清潔にすれば病気は減る、と思いがち。

しかし増え続ける花粉症などのアレルギー疾患には逆効果…。

アレルギー患者が大幅に増えている!

「つらい花粉症シーズンが始まる…」と、ため息をついている人も多いのでは。

花粉症やアトピー性皮膚炎、ぜん息などのアレルギー疾患は根本療法が難しいため、何年も症状に苦しむことになりがち。

しかも厚生労働省の調査によると、アレルギー疾患の患者は、2005年では日本人の約3人に1人だったのが、2011年では約2人に1人と、大幅に増えているのです。

その原因としてひそかに指摘されているのが、日本人の超清潔志向。

テレビを見ていると「殺菌」「除菌」「消臭」などの効果をうたう商品の広告が次々と流れてきます。

お母さんは子どもや夫のためにと家の中を熱心に殺菌、除菌し、オフィスの手洗い場に除菌・消臭スプレーやハンドソープが常備されています。

しかし、それは本当に必要でしょうか?

米国医師会は2002年の時点で「抗菌剤入りの洗剤を日常的に使うことにより、健康被害や耐性菌を生み出す危険性がある」と警告しているのです。

皮膚の“菌バリア”が病気を防ぐ

かつて“菌”といえば「バイ菌」などの言葉に象徴されるように、悪いものというイメージでした。

しかし腸の“善玉菌”という言葉が一般的になり、体によい菌があることが知られてきました。

そして、腸内細菌の種類が多様な人ほど、健康体であることもわかっているのです。

ちなみに菌は微生物の一部ですが、私たちをとりまく環境には、有害な微生物より、人によい働きをする有用な微生物が圧倒的に多いことがゲノム解析の技術で判明しています。

私たちはこうした有用な微生物と共存してこそ、生きていけるのです。

私たちの皮膚の表面にも、多くの常在菌が暮らしています。

これらは共同でバリアを作り、病原性のある菌の侵入や増殖を防いでいるのです。

このような皮膚を保護している菌を殺菌消毒してしまうと、皮膚はむき出しになり、病原菌が暮らしやすい環境になってしまいます。

菌の力によって汗と皮脂の中の成分を分解することで、皮膚の上に乳液のベールを作っていることもわかっていますから、美容面でも菌の役割は大きいのです。

殺菌や除菌は“前時代的”

そして今、先進国において、環境が清潔になればなるほど、アレルギー疾患が増えていることが問題視されています。

研究者からすると、むやみな殺菌や除菌は将来の病気を招く危険行為であり、前時代的だと言うのです。

ちなみによい菌の多様性を保つには、子どもの頃から様々な菌に触れることが大切だと知られています。

そのためにペットを飼っているという研究者も。

ペットは人間にはないたくさんの微生物を持っているので、一緒に暮らすことで様々な菌に触れられるからです。

子どもを健康に育てたかったら、熱心な除菌・殺菌より、ペットを与えることがオススメと言えそうです。

【監修】桐村里紗先生
内科医・認定産業医。分子栄養学や常在細菌学、生命科学などの知識を活かし、執筆・講演を行う。著書に『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)他がある。ブログ『進化しましょ。』

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと