【TVに出ない美女図鑑】朝ドラっぽい?柳原白蓮より波乱万丈な大正生まれ天才美少女 諏訪根自子

2014/9/4 11:24 星子 星子





こんにちは。TVにまだあまり出ていない美女・美少女をご紹介しております星野と申します。最近では、NHK連続テレビ小説「花子とアン」で仲間由紀恵が演じる柳原白蓮の美貌と波乱万丈な人生に注目が集まっているようですね。大正・昭和の美少女・美女の写真や映像を見ていると、クラシカルな美貌もさることながら、そのたおやかでありつつ凜とした雰囲気にも魅了されてしまいます。今回は番外編として、TVに出ないどころか美少女だった時代はTVすら無かった、大正生まれで昭和初期に活躍した伝説の超絶美少女をご紹介します。


■最近撮った白黒写真なんじゃないかと思うほど現代的な美ぼう

今となっては「品のあるお婆さんだなぁ」「派手な婆ちゃんだなあ」なんて思っている往年の女優さんの少女時代の写真を見て衝撃を受けたことはありますか?「そりゃ、女優なんだから若いころはキレイでしょ?」とある程度覚悟して見たにも関わらず、背筋がゾクッとするようなあどけない可憐さに息を呑んだり。



昭和初期を彩る天才美少女といえば、バイオリニストの諏訪根自子嬢が真っ先に思い浮かびます。10代の頃の加藤あいさんにも少し似た、知的で端麗なお顔立ちと意思のそうな瞳。あまりにも整いすぎていて、現代だったら整形疑惑のひとつでも飛び出しそうですがなにせ大正9年生まれ。天然であることはほぼ間違いないでしょう。


■ 池田理代子のマンガのような劇的生涯

ユーチューブでも、美しい音源とともに在りし日の姿を拝見することができます。幼い頃から大人になるまで、一貫して、澄んだ瞳が印象的ですね。彼女は大正生まれの女性としては非常に珍しい留学経験者で、ワールドワイドに活躍した国際人でもあります。少女時代にロシアの宮廷楽団の楽長をつとめたアレクサンドル・モギレフスキーや、ヴァイオリニストの小野アンナを師事し、瞬く間に頭角を現します。



来日したエフレム・ジンバリストの前でメンデルスゾーンの協奏曲を披露し名声を得て1931年、新聞に「天才少女」と紹介されます。人並み外れていたのは美貌だけでなく、育った環境から才能にいたるまで、少女マンガの設定でもやりすぎに思えるほど華々しいスターでした。



ベルギー国王らにも請われ1936年ベルギーに留学し、ヨーロッパ・デビューをはたします。後にパリに移って、原智恵子の紹介でカメンスキーに師事。第二次世界大戦が勃発するとドイツに渡り、ベルリン・フィルとも共演、ゲッベルスからバイオリンの名器「ストラディバリウス」を贈られたという逸話も伝えられています。1944年にはスイスでもコンサートを開き、当時日本人に向けられる視線は決して温かいものでなかったにもかかわらず、その華麗な音色に魅了された聴衆に絶賛されたといわれています。



第二次世界大戦終戦後はアメリカ軍に拘束され、後に帰国。1960年以降は第一線から退き伝説の存在に……。1990年以降に私的なコンサートの音源などがCD化され、気高く美しい演奏テクニックで再び注目を集めました。



美青年揃いと誉れ高いドイツの将校とともに談笑している若かりし頃の写真は、豪華絢爛なハリウッド映画のワンシーンのようです。この時代に、容姿端麗なドイツ人将校と並んでも見劣りするどころか女王然とした気品を漂わせているアジア人は、稀有の存在だったのではないでしょうか?



いかがでしたか?「事実は小説より奇なり」と申しますが、戦前・戦中・戦後の激動の時代、まるで宝塚歌劇団の舞台を地でいくような絢爛な人生を歩んだ女性が存在した奇跡に驚かされます。天才バイオリン少女として一世を風靡した才色兼備な少女は、激動の時代を駆け抜けて92歳までご健在でした。 「諏訪根自子 美貌のヴァイオリニスト その劇的生涯 1920-2012」 という本も出版されていますが、晩年のお写真を見ても上品な端正さはそのまま。若さや可愛さなどはやはり削られていきますが、本物の端麗さは衰え知らずだと思い知らされます。



ただ絶世の美少女だったというだけでなく、激動の時代を華々しい才能と宿命を背負って生きたアーティストとしての人生そのものが興味深く、もし、彼女の人生を映画化・ドラマ化するとしたら、どんな女優を起用したらいいのかついつい思いを巡らせてしまいます。

(星野小春)