『24時間テレビ』TOKIO城島茂を応援しに行ってきたレポ

2014/9/3 17:30 柚月裕実 柚月裕実





8月31日14時をすぎた頃、前日から放送中の『24時間テレビ』は城島リーダーの中継に切り替わった。どこかでみた景色…国道246号線が映っていた。

そこには歩くのと変わらない速度で走る城島リーダーの姿。沿道に立つ人に、ぎこちない表情で微笑むのが精一杯の様子が映っていた。

その姿に触発されて、ゆるい服装のまま財布とスマホだけを手にして家を飛び出した。リーダーを応援したい!

■リーダーを一目みたい

とりあえず目指すは246沿いということで、東急田園都市線の三軒茶屋駅を目指すことにした。 PASMOを忘れたことに気がつき、財布をみたら400円しか入ってなかった。とりあえず片道分は確保できた。いい大人が財布に400円というのも問題だがまあいい。ちょうどやってきた電車にとび乗ってルート検索。スマホに映る自分の顔には眉がない……ま、まあいい。

三軒茶屋駅で下車して、まず目指したのはコンビニATM。軍資金をおろして、すぐそばにいた自転車の違法駐輪を取り締まる方に尋ねた。

「ここは通らないよ、環七からあがってちゃうからあの交差点まで行ったほうがいい」
「ありがとうございます!追ってみます」
一体なんの使命感だ。

ひとまず環七方面へ。時間がなさそうなのでタクシーを捕まえた。海老蔵似のイケメンタクシー運転手に事情を伝えるとおもしろがってくれた。

「リーダーのマラソンをみたいのでとりあえず環七方面へ向かってください」なんて言う客はいないだろう。こっちもどういうわけか必死だ。

交差点にさしかかる手前から沿道にはちらほら人の姿。環七に入ってすぐのところで下車。ワンメーターに心が痛んだが仕方ない。丁寧にお礼を言って降りた。
日テレの車が待機していたのを確認。間に合ったようだ。沿道に立つご婦人に聞いたら近くの日産で休憩中とのこと。日産のビルを探すと一人の女性と目が合い、話をしているとジャニーズファンだということが分かってしばし行動を共にした。彼女は私が知りたいことを全て把握していて丁寧に教えてくれた。全国に広がるジャニヲタ網、心強い!

「今年はTOKIOが走るっていうから来ちゃった」主婦らしき人たちの井戸端会議が始る。「これを走ればウン千万でしょ〜」なんて声も聞こえてきて複雑な心境になった。

しばらくすると遠くの方から歓声がウェーブのように聞こえてきた。休憩を終えて走り始めたようだ。会える!

4車線をはさんだ向かい側にはリーダーの姿。周囲には伴走者が5〜6人。番組スタッフも何人か、警備員もいる。大きな中継車が目の前を通り過ぎていって想像以上に大掛かり。

「どこ?」「いたいた!」「あの白いはちまき」「顔、小さい」「意外と背が大きいんだね」みんな見たままを口にする。

目の前にくるとその声は大きくなってほぼ全員が叫んだ。
「リーダーーーー!」「がんばれ!」
子どもも大人もおじさんおばさんも叫んだ。

「しげるくーーーーん!!がんばってー!!」
「しげるくん!がんば!!!」

エプロン姿のご婦人たちの声だ。リーダーよりも年上の方たちは「しげるくん」と呼ぶらしい。 いざ目の前にするとその姿に圧倒されて、「リーダー!!」と呼ぶのが精一杯だった。

横断歩道を渡ると「右です」とスタッフがリーダーに伝えた。すると視線を右にやって体ごと右をむいた。首が動かないのだ。足はまさに棒。表情は少しけわしくて、それでも笑顔を作ろうとするも言う事をきかないのがわかった。体には靭やかさが全くない様子だった。

通り過ぎたあと、警備員の後には大名行列のように人が続く。沿道には相変わらずすごい人の数。歩道橋の上からはギャルが、車のサンルーフから顔を出した親子、拍手で向かえるおじさんたち、涙するご婦人の姿もあった。

