「いつまでも古くならないもの」昭和のマルチクリエーター中原淳一展

2023/9/29 22:25 Tak(タケ) Tak(タケ)

戦前から戦後にかけて「ほんとうの美しさ、豊かさ」を追求し、女性たちから圧倒的に支持された中原淳一(1913-1983)。

ファッションデザイン、インテリアデザイン、雑誌編集、イラストレーションなどの領域を大きく超え、多彩な活躍を果たしました。


表紙原画(『それいゆ』第39号 6月号) 1956年 © JUNICHI NAKAHARA/HIMAWARIYA

そんな、昭和のマルチクリエイター中原淳一の生誕111年を記念して開催される「111年目の中原淳一展」が、そごう美術館で開催されます(その後全国巡回)。

中原が手掛けた『少女の友』、『それいゆ』、『ひまわり』、『女の部屋』の表紙原画、スタイル画などを余すところなく紹介となります。


《COLOUR and COLOUR》(『女の部屋』第1号原画) 1970年 © JUNICHI NAKAHARA/HIMAWARIYA


「ファッションブック」(『少女の友』第30巻第8号付録)1937年 © JUNICHI NAKAHARA/HIMAWARIYA

雑誌など印刷物の仕事だけでなく、人形、洋服、ゆかた、きもの、帯など、中原が仕事を通して表現したことの全貌を見せんとする回顧展です。

111年目を迎えた令和の世でも、少しも色褪せることなく、いまなお輝き続ける中原淳一の魅力を横浜で存分に味わいましょう!


《SOLEIL PATTERN》(『それいゆ』第25号口絵原画) 1953年 © JUNICHI NAKAHARA/HIMAWARIYA

展覧会の構成(予定)は以下の通りです。

1章 「新しい」少女のためにー『少女の友』からはじまる淳一の歩み

戦前に発行されていた雑誌『少女の友』で中原の画家としての活躍が始まりました。西洋的で、大きな瞳と細長い手足をもった中原の「新しい少女」像は、現代のアイドルのように熱狂的に支持されました。そのエッセンスは、後の少女漫画に大きな影響を与えていきます。


《女学生服装帖》(『少女の友』第32巻第9号原画)1939年 © JUNICHI NAKAHARA/HIMAWARIYA

2章 「美しい暮らし」のためにー雑誌『それいゆ』の仕事を中心に

ファッション、美容からインテリア、手芸、文学、音楽、美術に至るまでー。美の本質を追い求めた中原の思いを雑誌『それいゆ』での仕事を中心に紹介します。表紙画やスタイル画の美しさはもちろん、斬新なページレイアウトや鋭い視点のメッセージが、今また新鮮に目を奪います。


それいゆ1954年秋号 表紙 © JUNICHI NAKAHARA/HIMAWARIYA

3章  平和の時代の少女のために

戦争によって少女時代を奪われた女性たちのため、中原は1947年に雑誌『ひまわり』を創刊します。「よき女性の人生は、よき少女時代を送った人に与えられるのではないか」と情熱をもって作られた雑誌が、新しい時代の少女たちに夢を与えていきました。


「ひまわり夏休み手帖」(『ひまわり』第4巻第8号付録) 1950年 © JUNICHI NAKAHARA/HIMAWARIYA 4章  中原淳一の原点と人形制作

中原は少年時代、絵と読書、そして人形作りに強い関心をもっていました。10代のころにつくられた詩画集や油絵、デビューのきっかけとなった人形作品など、アーティスト・中原淳一の創作も紹介していきます。


《パッチワークのフレアスカート》1955年 撮影:岡田昌紘 ディレクション:Gottingham © JUNICHI NAKAHARA/HIMAWARIYA

「いつまでも古くならないもの」

―それこそがむしろもっとも「新しい」ものだとはいえないでしょうか。

人生はスカートの長さではないのです。


中原淳一 © JUNICHI NAKAHARA/HIMAWARIYA

中原淳一 JUNICHI NAKAHARA
1913年 香川県生まれ
1926年 上京
1930年 上野広小路の高級洋品店のデザイナーに抜擢される
1932年 創作人形の個展開催
1935年『少女の友』の表紙絵を描く。(以降1940年まで66回表紙絵を担当)
1939年 ヒマワリ社の前身となる洋飾雑貨と洋裁の店「ヒマワリ」を開店。
1946年 女性誌『それいゆ』を創刊
1947年 月刊誌『ひまわり』を創刊
1954年『ジュニアそれいゆ』を創刊
1970年『女の部屋』を創刊
1975年『中原淳一画集』を刊行


《花の傳説 カーネーション》(『ひまわり』第2巻第9号原画) 1948年 © JUNICHI NAKAHARA/HIMAWARIYA

戦前から戦後にかけて「ほんとうの美しさ、豊かさ」を追求し、女性たちから圧倒的に支持された中原淳一。

生誕111年を記念し、中原の手による『少女の友』、『それいゆ』、『ひまわり』、『女の部屋』の表紙原画、スタイル画など雑誌の仕事に焦点を当てながら、絵画や人形など、中原が表現したことの全貌を紹介。


表紙原画(『ジュニアそれいゆ』第6号)1955年 © JUNICHI NAKAHARA/HIMAWARIYA

年末年始は、横浜のそごう美術館へ懐かしくて新しい中原淳一に会いに行きましょう~会期中なんと無休です!!

https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/



「111年目の中原淳一展」
会期:2023年11月18日(土)~2024年1月10日(水)
会場:そごう美術館
(神奈川県横浜市西区高島2-18-1 そごう横浜店6階)
時間:午前10時~午後8時
*入館は閉館の30分前まで。
*12月31日(日)、1月1日(月・祝)は午後6時閉館。
休館日:会期中無休
主催:そごう美術館、朝日新聞社、神奈川新聞社
後援:神奈川県教育委員会、横浜市教育委員会
協力・監修:ひまわりや
企画協力:島根県立石見美術館
協賛:そごう・西武
※以後、全国を巡回予定
https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/




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ひまわりや (監修), 中原 淳一 (著)