鳴門の渦潮は自然が作り出すケタ違いの雄大なアート作品だった!
「鳴門の渦潮」を実際に見たことありますか?!本州と四国・徳島の間にある鳴門海峡で発生する渦潮はまさに自然が作り出す驚きのアート作品です。
鳴門海峡になぜ最大直径20メートルもの世界でも珍しい渦が出来るかについての詳細については、ここでは割愛しますが、とにかく百聞は一見に如かず。一生に一度は見ておきたい迫力満点の自然美です。
江戸時代の浮世絵師、歌川広重(「東海道五十三次」やゴッホが模写したことでも有名ですよね)も「阿波鳴門之風景」や「六十余州名所図会 阿波 鳴門の風波」で鳴門の渦潮を豪快な描写で表現しています。
歌川広重「六十余州名所図会 阿波 鳴門の風波」
随分とオーバーな…と思うかもしれませんが、実際に観潮船「うずしお」ですぐ近くまで行って目にした時の迫力といったら、もう言葉では表現できないほど。自分が広重だったらもっと豪壮に描いていたはずです。
映画の3D、4D映像や絶叫アトラクションに慣れてしまっている現代人だからこそ、逆にどうなるか次が全く予想不可能な渦潮の激しい動きと轟音に心奪われてしまうのかもしれません。
さて、鳴門の渦潮を観る手段は大きく分けて2種類あります。ひとつは、こちらの「うずしお汽船」に乗船し、水しぶきがかかるほど近くに寄っての観潮。
http://www.uzushio-kisen.com/
こんな小さな船で大丈夫か…と乗船に際し、不安をかき立てることも演出のうちです(違う!)小型船の方が、より近くまで寄れるのです。
日本画家、奥村土牛も《鳴門》(山種美術館蔵)も今からやく60年前の1959年(昭和34)に小型船に乗り鳴門の渦潮を実際に観ています。実に土牛70歳の時の作品とは思えないほどダイナミックで、写真では伝えきれない渦潮の凄味を見事表しています。
この作品を所蔵している山種美術館のサイトにはこの絵にまつわるこんなエピソードも紹介されています。
土牛自身の回想によると「写生帳を出しても、そのころの汽船は渦のそばまで行くと揺れに揺れて、写生はおろか、身体をしっかり支えているのも困難なほどであった。このため後ろから家内に帯をつかんでもらい、まるで人が見たら符牒かと想うかもしれぬような写生を何十枚も描いた。そして同時に、その時の新鮮な印象を頭の中に刻みつけた。」
http://www.yamatane-museum.jp/collection/
でも、船は苦手なんだよな…という方は、もう一つ渦潮の見られる方法があります。ただし高所恐怖症でなければの話ですが……
それが徳島県立「渦の道」です。鳴門海峡に架かる大鳴門橋の橋桁内(車道の下、当初はここに鉄道を通す予定だったそうです)に造られた海上遊歩道。ゲートからてくてく海の上を歩くこと約450メートル。
かなり長い距離を歩くことになりますが、海上45メートルの高さから見渡す景色はまさに絶景!風光明媚な海と島々が目に飛び込んできます。頭上を高速自動車道が通っているので音や振動も加わり無駄にスリルもあり全く飽きることありません。
また、海上45メートルの遊歩道「渦の道」の途中には、ガラス床が数か所設置されていたりと、県立の施設とは思えないほどサービス満点!
「ジャンプ禁止」ってしませんから、ご安心を!
「スリップ注意」って確かにここでこけたら300倍怖いわ!
そして、お待ちかね、渦潮の発生時刻が迫って参りました。ここで「えっ?」と思った方も多いかもしれませんが、渦潮って年中、24時間見られるわけではありません。潮の満ち引きによって生じるので満潮時と干潮時に発生します。
毎日発生する時刻も変わるので事前チェックが肝心です。「潮見表」を観光施設で配布していたり、ネットでも確認出来ます。因みに大潮の時は前後2時間も渦潮が観られるそうです。
http://www.uzunomichi.jp/
さてさて、海上45メートルの高さから実際にどんな感じに見られるかというと…
先ほど紹介した船「うずしお」と大きさを比べると、鳴門の渦潮の大きさがよ~く分かるかと。以前から見たい見たいと思ってはいたものの中々重い腰が上がらず来られませんでしたが、お天気にも恵まれ最良のコンディションで鳴門の渦潮堪能し大満足!大興奮でした!!
渦潮なう。 http://t.co/IG0HUaizGR pic.twitter.com/t3UvvHLvpx
— Tak(たけ) @『美術展の手帖』 (@taktwi) 2015, 7月 30
自然に勝る美はないと良く言ったものです。徳島まで飛行機で羽田から一時間足らず。こんな雄大でどんなアート作品よりもインパクトのあるものが観られるなんて。やっぱり一生に一度は観ておく価値ありありです。
http://www.o-museum.or.jp/
うずしお観潮船の乗船場の道を挟んですぐ隣りに、以前こちらのコラムでも紹介した大塚国際美術館があります。
君は「行ってよかった美術館ランキング」1位の大塚国際美術館を知っているか。
http://ima.goo.ne.jp/column/article/3418.html
「渦の道」へも遊歩道が完備されています。瀬戸内海国立公園内の自然を満喫しながら歩いて15分ほどです。因みに大塚国際美術館さんは当日に限り再入場が可能です(これは有り難い!)潮見表とにらめっこしながら、スケジュール組んでみるのもよろしいかと。
新鮮で豊富な海の幸にも恵まれている徳島県。思い立ったが吉日、びゅんとひとっ飛び世界一の自然美「渦潮」と、トリップアドバイザー「行ってよかった美術館&博物館ランキング」で第一位を獲得した大塚国際美術館に行ってみましょう。
大塚国際美術館
〒772-0053
徳島県鳴門市鳴門町 鳴門公園内
開館時間:9時30分から17時(入館は16時まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)/8月無休
電話:088-687-3737
URL:http://www.o-museum.or.jp/
聖マルタン聖堂@大塚国際美術館 http://t.co/a1gf5eHwXN 環境展示がとにかく素晴らしい! pic.twitter.com/4ny7yPydDJ
— Tak(たけ) @『美術展の手帖』 (@taktwi) 2015, 7月 29
最後に涼しげな和菓子もご紹介しておきますね。山種美術館で展覧会毎に南青山にある菓匠 菊家とコラボし作っている和菓子に奥村土牛も《鳴門》をイメージしたものがあります。
雰囲気出てますよね~食べちゃうのが勿体ない!!
山種美術館
http://www.yamatane-museum.jp/