こんなチャンスは二度とない!フェルメールが描いた天球儀・地球儀がやって来た!

2016/3/29 13:00 Tak(タケ) Tak(タケ)


14世紀に王立図書館として創設された、フランス国立図書館(Bibliothèque nationale de France)から、16、17世紀に制作された歴史的にもとても貴重な地球儀・天球儀がなんと現在、五反田の大日本印刷(DNP)にやって来ています。


《ラロシェットの地球儀》
©origin of source Gallica / Bibliothèque nationale de France

図書館にどうしてそんな古い地球儀・天球儀があるの?と思うかもしれませんが、フランス国立図書館(BnF)は、創設以来いわゆる書籍・写本だけでなく、地図に写真やコイン、近年ではマルチメディアまで博物館なみに資料を収集しているのです。その数は約4千万点にもなります。

その中でも、フランス国立図書館の地球儀・天球儀は、世界三大コレクションに数えられ圧倒的な質・量を誇っているのです。しかし、ここで再び疑問が頭にわいてきます。そんな貴重なものがどうしてまた五反田で公開されているのかと。


実は大日本印刷は現在、独自開発した撮影ツールでフランス国立図書館の地球儀・天球儀のように公開の難しい作品を三次元デジタル化して閲覧可能にする取り組みを行っています。いわば企業メセナの一環として文化貢献を行っているのです。


ヨドクス・ホンディウス(父) 《天球儀》/アムステルダム、オランダ/1600年/47×50cm/紙・印刷
©origin of source Gallica / Bibliothèque nationale de France

そのメセナ活動のある意味でお返しとして、歴史的な地球儀・天球儀全10点(前後期)が初来日し、五反田の大日本印刷本社(DNP ミュージアムラボ)で我々にも一般公開されています。

しかも無料で!素晴らしい!!


前期展示の目玉は、ヨハネス・フェルメールの名作《地理学者》と《天文学者》(昨年「ルーヴル美術館展」で国立新美術館に来ましたね)に描かれた一対の作品≪ホンディウスの地球儀・天球儀≫(1600年)です。日本では関ヶ原の戦いが行われていた時代にヨーロッパでは世界や宇宙に目を向け机上でそれらに様々な想いを馳せていたのです。


ヨハネス・フェルメール「地理学者」1668年頃
シュテーデル美術館蔵



ヨドクス・ホンディウス(父) 《地球儀》/アムステルダム、オランダ/1600年/47×50cm/紙・印刷
©origin of source Gallica / Bibliothèque nationale de France

また、後期展示では何と《ヴェルザーの地球儀》(1550年)も展示されるのです。

《ヴェルザーの地球儀》は、16世紀ドイツの大銀行家の新世界貿易への野望を映す、銅に彫刻を施した名作中の名作です。世界史の教科書や資料集で見たことありますよね。これが日本で観られるなんて、ひとつの「事件」と言っても過言ではありません。


クリストフ・シュニープ 《新全世界地図》/アウクスブルグ、ドイツ/1550年/27×36cm/銅・エッチング
©origin of source Gallica / Bibliothèque nationale de France

前後期合わせて10点の貴重な地球儀・天球儀のホンモノが観られ、さらに高精細3D画像でより深く鑑賞できる貴重な機会。何度も驚かせて恐縮ですが、鑑賞は無料です!!


歴史好き、地図好き、そして図書館好きの方にとっては絶対に見逃せません(もうこんなチャンス二度とありませんからね)。フランス国立図書館に行っても観られない地球儀・天球儀が五反田駅から歩いて数分のビルの1階で観られるなんてにわかに信じられませんが、紛うことなき事実です。

さぁ、あなたも早速鑑賞予約しましょう!

そうそう、ヘッドマウントディスプレを用いて、18世紀の天球儀の中心に入り込むヴァーチャル体験も出来ますよ!




BnF フランス国立図書館×DNPミュージアムラボ
フェルメールの名作に描かれた、あの地球儀たちが来日
「フランス国立図書館 体感する地球儀・天球儀展」
3Dデジタルデータで<世界>を読み解く

展示期間:前期:2016年2月19日(金) 〜 5月22日(日) 後期:2016年6月3日(金) 〜 9月4日(日)
開館時間:金18:00 〜 21:00 / 土、日 10:00 〜 18:00 ※月~木、金曜日が祝日の場合は休館。
場所:東京都品川区西五反田3-5-20 DNP五反田ビル1F
公式HP:http://www.museumlab.jp/bnf 
観覧無料
予約制 http://www.museumlab.jp/bnf  
又は、カスタマーセンター 03-5435-0880 まで

《概要》
古代ギリシア人は、すでに地球は丸いことを知り、その周囲に球状の宇宙が存在すると考えていました。そうした想像や知識が形となり、地球儀と天球儀が誕生します。天球儀の製作は特に中世のイスラム世界に遡りますが、地球儀の製作が大きく発展したのは、コロンブスをはじめとする航海士によって、世界の様相が次々と伝えられた大航海時代。伝説や仮説は最新の情報へと書き換えられ、地球儀・天球儀は更なる貿易や旅、新たな文明の探訪へと人々を誘いました。また、地球儀・天球儀は、たとえば権力や富、知性を表すものとして、工芸的に手の込んだ一品ものとして注文されたり、象徴的な意味を込めた絵画のモチーフとしてもたびたび登場します。世界を描きだすと同時に時代を鮮やかに映し出す地球儀・天球儀は、私たち人類の情熱と知の結晶として今に残り、歴史を語りかけてくるのです。