金持ちけんかせず、なんて言葉がありますが、これは夫婦にも当てはまるのでしょうか。

確かに、世帯に十分な収入があれば、よくある夫婦げんかのネタとしての家事・育児の分担問題もシッターさんや家事代行サービスなどに外注することで解決できそうです。また、お金に余裕があれば、相手へのプレゼントにも素敵なものを贈れそうですし、お金の節約をめぐってのけんかもなくなりそうです。

お金が心の潤滑油、ひいては夫婦関係の潤滑油となって、夫婦円満へと導いてくれそうな気がします。

しかし、数知れずのご夫婦の離婚に立ち会ってきた私としては、「お金のあるなしと夫婦仲は関係ない」と思うのです。むしろ、離婚の危険因子が多いと思うくらいです。

今回は、世帯収入の高さと夫婦仲の関係についてお伝えしたいと思います。

離婚理由の第一位は「性格の不一致」

最高裁判所のHPに掲載されている司法統計によりますと、離婚理由の第一位は、いつの年も「性格の不一致」です。そのほか、暴力や浮気などが続きますが、いずれもお金のあるなしに関係なさそうです。

むしろ、これまでの経験上、医者や弁護士、理系の研究者といった収入や社会的地位の高い人ほど、変わった人が多く、意思疎通が困難だったように思います。

こういう人は、「あの人、何を言っても通じない。」、「あの人とは共通言語で話せない。」などと言われ、離婚届を突きつけられるのです。

お金があると浮気する?

学生時代の恋愛と異なり、いい大人の浮気はお金がかかります。
レストラン代にホテル代、プレゼントや旅行の費用など、例を挙げればきりがありません。

さらに、浮気相手との逢瀬は、いつでもどこでも可能なわけではないので、「この瞬間を大切にしたい」という思いや、非日常の高揚感などが、これらの費用の単価を上げるのです。

夫の財布の中にあったレシートから浮気を暴いた妻たちからは、

「こんな高級なレストラン、連れて行ってもらったことがない」
「こんな高価なプレゼント、結婚以来もらったことがない。」
「お金がないから、ここ数年家族旅行もいけていないのに」

といった嘆きが聞かれるのです。

そのため、お金があるというのは、浮気が可能ということにほかなりません。もちろん、お金がある人全員が浮気をするわけではありませんが、収入が高いと、浮気リスクがアップするのは間違いないでしょう。

ワークライフバランスの崩壊

仕事は、頑張れば頑張るほど目に見える成果が出たりします。特に自営の方などは、自分の働きが収入に直結するわけですから、否が応でも力が入ります。

そうなると、仕事に重きを置きすぎ、家庭がおろそかになってきたりします。家事育児の分担バランスも崩れ、家庭内での不満がたまります。

また、自分の仕事がうまくいっていて、とても忙しいなんてとき、相手の仕事上の愚痴などを温かい気持ちで聞けなかったりします。「愚痴を言ってる暇があったら動けばいいのに」とか「結果が出ないことを他人のせいにしちゃいけないよ」などと、ついつい上から目線で意見してしまったりします。

そんなこんなで、働きすぎて収入は高いけれど、家庭内には不満がうっ積し、離婚に至るなんてこともあるのです。

収入バランスの崩壊

世帯収入が高い夫婦の中には、どちらかの収入が圧倒的に高いという場合があります。そんな場合、その格差による夫婦不和が懸念されます。

家庭内で一方の地位が高くなりすぎ、モラハラやDVにつながることもあります。

浪費問題

また、世帯収入が高い夫婦に起こりがちなのが、お金の使い方によるけんかです。

収入が高い人の中には、稼いだものは世の中に還元し、経済を回すのだと言わんばかりに消費する人もいます。また、夫の稼ぎが多いと、周囲への見栄もあり、浪費がちになる妻もいます。

一方で、お金への執着が強く、必要以上に節約しようとする人もいます。

消費生活に対する夫婦の姿勢が異なると、問題が深刻化します。なぜなら、お金の問題は、日々の生活に密着しており、何につけてもけんかしなってしまうからです。また、家計の方針は将来設計にも大きく影響をもたらすため、夫婦としての基盤を揺るがしかねないのです。

もちろん、世帯収入が低い夫婦にも同じことが起こりえますが、収入が少ない場合、節約するしかなく、夫婦間で消費態度に大きな差異が見られにくいのです。

まとめ

世帯収入が高いからといって、夫婦仲が円満にいくとは限らないのをお分かりいただけたでしょうか。

夫婦の幸せの度合いや、離婚リスクは世帯収入の多い少ないで決まるものではなく、収入に応じた生活をすることや、家庭生活を充実させることなど、毎日の生活の積み重ねなのかもしれません。

専門家:小泉 道子■専門家プロフィール:小泉 道子
離婚テラス(相談機関)」及び「 家族のためのADRセンター(法務省認証機関)」代表。家裁勤務経験をいかし、悩めるご夫婦の仲裁役として奮闘中です。

この記事は2019年2月に執筆されたものです。