科七科目という膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパのよい時間の使い方」について、全三章でお伝えします。

私たちが一口に「時間術」と言った時にイメージするのは、せいぜいが「時間を節約する」「効率的に時間を使っていく」のどちらかであろうと思います。

しかし、本当に効率的に仕事を終わらせていこうと思った時には、「無駄を省く」「効率を上げる」「やる気を出す」という三種類の方向性での努力が必要になるのです。

・考えのループという落とし穴を回避して思考の無駄を減らす技術

・「知らない」と「分からない」は全く別物である

・「休憩時間」と「自由時間」の定義を意識して明確に使い分ける

・タスクをマトリクスを使って整理する

・「時は金なり」を真に受けると痛い目にあうワケ

・『ドラクエ』の王様のような仕事の捉え方はしてはいけない

・「もんじゃ型」ではなく「たこ焼き型」の時間管理でタスクに時間をあてていく

布施川天馬
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれ、幼少期から貧しい生活を余儀なくされる。 大学進学を考えたときに金銭的な事情や地理的な事情から、無理なく進学可能な大学が東京大学のみに絞られたため、東大進学を志すようになる。高校3年生まで吹奏楽部の活動や生徒会長としての活動をこなすが、自主学習の習慣をほぼつけないままに受験生となってしまう。予備校に通うだけの金銭的余裕がなかったため、オリジナルの「お金も時間も節約する勉強法」を編み出し、一浪の末、東大合格を果たす。現在は、自身の勉強法やその学習方法を全国に広めるための「リアルドラゴン桜プロジェクト」を推進。また、全国の子供たちを対象として無料で勉強を教えているYouTubeチャンネル「スマホ学園」にて授業を行うなど、精力的に活動している。
https://www.fusosha.co.jp/books/detail/9784594088538



吉村智樹
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