鎖国の時代に「U.S.A.」!?……ジョン万次郎と「ファンシー絵みやげ」 (3/4)

2018/11/16 12:00 山下メロ 山下メロ


■ ジョン万次郎のファンシー絵みやげ

では、ここから保護できたジョン万次郎モチーフのファンシー絵みやげを見ていきましょう。数奇な運命に翻弄され乗り越えてきた人だけあって、かなり商品に不思議な点が多くみられます。すべてのイラストにおいては、冒頭に掲載した27歳の時の肖像画におけるハット、赤いジャケットにドレスシャツという洋装が使われています。


↑ 「J万次郎」レザーキーホルダー。地名はKOCHIである。レザーキーホルダーは劣化しやすいため状態が悪い

恐らく「J万次郎」というアルファベット省略の表記からJリーグの影響が感じられ、Jリーグ元年である1993年以降の商品と考えられます。Jリーグ発足後には「Jビーフ」や「勇者警察ジェイデッカー」など、Jというアルファベットの使用が一気に増えました。名前という側面からすると漫画家の杉作J太郎さんとの類似性も見いだせます。


↑ ジョン万次郎ブロックカレンダー。地名の表記なし。

帆船にロケットミサイル型の灯台、そして椿という足摺岬の風景に、石畳の上に帽子をとって挨拶するジョンマンが描かれています。セリフを拡大してみましょう。


↑ ニッポンTADAIMA!

果たしてそんな事を言ったのでしょうか……疑問が残ります。恐らくそんな事を言ったという記録はなく、推測でセリフが付けられていると思われます。ファンシー絵みやげはキャラクターを幼児化して描くため、セリフもまた史実にはないフレンドリーで幼い子供の口調で書かれることが多々あります。


↑ ジョン万次郎ポーチ。ASHIZURI表記。

ちゃんとローマ字で「ASHIZURI」と、地域を限定している商品。クジラに乗っています。もともと高知県、そして土佐湾ではホエールウォッチングなども有名で、土佐藩主・山内容堂は雅号が「鯨海酔候」であり、高知みやげにクジラモチーフは少なからずあるのですが、これは万次郎が捕鯨船に救助され仕事を手伝い、捕鯨技術などをアメリカから持ち帰ったことに由来すると思われます。

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