香りビジネスが盛んなアメリカでは、香料の使用を禁止する都市も。香りのトラブル、ご存知ですか?

強い香りの柔軟剤が健康を害する?

強い香りのする柔軟剤や洗剤のブームが続いています。しかし、これが健康を害する可能性が指摘されています。

日本より先に香りビジネスが盛んになったアメリカやカナダでは、香料による呼吸困難やアレルギー症状などが問題になり、市職員などで香料の使用を規制する都市も出ているほど。

オフィスや学校、病院で使用を自粛するところも増えているそうです。

また、日本消費者連盟が2017年に2日間限定で開設した「香害110番」には、213件の訴えが寄せられました。

ご近所の洗濯物や、職場、学校、電車の中で充満する香料のニオイ刺激で、日常生活に弊害を受けた人が少なからずいたということです。

シャボン玉石けんの行った「香り付き洗濯洗剤に関する調査」でも、59%の人が「人工的な香料のニオイで、頭痛、めまい、吐き気、関節痛など体調不良になったことがある」と回答しています。

ブルガリアンローズ小さじ2杯には花びらが30kg必要

香料は、洗剤などの日用品だけでなく、多くの加工食品にも添加されて私たちの口にも入っています。

香料に触れない日常をおくることは、私たちにとってもはや難しいことかもしれません。

では香料の何が問題なのでしょう。日本で使用される香料の95%は合成、5%が天然です。

天然香料は花や植物などから抽出され、大量の原材料が必要になったり、希少性があったりして高価です。

たとえば、ブルガリアンローズの香料を小さじ2杯とるため、開花前のローズの花びらが30kgも必要になります。

一方、合成香料は、天然香料に含まれる匂い分子を分析し、似た成分を合成したもの。

安価なため、一般的に柔軟剤や洗剤に使われているのは合成です。しかし、合成だから悪いわけではありません。

天然でも毒のあるものもありますし、逆に合成だと毒性のある分子を取り除けるため、ほとんどは安全です。

発がん性や内分泌かく乱作用が指摘されることに

しかし、毒性は後から見つかる場合もあります。「ムスク」という香料は、麝香鹿(じゃこうじか)の分泌物から作られていましたが、乱獲が問題になり、合成ムスクしか使用できなくなりました。

この合成ムスクが、後に発がん性や内分泌かく乱作用が指摘されることになったのです。

ムスクには香料を定着させる作用もあるため、シャンプーや洗剤、芳香剤などに広く使われています。

これが下水から海にばらまかれ、食物連鎖として魚を通じて、ヒトの体内からも検出されています。

現在では、安全性の高い合成ムスクが開発されていますが、こちらは比較的高価なため、安価な工業製品には利用しづらいのが現状です。

日本を含めた先進国では、厳しい国際基準に基づいて安全な香料が使用されてはいますが、日常的に手に入る安価な輸入品や工業製品には注意が必要です。

消臭・芳香剤でアレルギー症状を起こすことも

また、置き型の消臭・芳香剤では、シックハウス症候群や化学物質過敏症の原因になるアルデヒド類やケトン類などの揮発性有機化合物が放散される懸念も。

簡単に空気中に拡散するので、体を守る働きが弱い小さなお子さんの気管支や皮膚に影響し、アレルギー症状を起こす場合もあります。

本来、暮らしを快適にするはずの香りですが、まちがってプラスしてしまうと、周りの人を不快にするだけでなく、健康や環境を害する可能性もあります。

こうしたことを念頭に置いて、身の回りの香りをコントロールしましょう。

出典:https://www.shabon.com/kougai/

執筆/監修:株式会社からだにいいこと


桐村里紗(きりむら・りさ)

【お話を伺った人】桐村里紗(きりむら・りさ)

内科医・認定産業医。
治療より予防を重視し、ヘルスケアをライフスタイルデザインと再定義し、生活者の行動変容を促すコンテンツ開発を行う。著書に『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)他。ニオイ解決WEBサイト『ナゼクサ.com』運営。