【紅葉&絶景】北野武監督「Dolls」・漫画「ヤマノススメ」実は近所同士の“聖地巡礼”(2/2)

2016/11/19 10:00 スージー小江戸 スージー小江戸

■北野武監督「Dolls」の聖地、「白雲山 鳥居観音」
「棒の嶺」への“聖地巡礼”後なら有間橋から徒歩約10分、飯能駅からのバス便で直接来るなら「連慶橋」バス停で下車すると丁字路の所に「鳥居観音 ケニーズ」と書かれた案内板があるので、矢印の示す方向へ道を入ります。



ちなみにバス停の少し先から鳥居観音の方角を見ると、白い像や塔らしきものが…離れ離れの山頂に3つ!



そう、ここは平地に観音像が立っているだけのお寺などではなく
白雲山という堂々たる“山”
なのです!その証拠に現地でもらった「散策マップ」も



山として描かれ、登りに45分、下りは筆者の足で20分。最低でも1時間はみておく必要がありそうです。



「連慶橋」バス停から道なりに約5分で、マップ左下の駐車場横の門に到着。奥に進み、





本堂を経て鳥居文庫の脇を抜け、裏手に回れば「遊歩道」という名の拝観路が出現。映画「Dolls」が撮影されたという「(玄奘)三蔵塔」付近を一路目指すことに。



登り始めると景色が一変!色とりどりの紅葉が目の前に広がってテンション上がります。



ここからはちょっとしたハイキング。遊歩道といいながら登山道っぽい所もあるので、間違ってもヒールやビーサンで行かぬようご注意を。

仁王門、恩重堂を経て20分ほど登ってくると、妙に浮いて…いや異彩を放ちまくる像「平和観音」が眼前に。



観音像と地球の縮尺がほぼ1:1とかハンパないけど、嫌いじゃないですこのセンス!



三蔵塔が建っている峰の斜面は一面の紅葉。中腹の山道を抜け、さらに舗装された参道を登ること約15分で



到着です。「西遊記で有名な玄奘三蔵法師の霊骨を祀っている」という由縁や塔のフォルムもあってか、ちょっと日本離れした、異国か異世界に辿り着いた感が漂ってます。

ではここで「Dolls」の予告編から紅葉の撮影ポイントの特定を…。



1分10秒~が「紅葉の中を歩く二人」のシーンですが、その前に!「湖の土手のような場所を紐で繋がったまま二人が転げ落ちる」という衝撃シーン(15秒~)に注目してください。

これって、前ページで紹介した「ヤマノススメ」の聖地「棒ノ嶺」への出発地点となった「有間ダム」ではないでしょうか!?



ロックフィル式ダムの石垣のような表面、縁石の形・大きさ・間隔がほぼ一致しているように見えます。映像には湖面も映っているので、2人が転がったのは湖側ではないかと思うのですが、



気づいたのが帰宅後だったのでこのアングルの写真のみ。我ながら分かりづらいですね…。白谷沢登山口の先か、あるいは対岸か、さらに湖面の水位がもっと高ければ「Dolls」と同じ絵が撮れるのではないでしょうか(真相をご存じの関係者の方いましたらぜひ情報を!)。

話を「紅葉」に戻しましょう。



三蔵塔付近で一番有力なのが手前の舗装された参道ですが、



ガードレールが邪魔なのと(今なら画像処理で消せそうですが)、この先の突き当りに「大鐘楼」という鐘つき堂があって二人の背景に遠くの山の緑が映り込めないため違うかも。



もっと手前の山道まで戻ってみたら、両側に真っ赤な紅葉がこんもり茂っていて良い感じ。ですが二人はもう少し広いスペースを歩いています。



三蔵塔の目の前にあるこのアングルは?ここならスペースも広いし、撮影機材も十分入りそう。でも、背景に山の緑はナシ。

結局最も有力に思えたのが、三蔵塔からさらに奥の「救世大観音」に向かって山道に入る場所。



看板とか仮設トイレとか人工物丸出しだけど、広さ感や背景の山はすごくよく似てる。でも左側の雰囲気が違いすぎ…。

というわけで、どこもちょっとずつ違っていて残念無念の完全特定ならず!でもこの先にも紅葉が超絶綺麗なポイントがあるので気を取り直して進むことに。











複雑で繊細なグラデーションを生み出す自然の力にはただ感嘆するばかり…。そして三蔵塔の向かいの斜面から見た景色がこちら。



紅葉と対照的な「山の青さ」も目に鮮やか。「Dolls」予告編の冒頭(5秒目~)、二人とも正面を向いて青い山の端をバックに佇むシーンもここで撮影したのでは?と思わされます。

あと少し白雲山を登りつめれば、いよいよ最後の「救世大観音」に到着。



ここでは内部に安置された数々の仏像の拝観が個人的にお勧めです。
というのも、この地の開祖は平沼彌太郎氏という現埼玉りそな銀行の初代頭取や参議院大蔵委員長を務めた政財界人。母の遺言をかなえるために恩重堂を建て、その後みずから雅号を「桐江」と名乗る仏像彫刻家となり、幾多の仏像を一人で彫り上げたらしいのです。
※「鳥居観音の由縁」に詳細があります







由縁だけでも驚愕なのに、まったくの別業界から転身してこれだけの作品を残せる超絶スキルと信仰心、一人で彫り上げたという底知れぬパワーには、もうひたすら脱帽するしかありません。



観音像は後頭部に展望台があって内部の螺旋階段で上がれますが、内部への出入口から眺めるだけでもかなりの絶景!右奥のうっすらした稜線のところに「ヤマノススメ」の聖地「棒ノ嶺」も見ることができました。


「Dolls」の厳密な“聖地”は特定できなかったけれど、全山で紅葉を楽しめるうえに紅葉以外の発見も盛りだくさん。興味のある方、ぜひ足を運んでみてください。



■白雲山 鳥居観音 公式ホームページ
http://www.toriikannon.org/index.html


(スージー小江戸)

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