結婚は、愛する人と家族になるだけではなく、その人の両親とも親族関係(姻族関係)になることを意味します。そして、嫁姑関係といえば、うまくいかないのが世の常ですが、中には、夫婦関係にまで影響を及ぼすこともあります。そこで、今回は、義母が原因の離婚について考えてみたいと思います。

離婚を考えるまでになる理由

息子夫婦の家庭に過剰な干渉をする

本来、結婚すれば親から離れ、独立して新しい家庭が作られるはずです。しかし、日本には、「先祖代々からの家は守っていくべき」との考えが、いまだに根強く残っています(特に今の姑世代には)。

そのため、家族イベントのやり方や料理の味付けに至るまで、「うちのやり方は変えないもの」という信念に基づき、息子の新しい家庭に干渉してきます。例えば、遠い親戚の法事にまで「本家筋の嫁だから」と出席を求められたり、聞いてもいないのに、「うちの息子は私の味付けでないと食べないのよ~。」と料理を教えようとしてきたりします。

孫を生きがいにして子育てに参加しようとする

義母は子どもの巣立ちによって、自分自身は解放感と喪失感を同時に味わいます。そして、その喪失感を埋めるものとして最適なのが孫の存在なのです。

当たり前ながら、義母は子育ての経験者です。そのため、自分は嫁より上だと言わんばかりに、上から目線で口を挟んだり、実際に育児にかかわろうとしてきます。

しかし、義母世代の子育て論はすでに古かったりします。また、義母の子育て参加が過剰な場合、子どもを取られたような気持ちになり、「この子の母親は私です!」と反発したくもなります。

子育てに口出しすることは、実母であっても難しかったりしますので、義母ならなおのことです。

息子離れができない

息子は、義母にとって、ずっと自分が守らなければならない存在でした。その息子が自分以外の女性を大切に思い、自分に背を向けるのです。結婚してよかったと思いはしても、立場が変わった現実についていけず、いつまでも息子を手放せないのです。そして、義母と妻は息子(夫)の愛情獲得のための対立関係になります。

夫に困って相談しても思うような反応をしてくれない

義母とコミュニケーションが上手くいかないとき、頼りにしたいのが夫です。しかし、夫に相談してもわかってもらえない時は悲しみが倍増です。所詮、夫もこれまで義母と同じ生活習慣の中で暮らしてきた人なのです。そして男性の多くは母親を深く愛しています。

嫁姑問題を乗り切る3つのコツ

義母と物理的距離をとる

義母にしても、息子夫婦の生活が見えてしまうと、あれこれ口や手を出したくなります。しかし、自宅が離れていたり、妻が働いていて日中連絡が取れないなどの理由で、頻繁に会ったり連絡したりできなければどうでしょうか。

気にはなるけれど、息子夫婦がどんな生活をしているのか、いまいち把握できない。そんな状況であれば、義母としても手出しのしようがないのです。

義母と仲良くなる

対立関係ではなく、義母と同盟を結び「私はあなたのことが大切」とアピールする方法もあります。

多くの義母にとって、「嫁」の存在は潜在的に「敵」です。しかし、妻から大切にされ、持ち上げられ、「お義母さん、お義母さん」と慕われれば、潜在意識も変化します。

面倒かもしれませんが、お誕生日や母の日にはプレゼントを贈るとか(贈るものを毎年同じに決めておくと案外楽です。)、義母の作ってくれた食事を「やっぱりお義母さんのお料理はおいしいです!」とパクパク食べるなどしてみてください。

ちょっとした工夫や我慢で嫁姑関係が改善されたりします。

義母は「所詮先に亡くなるのだ」と割り切る

「どうせ先にいなくなるんだから」、そんな風に自分に思いこませて、毎日を乗り切っている人もいることと思います。

また、義母は、そのうち、心身の老化のため、世話をしてもらう側になっていきます。そうなれば、もはや妻の敵ではありあせん。

いつかは自分が強い立場になる、もしくは先にいなくなるということを励みに嫁姑関係を乗り切るというのもありかもしれません。

それでもやっぱり離婚に至った際の注意点

離婚協議に義母を参加させない

離婚は夫婦の問題です。義母が話合いに加わると、自分の子を思うが故に感情的になり、話合いがかえってこじれがちです。もちろん、法的知識もないわけですから、発言の根拠は「感情」もしくは「義母の常識」です。そんな義母が話の仲介役として不適切なのは火を見るよりも明らかです。

子どもは義母を好きでもいい

婚姻期間中も離婚の話合いに入ってからも、つい子どもに義母の愚痴を言ってしまう事があります。しかし。それはやめましょう。

子どもにとって、義母は血のつながった大切な存在です。たくさんの大人にかかわってもらい、その人たちから健全な愛情を受けて育つことは、子どもの精神的安定にもつながります。子どもの方から義母の悪口を言ったとしても同調するのはやめましょう。

義母との面会交流も前向きに

父母が離婚することになっても、特別な事情がない限り、子どもと父親の交流は続けましょう。そして、義母との交流も同じです。あなたには不満のあった相手かもしれませんが、子どもが同じ思いとは限りません。子育てに慣れない父親一人にみてもらうより、実家に連れて行ってもらい、義母らにも手伝ってもうら方が安心ってものです。

まとめ

古今東西、嫁と姑の関係は難しいと決まっています。無防備に「母親が増えた」と喜ぶより、うまくいかなくて当たり前、くらいに思っている方がいいかもしれません。

専門家:小泉 道子■専門家プロフィール:小泉 道子
離婚テラス(相談機関)」及び「 家族のためのADRセンター(法務省認証機関)」代表。家裁勤務経験をいかし、悩めるご夫婦の仲裁役として奮闘中です。

この記事は2019年3月に執筆されたものです。