ポテトもパンケーキもピザも真っ黒! 「黒」で攻めるカフェがあった!

2018/5/21 11:00 吉村智樹 吉村智樹


▲も、木炭? 実はこれ、フライドポテトなんです


いらっしゃいませ。
旅するライター、吉村智樹です。


おおよそ週イチ連載「特ダネさがし旅」
特ダネを探し求め、私が全国をめぐります。





■逆・インスタ映え? 「カラフルさゼロ」なカフェ


昨年の流行語といえば、やはり「インスタ映え」ですよね。


今年もその「インスタ映え」の波は衰えを知らず、特にカフェシーンにおいては根強く威力を発揮しています。
色とりどりなパンケーキやスイーツメニューが今日もSNSを席巻し、拡散されていますよね。


そんな、まるで色彩の祭典のようににぎやかな「インスタ映え」ブームのなかで、まったく反対な方向でSNSで人気を集めているカフェが京都にあるのです。


いったいどんなカフェなのでしょう。
さっそく訪問してみました。


■「無国籍」がテーマの落ち着いた空間


ウワサのお店は、平安神宮や国宝の南禅寺など名だたる人気観光スポットが集まる「岡崎」エリアにありました。


店の名は「DETAIL」(ディテール)。





オープンしたのが2017年10月。
HOTEL「MATERIAL(マテリアル)」の一階にあり、朝7時から深夜零時まで年中無休で営業しているというユーザビリティに富んだカフェ&バーです。
ホテルのカフェですが、もちろん飲食だけのお客さんも大歓迎。


なかへ入ると、おお~。
ゆったりくつろげるレザー製の大きなソファや、やわらかな照明など、時間を忘れてリラックスできそうな雰囲気。





店長の大橋さん
「“無国籍”をテーマとしているんです。岡崎は海外から多くの宿泊客や観光客が訪れる場所なので、多種多様な方に楽しんでいただける空間づくりをこころがけています」


そう語るのは店長の大橋知道(おおはし ともみち)さん。
ここ「ディテール」は、大橋さんを筆頭に若いスタッフたちによって営まれており、落ち着きがあるだけではなく斬新な感覚に溢れています。



▲店長の大橋さんをはじめとした若いスタッフたち


■フライドポテトやパンケーキが真っ黒!


特に斬新なのが「黒いフードメニュー」
ポテトにパンケーキ、ピザやパフェまで、なんと真っ黒!
あまりのインパクトの強さに、思わず目をシロクロさせてしまいます。
「インスタ映え」するカフェメニューといえばカラフルでポップという印象がありますが、こちらは正反対なのです。



▲大橋さんが運んできた黒い器にのったものは……黒いピザ


「チョコとメープルシロップのブラックパンケーキ」は800円(税別)。
トッピングが日替わりのブラックピザは1000円~(税別)。



▲パンケーキの生地。黒~い



▲フライパンと同じ色をしたパンケーキなんて初めて



▲黒い皿と同化し、一瞬、バターとクリームしか見えない



▲チョコレートソースでブラック&ブラック


いや~、それにしても黒い!
ウワサにたがわず真っ黒です。
「ブラックポテト」(650円 税別)に至っては、これはもう見た目が木炭ですよ。
さらに酸味と辛みが効いている真っ赤なシラチャー・ソースをかけると、うわあ、「ヴィジュアル系ポテト」と呼んで大げさではない妖艶な姿に。



▲焦がしちゃったわけではありません



▲断じて焦がしちゃったわけでありません



▲「シラチャー・ソース」をかけると、スタンダールもビックリな「赤と黒」の世界に



▲辛いソースで素朴なポテトの味がピリッと引き締まる


■「黒」は「何色にも染まらない強い意志」を表現


いったいなぜフードメニューを黒くしようと思われたのですか?


大橋
「黒はこのディテールという店のテーマカラーなんです」


なるほど。
言われてみればポテトはナプキンまでも黒。
とはいえカフェで黒色がトータルカラーって珍しいですね。
なぜ黒をテーマカラーにしようと思われたのですか?


大橋
「オーナー(平井芳夫さん)に『最近、京都はオトナが楽しめる店が少なくなった。カフェをやるなら大人らしい、何色にも染まらない強い意志を“黒”で表現したい』という想いがあったんです。それでお店のテーマカラーが黒になりました。スタッフのユニフォームや食器が黒いのもそのため。さらにそれを受けてデザイナーの方から『だったらいっそフードメニューも黒くしてみては?』と大胆な提案があり、それはいいな! ということになったんです」


なんと! 黒は「何色にも染まらない強い意志」を表現していたのですか。
ということはこの黒いポテトやピザは、オーナーの熱いメッセージでもあるのですね。
確かにオーナーの意向をあらわすかのように、できたてのアツアツです。


■黒の正体は「美容と健康にいいヒミツ素材」


ところで、なにを原料に使って、これほど黒くなっているのでしょう。
もしかして、イカ墨?


大橋
「いえ、イカ墨ではありません。実は企業秘密なんです。決して人工着色料などではなく、美容と健康にいい、ある天然素材を使用しています」


ほっ。
ケミカルなものではないのですね。
それを聞いて安心しました。


■ブラックパウダーたっぷりなV系ポテト


では、まずはブラックポテトいただきます。


うん、おいしい!
思っていたよりずっとナチュラルで、いいお味です。
黒色に染めている食材は無味無臭。
とはいえ、よそのフライドポテトにはない、パウダーっぽい、おもしろい舌ざわりがありますね。


大橋
「ポテトについたブラックパウダーを唇に塗って黒くして楽しんでいるお客様もおられます。そんな非日常も味わっていただければ」


ブラックポテトをルージュ感覚で!
ハロウインはもちろん、京都ならお盆にも合う趣向ですね。


ちなみにこのブラックポテトはテイクアウトが可能。
岡崎の街を食べ歩きするのも、きっと愉快。
「なにあの黒い食べ物。新しい和菓子?」と振り返る人もいそうです。


パンケーキもピザも。もっちもちで最高。
そして黒いからこそ「いったいどんな味なんだろう?」という食前のワクワク感が増す気がしました。



▲一瞬どこまで皿でどこまでピザかわからなかった



▲生地はもっちもち。うまい!


思えば、京都で黒は命のみなもとである「水」を意味し、古来より尊い色として扱われてきました。
疎水の流れを汲み、水が豊富な岡崎に、黒いフードがおいしいカフェ&バーが登場したのは歴史的必然なのかもしれません。


Cafe&Bar DETAIL
京都府京都市東山区中之町210-4
075-762-1700
モーニング 7:00~11:00
ランチ 11:00~16:00
ディナー 16:00~0:00 (LO 23:00)
年中無休
http://www.hotelmaterial.kyoto/cafe/




TEXT/吉村智樹
https://twitter.com/tomokiy


タイトルバナー/辻ヒロミ