除夜の鐘って誰でもつけるの!?……平成最後に煩悩を捨てよう【ファンシー絵みやげ】(2/3)

2018/12/28 12:00 山下メロ 山下メロ


■ ファンシー絵みやげの中の鐘

寺社仏閣というのは観光における重要な施設ですので、その寺院、または周辺が観光地化されている場合、お土産物が作られました。筆者は主に1980年代から1990年代の観光地みやげを研究しておりますので、その時代に描かれた鐘を見て行きましょう。



いきなりぶっとんでますが、お坊さんと梵鐘が描かれた神奈川県・鎌倉のキーホルダーです。オーロラ仕様で色が変化します。表情から察するに、手が痺れたのでしょうか。それとも撞木に乗ったネズミがついてしまったのでしょうか。いずれにせよ撞木が大きすぎますね……。



長野県・善光寺のベルトループ。梵鐘のほうを見ずに、ノールックで叩いています。しかも木魚のバチみたいなもので。かなり気軽ですがサイズ的に半鐘なのでしょうか。遠くには鐘楼のシルエットも描かれています。



栃木県・日光の梵鐘型ベル。これはもうイラストではなく、鐘の形にイラストがプリントされています。中の舌(ぜつ)の部分に短冊を吊るせば風鈴にもなりそうです。



千葉県・成田山新勝寺の鐘つき小坊主。浮彫りのようで鐘楼の屋根に鐘と撞木をチェーンで吊るしたような仕組みで、実際に揺らすと鐘がキレイな音を立てます。



こちらは寺であればどこでも作っているようで滋賀県・石山寺や和歌山県・紀三井寺などにもみられます。和歌山県・那智の滝は那智大社が有名ですが、近くには青岸渡寺というお寺もあるのです。



真ん中が上で紹介したものですが、左右にあるようなちょっと違うタイプも存在します。福井県・永平寺と北陸路のもので、屋根の形が微妙に変わっており、小坊主がこっちを見ているか、横顔かという違いがあります。特に永平寺のものは金型から必要になる浮彫ではなく地名がプリントに変わっており、より小ロットで対応できるように変更したものと思われます。



カラーになり、完全に平面の鐘楼に釣鐘がぶら下がり、小坊主も平面になったパターンです。こちらも福井県・永平寺。これは小坊主が固定されていて鐘がつけない。



東京都・浅草(浅草寺)では、鐘楼が大きくなって小坊主もぶら下がり鐘がつけるようになりました。こちらは現在でも浅草寺の仲見世通りや成田空港国際線ターミナルで売られています。



実はこちらには右側の旧バージョンが存在します。鐘楼の屋根が大幅に改良されているのが分かりますね。ランドセルにつけたりポケットに入れたりしますので、金属プレートがこの鋭利さでは危険なためでしょう。まさに子供がターゲットだったということがよくわかりますし、裏を返せば子供向けなのに危険予測は少し足りないようにも感じます。



こちらも色んな場所で作られ、広島県・耕三寺や神奈川県・鎌倉のものが見られます。愛知県・豊川稲荷は神社ではなく妙厳寺というお寺なのはご存知でしょうか。豊川稲荷も旧バージョンが見つかっています。

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