不妊治療のひとつの体外受精。基本的な治療の流れから、費用についてなどを解説します。
体外受精と自然妊娠の確率はどっちが高い? 治療の流れや費用について

体外で受精させ、受精卵を子宮に戻す

基本的に保険適用外の不妊治療である体外受精。

体外に女性の卵子を取り出し、パートナーの精子と受精させ、できた受精卵を子宮に戻して着床を促すものです。

一般的には2~5日の培養後に、できるだけ良好な胚を選んで子宮内に移植します。

不妊治療のタイミング法や人工受精をしたけれど、妊娠に至らず体外受精を行うケースか、体外受精でしか授からないと医師により判断された場合に行われます。

他の不妊治療は、妊娠しないのは体内で受精が起こっていないからなのか、精子や卵子の力が落ちているからなのかは不明です。

それに対し体外受精の場合、精子と卵子を確実に受精させることができるというのが利点です。

日本生殖医学会によると、それぞれの精子と卵子に妊娠する力が残っていれば、ほとんどの場合に受精卵が正しく育ち、妊娠が成立するとされています。

体外受精のおおまかな流れは以下のようになります。

卵巣刺激(排卵誘発剤の投与など)
 ↓
採卵・採精
 ↓
受精
 ↓
胚培養(通常2~5日)
 ↓
胚移植(子宮内へ移植)
 ↓
黄体ホルモン補充(着床率を高めるため)
 ↓
妊娠判定

女性の体へのリスクが考えられる

体外受精による出生児は全世界で400万人を超えたといわれていて、明らかな異常は証明されていません。

ただ、不明点が多いため、各国で出生後調査が進められています。

現在考えられる、体外受精をするにあたってのリスクは、女性の体への影響です。

採卵の準備のために使われる卵巣刺激剤や排卵誘発剤によって卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が起こる可能性があります。

個人差がありますが、薬の反応が強すぎた場合に、過剰な数の卵胞が発育してしまうのです。

卵巣肥大、腹水や胸水がたまるなどのほか、重症になると血栓症、呼吸困難などの症状がでる場合もあります。

また、採卵時に起こる可能性があるのが腹腔内出血や膀胱出血です。

採卵は超音波下で慎重に卵胞穿刺をしますが、腹腔内に出血がおこったり、卵巣の位置の関係で膀胱壁を穿刺しなければならない場合、膀胱出血が起こります。

採卵後しばらく血尿が続きますが、時間が経てば自然に傷は治ります。ごくまれに起こることですが、症状によっては手術が必要なこともあります。

さらに、採卵時に膣内の細菌が腹腔内に入ることで、骨盤内感染症になり発熱や腹痛などの症状が起こることもあります。

感染を防ぐには、膣内の消毒と抗生物質の投与が有効です。特に、チョコレート嚢腫や卵管水腫、骨盤腹膜炎の経験者は注意が必要です。

顕微受精と、体外受精の違い

体外受精と顕微受精は、体外で受精させるという部分では同じですが、精子と卵子の受精のさせかたが違います。

体外受精では、受精させる精子を卵子が入った培養液に加え、その中で精子が受精するのを待ちます。

顕微受精では、顕微鏡で観察しながら細いガラス針に元気に運動している精子を1つ選択して入れ、ガラス針を卵子に刺して精子を注入し受精させます。

ただ、選んだ精子がベストなものかは検査することができません。

日本生殖医学会によると、この方法の場合一般的に受精率は平均で50~70%とのことです。

気になる体外受精の費用と成功率とは?

体外受精での妊娠率は日本全国で約23%、または25~30%といわれています。

女性の年齢により個人の成功率は変わり、年齢が高いほど成功率は低くなります。

この数字は、「体外受精では25~30%は1回で妊娠し、残りの70~75%は1回では妊娠しない」ということを意味します。

ちなみに、異常のない夫婦が排卵日に性交したとしても妊娠する確率は25%。

実際に、体外受精は1回で妊娠しない場合が多いのですが、この確率は自然妊娠の確率と変わりはないのです。

気になる体外受精の費用ですが、保険適用外のため、薬代や診察料などすべて実費となり、1回でだいたい20~50万円が相場ですが、病院によっては100万円程度かかるところも。

また、余った受精卵を凍結する余剰胚凍結保存や、顕微受精技術料を行うと、それぞれ、4~5万円追加でかかります。

執筆/監修:株式会社からだにいいこと