夫が転職したいと言い出したら、あなたはどう答えますか? ヘッドハンティングで収入アップが約束された転職なら大賛成でしょうか。現職より収入が減っても夫のやりたい仕事への転職なら納得でしょうか。現実はそんなに甘いものではありません。夫の希望やプライドと目の前の生活、家族の将来にうまく折り合いをつけるには、転職を決める前に夫婦で話し合うことをお勧めします。

転職やむなしという状況

我が家は、夫と私の収入で家のローンを返済し、子どもの教育費を捻出している、一般的な家庭です。夫が42~43才当時、20年勤めた会社の状況が最悪でした。夫より上の年代の人がどんどん辞めてしまい、夫は辞めるタイミングを失ってしまった状態でした。

部下のリストラといった辛い仕事をやりきり、夫が「もう辞めてもいいかな」と言い出したときには、先行きが不安だからといって会社にしがみついてくれとは言えませんでした。

夫が転職したいと言い出したとき

仕事がうまくいかなかった場合など、「転職したいなあ」と思うことは誰にもあるでしょう。夫も時々「もう会社辞めようかな」と愚痴をこぼすことは何度かありました。そんなときの私の返事は、「今と同じだけお給料をもらってきてくれるなら、いつ転職してもいいよ」というもの。これは冗談でも何でもなく、私の正直な気持ちでした。長男は中学生、次男は小学校に入ったばかり。まだまだお金がかかる時期で、家のローンも残っている状況では、夢だけを追って転職されても困るというのが本音でした。

転職したいと思う夫の気持ちは理解できるのですが、日々の暮らしは現実です。家計を守る立場として、ここだけは譲れないという部分は夫ととことん話し合いました。転職の理由がどうあれ、在職中に転職先が決まっていれば、家族としてはある程度安心できます。在職中に転職先を決めてもらうことは、転職する夫に対する譲れない条件でした。

職探し中の夫に言ってはならないこと

実は夫は2度の転職を経験しています。サラリーマンですから、働かなければ給料はもらえません。2度目の転職は、「やりたいこと」+「ステップアップ」という転職のはずだったのですが、さまざまな事情が重なり、転職先がまったく白紙の状態で仕事を辞めることになってしまいました。

最初は「失業保険がもらえる間に仕事を決めよう」とのんびり構えていたのですが、50歳すぎの転職は甘くはありませんでした。仕事が決まらないことへの焦りから、やりたくもない仕事の求人にも応募するような有様で、とてもステップアップが望めるような状況ではなくなってしまったのです。

「こんなことになるなら、前の会社にいてくれたら良かった」と思っても、これだけは絶対言わないと心に決めていました。夫自身も同じように思っていたでしょうし、口に出したところで前の会社に戻れるわけでもありません。

夫が焦らないように精神面をサポート

なかなか転職活動がうまくいかないので、これまで考えてもいなかった業界へも応募を始めた夫を見ているのは、正直つらいものがありました。家族を守る立場として責任を感じ、1日も早く就職したいと思っているのも分かっていました。ですが、ここで焦って転職先を決めてしまうと、逆に取り返しがつかないことも分かっていたので、夫にかけた言葉は「もう少し時間かけて探してみたら」というもの。

本当は1日も早く就職先を決めてほしいと思っていましたが、こっちがイライラして家の中の雰囲気を悪くしても、何もいいことなんかありません。幸い、退職から4ヵ月後、希望の業界に再就職が決まり、ホッとしました。

おいしい転職はないと思ったほうがいい

夫の2度の転職を経験して思うことは、おいしい転職などなかなかないということ。夫婦とはいえ、デリケートな問題なのでストレートに意見しにくい部分もあると思います。ですが、だからこそ中途半端にしておくとあとで後悔することに。安易な転職にストップをかけられるのは、家族しかいません。「転職しようと思っている」と夫が言い出したら、まずは理由をきちんと聞いてください。話はそれからです。

(文・史佳)