【モフモフの絶景!】東京にあるツツジの名寺がヤバかわいい

2016/5/2 22:00 スージー小江戸 スージー小江戸



“モフモフ”した絶景と聞くと、「国営ひたち海浜公園のコキア(ホウキ草)」を思い浮かべる人は多いのでは。10月になると真っ赤に紅葉した真ん丸なコキアが一面をモフモフで埋め尽くす様は、奇妙だけどポップ、強烈な光景ですよね。

筆者も写真でしか見たことがなく「一度は実物を見たいけど、茨城県まではなかなか…」と思っていたところ、東京都内でも“狂おしいまでにモフモフ”した絶景が見られる場所があるというではありませんか!

そこは青梅市にあるつつじの名所、塩船観音寺

すり鉢状の急斜面を早咲きから遅咲きまで2万本ものつつじが覆い尽くし、すり鉢の底にある護摩堂をぐるりと取り囲む、真言密教の古刹でありながらコロシアムのようなどこかドラマチックな空間



さらに護摩堂の奥、すり鉢斜面の上には「塩船平和観音立像」が建ち、斜面にはたくさんの小道があって、つつじを存分に愛でながら散策が楽しめるとのこと。

毎年4月末~5月上旬が見頃だというので、好奇心丸出しで行ってきました!
そしてまさにGWは「つつじ祭り」の真っ最中。行き方と絶景ぶりを紹介しますので、ぜひご参考に!

■思い立ったらサクっと!新宿から80分の絶景スポット

JR中央線・青梅特快で「河辺(かべ)駅」下車。北口におりたら、ロータリーに向かって右手へ進みます。

りそな銀行前の2番乗り場からは「つつじ祭り」開催中は臨時バスが出ていて、順次発車するので便利。



河辺駅から9分くらいの「塩船観音入口」バス停で下車。帰りは、写真で対向車線のバスがいる辺りに河辺行駅行きのバス停があります。



塩船観音寺へは来た方向を振り返り、信号のそばにある案内看板の矢印の方向へ。



野崎工務店の前の道をまっすぐ進み、道なりに5~6分歩いて突き当りのT字路を右に行けば…



…2分ほどで山門(仁王門)に到着!




■開祖は「○○の肉を食べた」有名なアノ女性…


山門から参道を奥へ。この時期は「つつじまつり」と書かれたぼんぼりとカラフルなのぼりが新緑に良く映えます。


「阿弥陀堂」を左に折れた所で入山券を購入(つつじ祭りの間だけ必要。大人は300円)。

正面の石段を進む前に…左右には樹齢600年、樹高40mにも達する夫婦「大スギ」が堂々とそびえ立っています。ぜひともパワーをいただきましょう。





600年前というと室町時代。でも塩船観音寺の開山はもっと昔の飛鳥時代のことだそう。ホームページやパンフレットの情報をまとめてみると、

大化の改新で有名な大化年間(645年~)に、若狭の国で人魚の肉を食べて永遠の命を得、800年生きたといわれる「八百比丘尼(やおびくに)」が、諸国巡歴の際に一寸八分(約5.5cm)の観音像を当地に安置したのが開山といわれている……

って!!!
「ハイそうですか」と信じるにはハードル高いですね、このエピソード。

だって八百比丘尼さんといったら、異常に妖艶な人魚の妖怪とか尼さん姿でアニメやゲームで活躍してる伝説のアノ人…ですよね!?

でも、開祖というからには「都市伝説じゃない」という何かしらの痕跡がココにはあるのかも!ちょっとゾクゾクしながら本堂へ。



とても古くどっしりとした本堂は、何と室町時代に建てられたものを今なお現役として使っているとのこと。

この中にご本尊「千手観音菩薩像」が安置されているそうなのですが、驚いたことに御本尊の修復時に頭部から和紙に包まれた人間の臼歯と頭髪が出てきたらしい!

うわーー!それって八百比丘尼さんのもの!?と前のめりになったけど、このご本尊は鎌倉時代の文永元年(1264年)、快勢等の作によるもので大きさも144cmあり、納入品は造像時のものと推測されているとのこと※。なんだか残念…。
※出典:1988年 大悲山観音寺編集・発行「塩船観音寺二十八部衆像」

他にも八百比丘尼さんの「痕跡」がないかグルグル探し回った結果、本堂近くの御守所に見つけましたよ!



