医療の向上で妊婦の死亡率は減少傾向でしたが、出産後、産後うつなどで自殺する女性が多いと言われています。その現状をまとめました。

妊娠中から産後1年未満の女性の死亡原因の1位が自殺

「産後うつ」は出産後2~3週間から6カ月の間に発症することが多いとされてます。数週間から数カ月にわたって抑うつ状態が続き「赤ちゃんがかわいく思えない」「理想の母親になれる自信がない」「子どもの人生をこれらから背負うのが重圧」といった負の感情にさいなまれます。

これに関連するのが、妊産婦の自殺です。国立成育医療研究センターなどのチームが発表したデータによると、2015~2016年の2年間で亡くなった妊産婦の約3割が自殺。うち9割が、出産後1年以内なのだそうです。なんと、妊娠中から産後1年未満の女性の死亡原因で、最も多いのが自殺でした。

この自殺の理由のひとつにあげられるのが「産後うつ」です。また、赤ちゃんとの無理心中など、産後うつが原因ともされる悲しい事件も報告されています。一般的に、赤ちゃんのケアが最優先となっていて、産後の女性のケアは後回しという傾向があります。その影響で、産後うつとは気づかずに症状を悪化させてしまう人も少なくありません。

核家族化や高齢出産の増加で産後うつが深刻化

産後、女性の体は出産の影響で傷ついた状態です。貧血や高血圧、出血や恥骨の痛み、尿もれなど、たくさんの症状が起こります。子宮機能の回復には、6〜8週間かかるといわれています。高齢出産になれば、この回復期間はさらに長くなります。そして本来、体を回復させたいこの期間も、2〜3時間置きの授乳で睡眠不足になるという、つらい環境が続きます。

また、核家族化でまわりにサポートしてくれる人がいない場合、夫が多忙であれば、すべて一人でこなさなければならない“ワンオペ育児”の状態に。

特に真面目な性格の女性ほど、完璧な育児と家事を求めがちなため、挫折しやすく、産後うつになりやすい傾向にあります。「出産後、世界が一変した」「社会から取り残されていく気がした」といった気持ちを抱えたまま、助けを求めることもできず毎日の生活に追われている現状があるのです。

行政の産後サポートを利用して

このように母親がストレスを抱えている状態は、自殺のほか、育児放棄や虐待につながる可能性も。行政でも産後サポートを支援する動きがでてきており、電話相談や家庭訪問などを実施しているところもあります。

たとえば、東京都の品川区では、大学院と提携した産後ケアを提供。産後4カ月、1回4時間までですが、品川区内のホテルでリフレッシュを目的としたサービスを展開しています。母親が過ごしている間は、助産師が子どものケアをしてくれるのも安心。子育てに関する相談にものってもらえます。

ここまでのサービスは珍しいものですが、各自治体では電話相談窓口など産後ケアのサービスを開始しています。一人で抱え込まずに、誰かに話してみるだけで、心が休まることも。まずは、自分の住んでいる自治体のHPを確認してみましょう。

執筆/監修:株式会社からだにいいこと