この夏は『緊急取調室』『刑事7人』が放送!なんでテレビ朝日は刑事ドラマが多いのか?その理由とは?

2021/7/7 22:00龍女龍女

⑤現在とこれからの流れ


(『相棒』第4シリーズから杉下右京役の水谷豊と亀山薫役の寺脇康文 イラストby龍女)

いまや、テレビ朝日の看板ドラマである『相棒』もかつてあった二時間ドラマ枠土曜ワイド劇場の単発3本(2000~2001)から、連続ドラマに昇格した。
2002年10月から始まった。

『相棒』は他の刑事ドラマとは一線を画する特徴がある。
タイトルで分かるように、バディー物という点だ。
刑事ドラマはその手本になったエド・マクベインの87分署シリーズに代表されるように、集団で捜査して事件を解決していくチームプレイが主体となっている。
ちなみにシリーズの一つ『クレアが死んでいる』を日本に翻案した1981年の市川崑監督の映画『幸福』(東宝制作)の主演を水谷豊が務めた。

バディー物は、元々ミステリーの中でも探偵物によく用いられる。
シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトソンなどを思い浮かべればいいだろう。
刑事ドラマにもバディー物は過去に存在しており、日本では『噂の刑事トミーとマツ』(1979~1982。TBS大映テレビ制作)や、アメリカでは映画からTVシリーズにもなった『リーサルウェポン』シリーズ(1987~)がある。
したがって、主人公の杉下右京はシャーロック・ホームズやエルキュール・ポワロ、刑事コロンボのような変人で理屈っぽいキャラクター付けがなされている。
実際には存在しない特命係の二人の刑事が活躍する形式になっている。

また、他のバディー物と大きく違う特徴として、相棒が一人に固定せず、変わることがあるとした点だ。

しかし、他の刑事ドラマと同じく、主役以外の刑事が活躍するエピソードもあり、これまでの刑事ドラマと探偵物のいいとこどりの集大成的な作品であるといえる。
特に90年代に警察内部の組織内の対立を描いた警察小説が流行して、刑事ドラマの不毛地帯だったフジテレビでそれらの影響を受けた『踊る大捜査線』がヒットして以降、相棒にもその影響が見て取れる。
より刑事ドラマは複雑になった。警察官の犯罪まで取り扱うようになったからだ。

さらにシーズン13では警察庁のキャリア官僚・社美禰子(仲間由紀恵)や、シーズン19では白バイ警官から刑事になった出雲麗音(篠原ゆき子)など、女性警官の登場人物が増えてきている。
今後は女性刑事が主人公の大ヒットドラマが制作される日も近いと予測できる。


最後にまとめてみよう。
①テレビ朝日が刑事ドラマを多く制作するのは、スタッフに警察出身者を抱えた映画製作会社東映の影響を強く受けている。
②刑事ドラマはシリーズ化しやすく、美術セットもロケ地も固定されるので、制作予算を抑えられる。これはB級作品を得意とする東映の社風でもある。
③東映以外の制作会社も刑事ドラマを企画に出すとテレビ朝日では採用されやすいのでは?

『相棒』も20年目を迎えようとしており、そろそろ新しい刑事ドラマも企画され始めている。
コロナの影響で犯罪の質が大きく変化した今、刑事ドラマがどう変わっていくか?
サイバー犯罪と、女性刑事の2方向にヒントがありそうだ。


※最新記事の公開は筆者のFacebookTwitterにてお知らせします。
(「いいね!」か「フォロー」いただくと通知が届きます)
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6