八百比丘尼のお守り!「美と長寿の御利益を、貴方様に」だそうです……。


■まさに「船」の形の極楽浄土!?

さて、本堂の左手のスロープを、護摩堂とその背景を彩る“モフモフ”に向かって下りていくと



ついに、すり鉢の底に到着!!



右を見てもモフモフ!



左を見てもモフモフ!



何かもう“手芸部”感がハンパない、っていうか、カワイイを通り越してヤバかわいい……

つまりここが「極楽浄土」なの???

教えて!えらい人―――!

近付いてつつじをマジマジ見ると結構バサバサした感じにも思えるのに



引きで見ればやっぱりモッフモフ!



醤油の香ばしい匂いに誘われて、ついつい食べちゃう名物のお団子…



もちもち食感や素朴な美味しさ…もさることながら、このお団子とつつじが、見事にシンクロしたような「球体」ぶりで思わずニンマリしちゃいます。




ところで筆者は今、すり鉢の底の護摩堂の前にいるわけですが



この特異な地形全体がどんな形をしているのかは、こちらの概略図が分かりやすいようです。


(塩船観音寺ホームページより引用)

まさに「船」の形!!

それもそのはず、そもそも「塩船」という地名は、天平年間(729年~)に僧行基菩薩が、周囲をぐるりと丘に囲まれた船形の地形から、仏が衆生を救おうとする大きな願いの舟である「弘誓(ぐぜい)の舟」になぞらえて名付けたといわれているのだそうです。

そして今、あたかも船の舳先のような場所に「塩船平和観音」が建っている…というわけで、観音様を見に斜面をのぼってみましょう。


■観音様の足元からは、さらなる絶景が…

護摩堂の裏手には、つつじや観音像を鏡のように映す、その名も「観音池」という池が。



池にはおたまじゃくしがたくさん。でも何ゆえ「ピーポくん」が底に沈んでいるのかは謎のまま…。



斜面のあちこちに小道が。どこをのぼっても観音像に辿りつけるのでお好きな道をどうぞ。



ちなみに、山門から本堂を経て観音像に至る、東側斜面の上は最短距離だからか道幅も広く舗装されています。



こう見ると意外と高さあるかも…



しかも、ある一画だけを区切ってじーっと眺めていると「一体自分がどこの国のどんな場所に来たのかよく分からなくなる」という感覚を味わえます(笑)



のぼること数分で観音像に到着。



右手の手のひらを向けているのは「施無畏印(せむいいん)」といって人々の恐れを取り除き、安心を与える身振り。左手に持った「水瓶(すいびょう)」には大慈大悲の功徳の水が入っていて人々に無限に与えてくれるのだそうです。

そして観音様の足元から見た絶景がこちら!下方には観音池と護摩堂が見えつつ、はるか遠方には市街地が一望できます。



そして、護摩堂も背後から見ると、より「すり鉢」感が増すというか、つつじの斜面に埋もれて一体化しちゃってるような印象です。




売店のお母さんに聞いたところ、その昔、斜面のつつじはヤマツツジがほぼ自生に近い状態で咲いていて、護摩堂のあたりは公園で、ブランコがあったり、斜面には滑り台があったりして子供の頃、よく遊んだのだとか。



往事の公園も楽しそうですが、昭和40年代から植えられたつつじが、今これほどまでにモフモフと見事に咲き誇っているのを見るのは格別だし、毎年見にきたくなりますね。





早咲きのミツバツツジ、ヤマツツジから始まった開花は、今、中咲きの赤いキリシマツツジ、クルメツツジを経て、遅咲きのオオキリシマツツジ、リュウキュウツツジ系に移行しているそうで、白と薄紫色の大輪を中心にもうしばらく楽しめそうです。






興味のある方、ぜひこの「モフモフの絶景」を体験しに行ってみてください!




■塩船観音寺
公式ホームページ
http://www.shiofunekannonji.or.jp/index.html



(スージー小江戸)