展覧会を何十倍も楽しむために心がけたい5つの秘訣。

2015/9/2 12:30 Tak(タケ) Tak(タケ)


猛暑の夏も終わり、朝夕すっかり過ごしやすくなってきました。

萩の花が風にゆれる様子を目にするようになれば待ちに待った「芸術の秋」の到来です!



先月のコラムで「展覧会に出かける前に準備しておきたい5つのこと。」を紹介しましたが、今回は実際に美術館・博物館へ出かけ展覧会を存分に満喫するために押さえておきたい5つのポイントをお伝えしますね。


ぶらりと出かけるだけでも十分に面白く知的好奇心を刺激する展覧会を更に何十倍、何百倍も愉しむために欠かせぬことばかりです。


その1:展覧会は好きな順路で観よう。

展覧会会場はおおまかに会場の流れ(鑑賞順路)が設定されていますが、それに必ずしも沿う必要はありません。好きなところから観てもなんら問題ありません。

映画や観劇と違い、時間の制約がなく、自分のペースで好きなように観てまわれる点が展覧会の最も大きな魅力なのです。

でもせっかく学芸員さんたちが知恵を絞って作り上げた会場ですから、まずは一通り順番通りに観てみましょう。そのあと、もう一周好きな順番に観てまわるのです。

一度目ではスルーしていた作品でも二周目では違う印象を受けることがあるものです。一目惚れタイプの作品と、ジワジワくる作品共に愉しみ、存分に展覧会を味わいましょう。



その2:作品と「格闘」しよう。




展覧会会場で作品から多くの感動を得るのに「知識」は邪魔になるどころか、なくてはならぬとても大切なものです。その絵はいつ、だれが、どのような背景で描いたのか。またそこに込められた画家の意図はどんなものなのか等々。

とりわけ違う文脈(歴史や文化)の中で描かれた絵画を理解するためには知識はとても大事なものです。

ただし、ここで注意が必要です。あまりにも知識偏重、頭でっかちになってしまうと目の前にある絵の本質を見落としかねません。絵画を鑑賞するにあたり知識はもちろん必要なものですが、かといってそればかりに頼ってしまってはいけません。

絵画鑑賞のバランスを上手にとれるか否かで絵から受ける印象は大きく変化します。知識プラスその場で自分自身の心を開き沈思黙考し絵に向い合う。それは「絵と格闘する」とも言えるでしょう。


その3:音声ガイドを借りてみよう。



より知りたい、深く観たいという場合は音声ガイドを借りてみましょう。海外の美術館では、直接耳に当てるタイプの音声ガイドを多くの人が利用しています。

担当の学芸員さんや専門の知識を持つ人が原稿を書いているので、作品についての背景なども含め、かなり突っ込んだ情報が耳から入ってきます。

解説パネルとは違った知識が得らるのは勿論ですが、最近では、モニター付きの機種で展示作品に関連した画像も見られるものもあります。また作品にまつわる音楽がBGMに使用されたり、人気俳優や声優さんがナビゲーター役を務めていることもしばしばあります。

また、iPhone、Androidアプリとして事前にダウンロードしておけるタイプのものまで登場しています。今月リリースされたばかりの川村記念美術館の無料ガイドアプリ「Kawamura Memorial DIC Museum of Art」は英語の勉強にもなっちゃいます!
 


その4:展覧会の想い出を持ち帰ろう。


Store 1894 | 三菱一号館美術館
http://mimt.jp/

展覧会や美術館・博物館のオリジナルグッズがここ最近特に注目を浴びています。定番のポストカードやクリアファイルから、奇抜なアイディアのグッズまで多種多様なものが並びます。

最近ではマスキングテープが展覧会グッズのヒット商品となっています。オリジナルグッズとして、ワインや日本酒なども扱っていたりして見ているだけでも面白いものです。

何も高価なものを買う必要はありません。ポストカード一枚でも何かしらその展覧会に行った証となるものを購入するようにしましょう。それが後々よい想い出となるものです。

丁寧に「ポスカホリック」にまとめておくのもよし、雑多に「展覧会グッズ箱」に入れておくだけでもOKです。いずれにせよ、展覧会の想い出をひとつ持ち帰りましょう。

ポストカードで作る私の画集「ポスカホリック」
http://www.poscaholic.com/


その5:観たもの、感じたことを記録に残そう。


NEZUCAFÉ|根津美術館
http://www.nezu-muse.or.jp/

展覧会を観終えた後は、カフェやレストラン、時間によっては飲み屋で仲間と展覧会の感想をワイワイと語り合ったり、独りで疲れた足を休めつつ、心に残っている作品を反芻しましょう。

気になった作品をiPhoneで調べたり、メモをまとめたりするのにも最適です。鉄は熱いうちに打てではありませんが、記憶が鮮明なうちに書き留めておいたり、語り合っておくと一層深く印象に残ります。

語り、調べることで作品を観ただけでは知り得なかったことに出会えます。このいわば「気が付き」がとても大事です。それらが徐々に堆積することによって、豊かで堅牢な美の知識が作り上げられていくのです。しかもオリジナルの!



絵画鑑賞に始まりはあっても終点はありません。一生涯愉しめる唯一無二の趣味と言っても過言ではありません。

頭であれこれ感がえるより、実際に展覧会へ足を運び、全身にアートのシャワーを浴び自分自身の感覚を磨きましょう!




美術展の手帖』(小学館)
展覧会でのかけがえのない作品との出会いと感動をまるごと記録する手帖です。美術展の見方が変わります。

→「展覧会に出かける前に準備しておきたい5つのこと。」
http://ima.goo.ne.jp/column/article/3481.html