親の離婚を経験した子どもたちは、いったいどのような気持ちになるのでしょうか。

大人が思っている以上に、子どもは繊細で傷つきやすく、しかし一方では力強い回復力をもっていたりします。

今回は、離婚の「後」の子どもの気持ちに焦点を当ててみました。

自分は親から愛され生まれてきたのか

「自分は親から愛されて生まれてきたのか」

両親の離婚を経験した子どものほとんどは、成長の過程で、この問いを心の中に持つようになります。

親にしてみれば、嫌いになったのは妻や夫であって、子どもへの愛情は変わらない、そんな気持ちだと思います。

しかし、子どもにとって、両親が離婚をするということは、自分が生まれてきた意味や親の愛情まで信じられなくなってしまうような一大事なのです。

偶然見つけた母の日記帳に、「父を愛している」、「子どもが生まれて幸せだ」と書かれてあったのを目にしたとき、‟私は愛され、望まれて生まれてきたんだ“と感じることができた、と書かれた手記を目にしたことがあります。

その方は、その事実が分かってからは、両親の離婚をつらいとは思わなくなったということです。

やはり、親に愛されているという認識は、子どもの健全な成長に欠かせないということを実感しました。

表面的な慰めはかえって辛い

両親の離婚を経験した子どもは、自分の複雑な気持ちを吐き出す所を求めています。

例えば、自分は両方の親が大好きなのに、一方の親から悪口を聞かされ、嫌になってしまう。そして、悪口を言う親と同調してあげられない自分にも罪悪感を持ったりします。

また、一緒に住む親が再婚し、そこに子どもが生まれたことを喜べなかったりもします。

そんな複雑な思いを相談しても、経験したことのない友人には理解ができず、表面的な慰めしか返ってこないことがあります。

そんなとき、「誰もわかってくれない。話すと傷ついてしまうから言わない。」と、どんどん辛さをため込んでしまうのです。

表向きは頑張って明るく振舞ってしまうと、矛盾が起こり、中には、神経症になる子どももいます。

「結婚はしない!」と思ってしまう

幼いころから両親のいさかいを見て育ったり、両親の離婚を経験した子どもは、「自分も結婚したら両親のように離婚するのではないか」と不安を抱いたりします。

また、「愛なんて、この世に存在しない」と、自分は一生恋愛も結婚もしない、と考えたりもします。

一番身近な「夫婦のモデル」は両親です。その両親が喧嘩やその末に離婚をするのですから、子どもにしてみれば、いい夫婦のイメージがわきにくいのです。

しかし、そんな子どもたちの多くは、成長の過程で自分を心から愛してくれる人と出会い、信頼し、結婚をすることになります。

そして、両親を反面教師に、夫婦のコミュニケーションの大切やパートナーへの感謝を胸に、幸せに暮らしている人もいます。

いずれ両親の離婚を乗り越える

子どもは、いずれ成長し、様々な体験を通して多角的に物事を考えられるようになります。

そうすると、「母も寂しい思いをし、見捨てられ感があったのではないか」、「父は、私に自分と同じようになるなと言いたかったのではないか」などと、両親の気持ちを察することができるようになります。

また、一方で、両親を許せないとの思いを抱き続け、縁を切るという形で両親の離婚と折り合いをつける子どももいます。

折り合いのつけ方やそれにかかる時間は人それぞれですが、いずれ子どもは両親の離婚を乗り越え、自分の人生を生きていきます。

何よりも環境作りが大切

両親の離婚を経験する子どもたちの声は、ここにご紹介したものに限らず、本当に様々です。

しかし、多くの子どもたちは「本当なら家族みんなで暮らしたい」、「両親に争ってほしくない」、「両親から愛されたい」と思っているものです。

この子どもの気持ちをどうしたら実現してあげられるのか。

残念ながら、離婚に至るご夫婦の場合、家族みんなで暮らすことは実現してあげられません。

しかし、一定の距離を置きつつ、けんかをせずに過ごすことは可能です。また、両親の双方が子どもを愛していることを伝えることだってできます。

離婚する親は、自分自身も傷つき、辛い中に身を置いていることが少なくありません。そんな場合、子どもの気持ちに寄り添うことがそう簡単ではないこともよくわかります。

お父さんお母さんもひとりで抱え込まず、信頼できる人に心情を吐露してみてください。子どもの成長を信じ、関係者全員で支えていけるような環境作りが大切です。

専門家:小泉 道子■専門家プロフィール:小泉 道子
離婚テラス(相談機関)」及び「 家族のためのADRセンター(法務省認証機関)」代表。家裁勤務経験をいかし、悩めるご夫婦の仲裁役として奮闘中です。