3時にほっこり。大阪生まれのおすすめ「おやつ」

2019/1/28 16:00 吉村智樹 吉村智樹



こんにちは。
関西在住のライター、吉村智樹です。


この連載では、僕が住む関西の耳寄りな情報をお伝えしてゆきます。
今回はその第53回目となります。





■超極私的おすすめ「浪花のほっこりおやつ」


思うんです。


こたつに入り、おやつを食べつつ、好きなドリンクを飲みながら漫画を読んだりゲームをしたり寝転んだり。
そんなだらついた時間より幸せなことって「あるんだろうか?」と


きっとあるのでしょう、どこかに。
でも、こんなに寒くっちゃ、幸せの青い鳥を探しに出かけるはだるい。
そもそもその至上の幸せ環境には、おやつを食べる時間はちゃんとあるの? って。


「おやつ」
このひらがな三文字が人を笑顔にする力のすごさみよ。

「おやつ」
このひらがな三文字が、凝り固まったすべての筋肉を弛緩させる驚きよ。


「おやつ」、それは魔法の言葉です。


今回はそんな、一瞬にして人を桃源郷へと誘う、超極私的な、大阪生まれのおすすめ「おやつ」を3品、ご紹介したいと思います。


大阪前田製菓「ちょぼちょぼ」





甘いスナック菓子「ちょぼちょぼ」は、まずネーミングが憎らしいほどかわいい。確かに、ころころではなく「ちょぼちょぼ」としか言いようがないサイズ感なんですよね。


「ちょぼちょぼ」をつくっているのは藤井寺市にある、昨年創業100周年を迎えた大阪前田製菓。おもに幼児が食べる『乳(ちち)ボーロ』でおなじみの会社ですね。または大阪の地下街でよく見かける甘味処「甘党まえだ」の本社だと言えば、大阪在住の方には伝わるかな。


この「ちょぼちょぼ」はドーム型の小さな焼き菓子。カステラを思わせるハイカラな甘みがあります。
ミルク飲料にもコーヒーにも日本茶にも、いやもうたいていの飲み物に合う。そんな懐の広さがあるのです。


おいしさのポイントは、小麦粉だけではなく、じゃがいもを原料とした「ばれいしょでん粉」。これが「とろほろ」っと舌の上でまろやかにほどける。「いやされる」というより「なぐさめられる味」なんです。

この年になってくると、なぐさめてくれる人などいませんから、いつもちょぼちょぼに向かって、ちょぼちょぼ愚痴をこぼしております。


くらこん「塩こん部長のおしゃぶり昆布 梅」





「塩こん部長のおしゃぶり昆布 梅」は枚方市に本社がある海藻や煮豆などの総菜メーカー「くらこん」製の、おしゃぶり昆布です。


北海道産の昆布と紀州産の梅肉を使い、噛み心地もしょっぱさも、ちょうどいい「塩梅」。


塩味だけではなく、ほのかな甘み、爽やかな酸味も。そしてサイズは、あくまで当社比ですが、一枚一枚が小ぶりで、「ド昆布感」が少ない。なので口にくわえたまま両手でキーボード作業をしていてもストレスを感じないのがありがたい。

それでいて欲しい粘り気は適度にあり、仕事に粘りが必要な時に、ちょうどいい。「塩こん部長の」って言ってるくらいですから、オフィスワーク、デスクワークのさなかに最適なおやつなんです。


ゆるキャラが当たり前となったカンパニーキャラクター界に、あえてキツめな塩こん部長でコアコンピタンスをはかるくらこん。さすがです。
塩こん部長、もしも実写化したら、遠藤憲一以外いないよなあ。


サンヨー製菓「ジャンボヨーグル」





幼い頃、駄菓子屋さんでもっとも好きだったスイーツが、西成区にあるサンヨー製菓がつくる「モロッコフルーツヨーグル」でした。


ぺらっぺらなプラスチックカップに入ったそれの名は、ヨーグルトではなく、似て非なる「ヨーグル」。
フルーツと書かれていますが果汁などは入っておらず、それ以前に乳製品ですらありません。


正体は、酸味をつけた植物油脂&コーンスターチ。
謎すぎるアタマの「モロッコ」ですが、これはブルガリアヨーグルトにあやかり、同じ地中海のモロッコと名づけたのだそう。
て、てきとーすぎる……。


そんな徹底的に駄菓子の美学に彩られたこの白い粘液が、もう、おいしくってね。
当時は一個10円で(現在は20円)、ポケットに10円玉がある分だけ買っていました。


小さな四角い木べらですくって食べるのですが、へらが四角いもんだから、湾曲の部分はすくいきれなくて。
このすくいきれないろくでなしを舐めたいがために、ハサミでカップを切り開いてべろべろやっていました。
そして「大人になったら、ヨーグルを思う存分食べたい!」と夕日に向かってこぶしを握り締めていたのです。


その夢が、かないました。
「ジャンボヨーグル」の出現です。


オリジナルの11倍の大きさ。満足感がえげつない。
これをカレースプーンですくって食べられる夢のような日が訪れるなんて。幼い頃の自分に聞かせてやりたい。
「つらい日があっても我慢しろ。将来きっとイイことがあるぞ」と。


とはいえ、ひとつだけ問題が。
「ジャンボヨーグル」を一個まるごとたいらげると、なんとなく、背徳感に襲われること。
そう、これは越える/越えないの「大人の一線」をジャンボサイズで知らしめてくれるおやつなのです。


皆さんもそれぞれ、きっと「心のおやつ」があると思います。
こたつに集まり、皆で持ち寄ってみるのも楽しいかもしれませんね。


全員「ジャンボヨーグル」だったりして。


イラスト:せろりあん


取材・執筆 吉村智樹
https://twitter.com/tomokiy