オリンピックには芸術種目があった!日本人のメダリストは誰?
こんにちは、美術ブロガーの明菜です。賛否両論というか否が多いような気もしますが、東京オリンピックが近づいてきましたね。
当然、オリンピックに便乗した記事を書こうと美術ネタはないかと探したところ、ぴったりなネタが見つかりました!
今でこそ「スポーツの祭典」とも呼ばれるオリンピックですが、昔は「芸術競技」があったことはご存じでしたか?日本人選手もメダルを獲得していたんですよ!
今回は、オリンピックと芸術のなんとも言えない距離感について調べてみました。
■オリンピックの芸術競技とは?メダリストは誰?
かつてのオリンピックは「スポーツと芸術の祭典」でした。1912年ストックホルム大会から1948年ロンドン大会までは、「芸術競技」があったのです。
内容は文学、絵画、建築、彫刻、音楽の5種目。世界のアーティストたちがスポーツをテーマにした作品を出品し、優秀な作品には金・銀・銅のメダルが授与されました。
ウィキペディアに歴代の芸術競技のメダリスト一覧があったので、クリックして見てみましょう。
⇒歴代の芸術競技のメダリスト一覧
……まあ、一見知らない人ばっかりではあります。しかし、よく見ると「あー!あの人ね!」という人も混ざっています。
例えば、1928年アムステルダム大会で彫塑の金メダルを獲得したポール・ランドスキ。フランスの彫刻家で、ブラジルのリオデジャネイロにある巨大な『コルコバードのキリスト像』の作者です。
コルコバードのキリスト像
『コルコバードのキリスト像』はランドスキのアトリエで作られ、パーツごとに分解して運んだそうです。あの巨大なキリスト像を金メダリストが手掛けていたとは、初めて知りました!
日本の画家も2人が芸術競技でメダルを獲得しました。1936年ベルリン大会において、絵画で藤田隆治が銅メダルを、単彩画と水彩画で鈴木朱雀が銅メダルを獲得しています。
藤田隆治『アイスホッケー』(1936)
選外を含む日本人選手の一覧はこちら。
⇒芸術競技 日本人選手の一覧
私が知っている範囲だと、絵画の猪熊弦一郎や棟方志功、音楽の山田耕筰も参加しました。
「東大王」とかのクイズに出てきそうな雑学ですね。覚えておくと1問正解できる日が来るのでは。
■どうして芸術競技はなくなったの?
芸術競技は1948年ロンドン大会を最後に、正式競技から外れてしまいました。主な理由には、作品によっては移動が大変であることや、客観的な採点の難しさが挙げられます。
確かに、採点の難しさは芸術作品の公募にはつきものですよね。速さや正確さを競うスポーツと異なり、点数にできない部分が魅力の芸術に順位をつけ、金銀銅とメダルを授与するのは不可能です。
そうした難しさはアーティスティックスイミングやフィギュアスケートなど、芸術性が点数に関係する種目にも引き継がれています。東京大会ではアーティスティックスイミングに注目して見てみようかな。
■芸術のプログラム自体は残っている?
正式種目からは外れたものの、文化プログラムの一環として芸術展示が行われています。これはオリンピック憲章にも書かれており、ちゃんとした決まりです。
もちろん東京大会でも!政府による「日本博」を中心に、各地域でも文化プログラムとして展覧会やコンサート、お祭などが予定されておりました。(コロナ禍のため延期・縮小・中止を余儀なくされた事業も多いですが……)
日本博のYouTubeには、国立能楽堂でのお能の動画など、おうちで楽しめるものもあります。お能は昔の言葉で演じられるので、知識がないと生で見ても理解できないですが、動画は字幕がついているので問題なく理解できます。動画のメリットが活かされますよね。
開催中のプログラムはこちらから!⇒日本博ホームページ
アンドロイドのオペラや、アイヌ文化フェスティバルも面白そう!
■まとめ
オリンピックには芸術競技があり、金銀銅メダルが授与されていた時代がありました。採点の難しさなどから現在は正式競技ではありませんが、文化プログラムとして残っています。
どうしても「オリンピック=スポーツ」という印象がありますが、文化プログラムだって負けてはいません。コロナ禍ゆえの難しさはありますが、自宅で楽しめるコンテンツを中心に、感染対策をしながら文化プログラムも楽しんでいきたいです。