空の色は何色?光の魔術師・タレルの「光の館」に泊まってみた

2017/9/13 11:05 Tak(タケ) Tak(タケ)

空の色は何色ですか。



アメリカの現代アーティスト、ジェームズ・タレルが、新潟県十日町市の山中に建てた一軒の「家」。作品名は「光の館 - House of Light」。

外観は高床式の古い倉庫、はたまた神社の拝殿のように見えますが、この「家」でありアート作品「光の館」の中には、空の色を再認識させてくれる驚きの仕掛けがあるのです。



さっそく中へ入ってみましょう。正面の大きな階段をのぼり、2階正面へ。鍵の付いていない引き戸の玄関から光の館に入ると、そこはどこか記憶の片隅にある古い日本家屋。

自然と「ただいま。」と口に出したくなるようなそんな懐かしい雰囲気のする室内です。蛍光灯の明かりはなく外から入る光を頼りに薄暗い廊下を進むと左右に二つの畳敷きの部屋があります。



部屋は1階にももうひとつあり、全部で3つ。三家族で一晩寝食を共にすることを作家であるタレルは望み、この「家」を作ったそうです。

ちなみに玄関同様それぞれの部屋に鍵はありません。障子で仕切られているだけです。鍵のかからない家、部屋で寝たのは果たしていつ以来でしょう。



山の中という立地にも関わらず、外部と内部の仕切りには網戸はありません。

虫が苦手な都会の人には不向きな宿泊施設です。実際に食事中何匹か闖入者がいましたが、彼らの存在に気付かないほど目をくぎ付けにするものがこの「光の館」にはあります。

それが空です。

「光の館」にはテレビやパソコンも何ひとつ置いてありません。(虫よけスプレーはありました。)テレビやパソコンのモニターを見る代わりに、ここでは空を眺めるのです。



12.5畳の一番広い2階の部屋の天井がスライドし、空が現れます。「アウトサイドイン」と名付けられたこの部屋では、空が一番のご馳走なのです。

ところで、空を30秒以上眺めていたこと、ここ最近ありましたか。空だけでなく、木や花や鳥といった身の回りの自然を見る余裕が、生活の中にないのが実状です。

ジェームズ・タレルが用意した「光の館」では部屋の中から、空を眺めて過ごします。時折外から聞こえてくる鳥や虫の声がこれほど贅沢に感じる空間も他にはありません。


開閉中の屋根。

この空が直接見える部屋では、日の入りと日の出の1時間前から「光のプログラム(Outside In)」が始まります。部屋の明かりがLEDの光によって様々な色に変化します。

自分がいる空間の色が変わると、空の色にも変化が訪れます。

今までで経験したことのない、ここでしか味わえない(天候条件が整うことも必要です。雨天などの場合は屋根をあけて空を見上げることが出来ません。晴れ男・晴れ女とできるだけ出かけるようにしましょう。)得も言われぬ自然の変化。

写真におさめてきたのですが、これを見ても信じてもらえないかもしれません。

空の色は何色ですか。













1時間も空だけを見ていたなんて、今思うと信じられないことです。でも全く飽きることなく、ひたすら上を向いて空だけを見つめていました。中には寝転んでいる人も。

自然の風を頬に感じ、光と空だけを見つめて時を過ごす。なんて贅沢な体験でしょう。

伝統的な日本家屋に西洋人であるタレルが追い求めてきた「光」を無理なく融合させています。2000年に開催された第1回「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」で誕生してから、かなりの年月が経ちますが、今でも「光の館」は予約でいっぱいです。



ひたすら空だけを見ていて飽きてしまうのではないかと思っていた自分が恥ずかしいです。「光の館」に泊まるに際し着替えと美味しいお酒があれば十分です。

日が暮れてあたりが暗くなってきたら、そとから「光の館」を観ると昼間とはまるで別の顔を見せてくれます。そしてなによりも満天の星たち!!



Twitterやブログの更新とかどうでもよくなってきます。

不思議なものですよね~家にいると毎日毎晩更新に追われ外の景色なんて見る余裕すらありません。「光の館」から戻ってから虫の音や風の音がよく耳に入るようになったのは気のせいではないはずです。



そうそう、「光の館」の1階には24時間いつでも入れるお風呂があります。とても大きな湯舟で大人5、6人が同時に入れるほどです。

ただ、ここも光の魔術師タレルのこだわりが発揮されていて、あまりのんびりゆっくりと浸かっていられるお風呂ではありません。それでもここに泊まらないと入れないアートなお風呂です。思い切り満喫してきました。

見た目もビックリですが、湯舟の中で自分の身体が発光生物のように輝く仕掛けには、ちょっと引きました。。。



こちらは日の出直後、午前6時前の写真です。十日町市に雲海が広がっている様子をしっかりと見ることが出来ました。

もう、至れり尽くせりです。宿泊可能なアート作品は国内にも幾つかありますが、これほど贅沢な体験が出来るのはここ「光の館」をおいて他にはありません。

日本人の自然に対する接し方と、西洋人であるタレルの光の芸術が見事に融合した唯一無二のアート作品です。一生に一度は訪れてみたいものです。その日を夢見て日々空の色に目をやっておきましょう。

空の色は何色ですか。





「光の館」

〒948-0122 新潟県十日町市上野甲2891

TEL/FAX 025-761-1090
E-mail: hikari01@hikarinoyakata.com
http://hikarinoyakata.com/