信号待ちを見越して、裏道から先回りすることになった。
路地を一本入れば広がる住宅地、その細い道を猛ダッシュした。子ども、お父さんお母さん、きれいなお姉さん……気づけば20人くらいが一斉にダッシュしていた。無我夢中で一斉に走るその姿はなんとも滑稽で、みんな笑いながら走っていた。

走るよりは遅いけれど、歩くよりは早いという速度でリーダーは歩を進め、あっという間に姿が見えなくなってしまった。気がつけば東横線の学芸大学駅をはるかに越えて、移動手段は徒歩かバスしかなかった。

■ゴール直前にみせたキセキの猛ダッシュ

リーダーはそこから3時間ほど走り続けて武道館へとたどり着いた。
「時間内にたどり着くのが僕の仕事」そう話していたが、夕方の走りからして最後のダッシュは想定外。「気力」というのは底知れぬ力を持っているようだ。

スタッフが到着予想時間を伝えると「壊れてもいいんだ」と言ってペースをあげたそうで、腕を強引に振ってむりやり体を動かそうとする様子が見えた。腕の振りは気力の現れだ。その頃、ステージでは関ジャニ∞が『オモイダマ』を熱唱。それが映像と重なって涙があふれた。

そして中継アナウンサーが語り始めた
「『はじめは山口とはじまりました。山口がピッチャー、僕がキャッチャーですかね』笑ってこう話をしました。そして長瀬さんに関しては『先輩の中でいきなり真ん中。最初は一番悩んだと思う』と、そう後輩を思いやっていました。そして年齢的に5人の真ん中の太一。国分太一さんに関しては『上から怒られ、下にアドバイスを送る、大変だったのは太一だった』そう国分さんのことを話していました。
そして一番やさしいのは松岡。『TOKIOは松岡がいなかったら成り立たない。“俺はいいけどリーダーのことは悪くいうな”と言ってくれるのは松岡だ』と、『あんなやさしいやつはいない』と言っていました。そんなメンバー全員をそう話す城島さん、あなたこそ心優しきリーダーです」
この言葉で涙腺が崩壊した。

ゴールまで残すところ750メートルを過ぎた頃、伴走者が離れてリーダーの独走となった。すると今度は黒尽くめの4人の姿。TOKIOのメンバーがやってきた。思わずテレビに向かって「ぎゃー!」と声をあげてしまった。 リーダーは「ヤカラが来た」と思ったそうだが、メンバーだとわかると体の力が抜けたように真横を向いて笑顔が戻る。緊張がほぐれたのだろう。

武道館のステージに続く扉を「いけー!」と長瀬が開いた。階段を棒のような足で駆け下り、ゴールテープを目指す。しかしその直前で足を止めるリーダー。上の扉にいるメンバーに「来て」と手招きする。その呼びかけを拒否するメンバー。手を広げて「5」と合図したがリーダーの指は「1」に変わった。残念そうな表情を浮かべたリーダーは、上からメンバーが見守る中ひとりでゴールテープをきった。

「あきおさんありがとー!」
「40代もまだまだ捨てたもんじゃないと世の中のお父さん世代の方にわかってもらえたら嬉しいですね」

マイクを向けられるとリーダーは、清々しい笑顔で答えた。さすがはアイドル。

そしてTOKIOのメンバーがステージに立たなかった理由、それは「今年は関ジャニ∞の24時間だから」。かっこよすぎるじゃないかTOKIO。


ジャニーズ入所のきっかけとなった憧れの人、東山紀之の合図でスタートをきったチャリティマラソン。30年間の運動不足を乗り越えて、自称『運動神経のないフツーのおじさん』が101キロを完走した。

後日の特番では、福岡県から応援にきたという夫婦の姿が。「今年43なので応援しに来ました。僕らもう走れないですもん」
リーダーに力をもらったという同世代の男性も「もっとがんばんなきゃって思いますね、もっともっと」と答えた。

リーダーが全身全霊で伝えようとしたことは確実に届いたようだ。

(柚月裕実)