東京都庭園美術館は「上を向いて歩こう」!

2015/7/7 11:00 Tak(タケ) Tak(タケ)

都内で最も人気のある美術館のひとつである、東京都庭園美術館。建築から80年余の時を経て、重要文化財指定が決定しました。


東京都庭園美術館 本館 正面外観

朝香宮鳩彦王(1887年 - 1981年)、鳩彦王妃允子内親王(1891年 - 1933年)夫妻が、家族の為に建てた邸宅をベースした日本で唯一現存するアール・デコ様式の本格的建築です。

 アール・デコとは、1925年の4月から11月にかけてパリで開催された「現代装飾美術・産業美術国際博覧会(Exposition Internationale des Arts Decoratifs et Industriels modernes)」の略称を由来とする名称であり、1925年様式(LE STYLE 1925)ともいわれています。1910年代から30年代にかけてフランスを中心にヨーロッパを席巻した工芸・建築・絵画・ファッションなど全ての分野に波及した装飾様式の総称です。(東京都庭園美術館サイトより)


東京都庭園美術館 本館  正面玄関

陸軍軍人でもあった朝香宮鳩彦王が、何故ゆえに、こんな瀟洒なアール・デコの邸宅を建てるに至ったかは、あまり知られていません。

実は、フランスで交通事故に遭い大けがを負い、長くパリで療養生活を夫婦で余儀なくされたことが、この館を建てる原動力となっているのです。「瓢箪から駒」ならぬ「瓢箪からアール・デコの館」なのです。

今でこそ、個人輸入や注文住宅で海外の建材を輸入し、日本で建てることもさほど難儀なことではありませんが、1933年(昭和8年)にあのアール・デコ建築を個人で、腕のたつ職人らに依頼し建ててしまったのですから驚き以外の何物でもありません。


東京都庭園美術館 本館 大客室

当時パリで第一線で活躍していたアンリ・ラパン、ルネ・ラリックといったアーティストが手掛けた室内装飾は、展示作品を3倍増しに美しく見せてくれます。他のミュージアムが真似したくても決して叶わない、まさに唯一無二の展示空間を有する美術館なのです。

そんな庭園美術館で是非とも観て欲しいのが照明器具(シャンデリア)です。

玄関やベランダも含め約24の部屋から構成される庭園美術館。元々一階は来客用の公のスペース、二階がプライベートスペースとして作られていますが、どの部屋にも趣の異なる照明器具が取り付けられています。


東京都庭園美術館 本館 妃殿下居間

人の生活に無くてはならない照明。だからこそ拘りたい!という想いが伝わって来ます。邸宅であった空間が持つ意味、物語性に即した意匠の照明たち。上を向いて歩きたくなる美術館でもあるのです。

お部屋はいくら完璧であっても、照明が陳腐では残念ですからね。(流行りの服を身にまとい、おしゃれをしているにも関わらず、靴ががっかりで興ざめ…何てこと経験あります。)

ちょっとだけ、ご紹介しますね。

(左上から)東京都庭園美術館 本館「若宮居間照明」、「姫宮居間照明」、「小食堂照明」、「殿下寝室照明」

各部屋ごとの個性豊かな照明器具たち。「テラス」や「ベランダ」それに「浴室」も全て違うデザインのものが取り付けられています。「客用洗面所照明」も2種類の照明を設置する徹底ぶりには脱帽です。踊り場にだってこれですからね!


東京都庭園美術館 本館 第二階段踊り場

残念なことに、特別展会期中は、館内は全て写真撮影不可となるため、個性豊かな照明やアール・デコの建築美をカメラに収めること叶いません。

しかーし!2015年7月18日(土)から始まる展覧会(「アール・デコの邸宅美術館 建築をみる2015 + ART DECO COLLECTORS」)では、平日に限り本館内の写真撮影が可能となります。(拍手!)

毎週金曜日は21:00まで開館しているので、仕事帰りにカメラ片手に「照明器具」や「旧朝香宮邸の夜の姿」を思う存分カメラに!そうそう天井の照明だけでなく、足元のラジエターカバーや壁紙のデザインにも注目です。

自分だけのオリジナル「庭園美術館写真集」を作ってみるのも素敵ですよね。さ~ていつ行きましょうか。


「アール・デコの邸宅美術館 建築をみる2015 + ART DECO COLLECTORS」

開催期間:2015年7月18日(土)~9月23日(水・祝)
開館時間:10:00–18:00
※ただし毎週金曜日は夜間開館のため21:00まで (入館は閉館の30分前まで。)
休館日:第2・第4水曜日 <ただし9月23日(水・祝)は開館>
会場:東京都庭園美術館(本館・新館)
http://www.teien-art-museum.ne.jp/
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都庭園美術館
協力:東京藝術大学
出品協力:イセ文化財団、大村美術館、オールファッションアート研究所
年間協賛:戸田建設株式会社

重要文化財指定が決まった東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)の魅力を存分に味わえる「アール・デコの邸宅美術館」展が開催されます。
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=4004

庭園美術館へようこそ: 旧朝香宮邸をめぐる6つの物語