グルメ番組で連呼される「やわらか~い!」。一見よさそうだけれど、実はたくさん問題があるんです。

現代人の噛む回数は弥生時代の5分の1に激減!

ふわっふわのパンケーキや、とろける食感のお肉…、いまはやわらかい食べ物が大ブーム。でもそれ、体によくないことがたくさんあるのです!

戦前の日本では、繊維質の多い、かたいものをよく食べていました。しかし、戦後は食生活がジャンク化、ファスト化、やわらかい食べ物が多くなり好まれるように。いまでは“噛むのが面倒くさい”とまでいう人もいるくらいです。

食事でものを噛む咀嚼回数を比べると、現代人は1日に約1000回。弥生時代は約4000回も噛んでいたとされており、4分の1に激減しています。昭和初期の約2000回と比べても、半分に減っているのです。

満腹中枢を刺激できず食べ過ぎで肥満に!

しかし噛まない食事は以下のように、さまざまな体の不調やトラブルにつながる恐れがあります。

●噛まないと唾液の分泌が少ないため、口の中の環境が悪化し、虫歯や歯周病に
●唾液が少ないと、口の中が乾き、口臭が出やすくなる
●よく噛まないと消化が悪くなり、腸内環境が悪化
●やわらかい食べ物は早食いになり、脳の満腹中枢を刺激しにくいため、食べ過ぎで肥満に
●噛まないとアゴが発達しにくく、小さくなるため、歯並びが悪くなり、体全体の歪みや痛みの原因に
●口の周りやアゴの筋力を使わないと、顔がたるんで老け顔に

逆によく噛むことは、脳に刺激を与えて認知症の予防につながるなど、いいことがたくさん起こるのです。

しっかり噛んで飲み込めると生命力がアップ!

本来、噛めなくなるということは、死に近づいていく老化現象です。人は、死に近づくと「噛めない、飲めない、食べられない」体になっていきます。人間が寝たきりに向かうプロセスの一番最初の段階は、噛めないことを含めた口腔機能の低下なのです。

実際に高齢者で、食べ物をどんどんやわらかくし、最終的にペースト状の流動食にしてしまうと、足腰の筋力が低下して「立てない、歩けない」状態になっていきます。

しかし、入れ歯を調整してよく噛めるようにすると、飲み込む機能も回復。すると頭も体もしっかりして生命力が上がってくることを、担当医として私自身も何度も経験しています。

やわらかい食べ物ばかり食べていると、早く老けてしまうことに! 食物繊維の豊富な歯ごたえのある食べ物で、若さと元気を保ちましょう。

【監修】桐村里紗先生
内科医・認定産業医。分子栄養学や常在細菌学、生命科学などの知識を活かし、執筆・講演を行う。著書に『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)他がある。『ドクターりさの躍動するブログ』

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと