【サイゼリヤすごい】『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?偏差値37のバカが見つけた必勝法』

2020/9/7 12:00 吉村智樹 吉村智樹




こんにちは。
ライター・放送作家の吉村智樹です。


このところ「サイゼリヤ」のニュースをよく目にします。


たとえば「1円の値上げ」


サイゼといえば299円という驚異の低価格メニュー「ミラノ風ドリア」がおなじみ。
この看板商品を7月から1円だけ値上げし、税込み300円に(それでも安い!)


さらにドリアをはじめ、全商品を50円単位の価格に設定しなおしました(なので商品によっては値下げもある)。
これにより1円、5円、10円硬貨のやりとりを減らし、新型コロナウイルスの感染拡大を防止。
結果60%ものレジ作業を減らすことができたのだそう。


お釣りを受け取るのがヘタクソで、いつも1円玉を落としてどこかへ旅がらすさせてしまっていた僕。この1円値上げはむしろ嬉しかった。


さらに最近は「食事ができるマスク」、その名もあばれる……じゃなく「しゃべれるくん」の配布も話題になりました。食事や歓談の際に起こりうる飛沫感染の防止にも取り組んでいます。


このようにサイゼリヤはつねにお客さんファーストでチェーン展開しているのです。敏速な対応や工夫は、飲食業界のみならず、すべての業種に就く者が参考にしたいところ。「サイゼの中身、いったいどうなっているんだろ」と興味津々です。


しかし……だからって、それが知りたいからって、ミシュランで星を獲得したシェフが、わざわざバイトの面接を受けますか? 高校生の上司に頭を下げますか?


そういうわけで第18冊目となるスイセン図書は、これ以上はない働き方革命と言える新刊『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? 偏差値37のバカが見つけた必勝法』です。





■ミシュランの星付きシェフがなぜサイゼリヤでバイトを?


外出自粛を要請されるまで、僕はサイゼリヤに入りびたる生活をしていました。少なくとも週5回、多い場合は週に9回は通うほど重度のサイゼリヤンでした。


ホワイトソースが絶品であつあつペンネがたっぷり、何度食べても食べ飽きない「シーフードグラタン」。ソースが魔法のようにおいしくてエビぞる「ポップコーンシュリンプ」。なんとなく「瓜売りが瓜売りに来て瓜売り残し……」と早口言葉をつぶやきたくなる「フリウリ風フリコ」などなど、よくいただきました。


おいしくて安い。なんとも切ない気持ちになるBGMも愛おしい。みんな大好きサイゼリヤ。そんなサイゼリヤの五反田西口店で2017年から「ミシュランの星付きシェフがアルバイトをしている」という情報を耳にしたときは、ぶったまげました。驚いて手に持っていたアロスティチーニをテーブルの下に落としそうになりました。


ミシュランの星を獲得した高級イタリアンレストランと、ファミリーレストラン。どちらが上でどちらが下という視点は持っていないつもりでした。イタリアンの有名シェフたちはこぞって「エスカルゴの肉質がもっともいいのはサイゼリヤ」と称賛します。とはいえ提供する料理の価格帯が違いすぎる。さすがに対極の存在では……。しかも巨匠と呼ぶべきシェフが、いちからアルバイトをするだなんて、不思議でなりませんでした。


■自分がつくる料理は人を幸せにしているか?


そんなふうに首をかしげていた僕でしたが、目黒の名店「レストラン ラッセ」のオーナーシェフである村山太一さんの新刊『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? 偏差値37のバカが見つけた必勝法』(飛鳥新社)を読み、その謎が氷解しました。さらにサイゼ独特のBGMを聴いた後のように感動が胸に迫ってきたのです。


そもそも、なぜミシュランに認められたオーナーシェフが、サイゼリヤでアルバイトをするようになったのか。それは「自分が営む店は、果たして人を幸せにしているだろうか?」と、ふと疑問に思い、立ち止まったからなんです。


京都の一流料亭や本場イタリアの三ツ星レストランで厳しい修行を積み、遂にイタリアで副料理長までつとめる腕前となった村山さん。それはそれは過酷な日々で「師匠の技術は目で盗んでおぼえる」という職人の流儀が骨身に沁みていました。その甲斐があり、帰国して開いた「ラッセ」の味は、なんと9年連続でミシュランの星に輝いたのです


しかし、星を保持し続けねばならないプレッシャーから、仕込みを人任せにできず労働時間は長くなるばかり。ストレスからスタッフにはつらく当たり、人間関係はギスギスしてゆきました。スタッフはつねに村山さんの挙動におびえ、村山さんの指示がくだされるまで動こうとしません。スタッフどうしがホールで言い争うなど店のムードは悪くなり、お客さんからのクレームまで増え始めたのです


自分の店がブラック企業になってきている。この現状をなんとか解消しなければならない。わかってはいるんです。けれども、自分自身が峻厳な世界で生きてきたため、誰もが同じように厳しい環境にあって当然だという固定観念からなかなか抜け出せずにいました





■「ミシュランの星付きシェフがバイトに来る」とサイゼ側がザワついた


幸せな時間を提供すべき高級レストラン。なのに誰も幸せになっていない。ついに精神的な限界を感じた村山さんは自分の店の定休日を利用し、お客さんが笑顔で語らうサイゼリヤでアルバイトをし始めたのです


簡単に書きましたが、これはすごいことです。社会的地位がある40代、普通はプライドが邪魔をして、なかなかできるものではありません。


「ミシュランの星付きシェフがバイトに来る」


サイゼリヤ五反田西口店はその日、さすがにザワついたといいます


■「なんなんだ、この楽しい世界は!」と涙ぐんだ


20歳以上も齢(とし)が下の上司や高校生の先輩に挨拶をし、バイトがスタートしました。そこで村山さんは自分がこれまで常識だと信じていたレストランとはまるで違う世界を垣間見るのです


掃除がしやすく、人がスムースに動くための導線が考え抜かれた店舗構造。シンプルに憶えやすくマニュアル化され、誰もストレスを感じずに働けるシステム。少人数でもまわせるホールワーク。そしてなんといっても高校生も成人も和気あいあいと、年齢による上下の隔てなく笑顔で接しあえる人間関係。村山さんは「なんなんだ、この楽しい世界は!」涙ぐんだのだそう


さらに村山さんはサイゼリヤで学んだ智慧を自分の店に採りこみました。ホールや厨房の造りを変え、任せられる作業はスタッフに任せました。するとスタッフひとり当たりの生産性が3.7倍に上昇。ひとり当たりの労働時間は4割減と、目に見えて店が好転し始めたのです。





■新型コロナウイルス禍の渦中に黒字を記録


村山さんの最大の変化は、スタッフの意見を聞く耳を持つようにしたこと。新型コロナウイルス禍の対策として、スタッフはラビオリの通販を提案しました。これが爆当りし、なんと黒字を記録したのです飲食業界の奇跡と呼ばれているのだそう)。ちなみに村山さん、ラビオリの通販を始めた当初はヒットするとは思えず、本音では反対だったそう。人の意見を受け容れ、信じて採用する。その姿勢があったから国難を乗り越えられたのでした。


新刊『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? 偏差値37のバカが見つけた必勝法』には飲食店に限らず、誰にでも当てはまる学びがあります。


●自分が思う「正しい」を疑う。
●権威を捨てる。プライドを捨てる。
●年齢は関係ない。相手が年下であろうと「教えてもらう」。
●人を信頼し、任せてみる。やってほしいと頼んでみる。
●自分の仕事が、人を幸せにしているかを見つめなおす。


お店の休日を利用してのアルバイト。なので、サイゼリヤへの出勤は週に一回。ゆえに日頃はオーナーという頂点に君臨していてもサイゼリヤでは最弱ランク。村山さんはこのライフスタイルをとても楽しんでいます。傲慢になれない場所があるのは、人として成長できる大きなポイントなのかもしれません。


もうひとつ、この新刊には特筆すべき点があります。それは900円(税別)という低価格。ビジネス書としては異例のプライスではないでしょうか。「ドリヤ価格」とでも呼ぶべきか。これもまたサイゼリヤから学んだ必勝法なのかもしれません。



なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?
偏差値37のバカが見つけた必勝法
村山太一 著
900円+税
飛鳥新社


コロナでも黒字を達成し、「飲食業界の奇跡」とまで言われた星付きイタリアンのオーナーシェフ、初のビジネス書が発売。


伝説の三ツ星レストランで副料理長にまで上りつめた著者が次に求めたのは、サイゼリヤの「すごい生産性」だった。
経営するレストランの生産性は、なんと3.7倍に!


成長したければ、MBAを取るよりアルバイトをしよう。


26万PVのnote記事『目黒の星付きイタリアンのオーナーシェフは、サイゼリヤでバイトしながら2億年先の地球を思う』で話題騒然!
「落とし穴に落ちない」で「最短で成長する」という、偏差値37のバカが見つけた必勝法を初公開します。


サイゼリヤ代表取締役会長正垣泰彦氏、推薦「これはビジネスの真理だ! 」
http://www.asukashinsha.co.jp/bookinfo/9784864107655.php



(吉村智樹)