広島東洋カープ優勝へ…「ファンシー絵みやげ」で振り返る宮島さん(1/2)
お久しぶりです。平成元年あたりのカルチャーを発掘調査している山下メロと申します。80年代とも90年代とも違うその時代を、平成レトロとして愛好しております。
当連載では、80年代から平成初期に流行した「ファンシー絵みやげ」から、当時の流行を紹介していきたいと思います。「ファンシー絵みやげ」とは80年代からバブル経済期~崩壊を挟んで90年代まで、日本の観光地で若者向けに売られていた、かわいいイラストが印刷された雑貨みやげのことです。
「ファンシー絵みやげ」については連載第一回をご覧ください。
■ 広島東洋カープ優勝へ…
今シーズンのプロ野球、セントラルリーグは昨シーズンに引き続き広島東洋カープがペナントレースを優位に進め、いよいよM1となりました。私事ですが筆者は広島県で生まれ育ち、小学校の途中まで広島市で過ごしましたので、広島を本拠地とするカープ球団に思い入れがあります。
↑カープのマスコット「カープ坊や」。かなり古いユニフォームである。ヒロソーとは旧・広島相互銀行ならびに旧・広島総合銀行の愛称。現在はせとうち銀行と合併してもみじ銀行となっている。
広島東洋カープは第二次世界大戦での原爆投下により焼野原となった広島市復興の象徴として発足しました。市民球団として親しまれ、特定の親会社を持たない珍しい形態で現在も運営しています。
1980年代には強豪チームとなりましたが、90年代初頭から長らく下位に低迷し、「12球団で最も優勝から遠ざかっているチーム」だった昨シーズン、25年ぶりの優勝を果たしたのです。
↑有名人がリレー形式で「それ行けカープ」を歌う映像。2015年から毎年作られて球場でも流れている。
広島東洋カープが昨シーズンの優勝よりも前に優勝したのは1991年、まさにバブル景気最高潮でした。そのため、昨年の優勝時にはジュリアナ東京開業など当時の世相を表す映像が複数のニュース番組で流れました。初優勝は1875年、初の日本一は1979年で翌年の1980年にも日本一となり連覇を成し遂げました。
その後は1984年、1986年、1991年と優勝しますが、まさにこの黄金期ともいうべき時代が、ファンシー絵みやげが観光地で売られていた時期と一致するのです。
↑広島で購入したファンシー絵みやげ。
■ カープと宮島さん
カープの本拠地は、フランチャイズ球場のマツダZOOMZOOMスタジアムがある広島ですが、観光地として有名なのは日本三景の1つ安芸の宮島でしょう。瀬戸内海に浮かぶ離島・厳島の通称で、厳島神社の海に浮かぶ鳥居が有名です。
↑遠くに見えるのが厳島神社の鳥居。
そしてカープが試合に勝ったり得点したりした際に演奏される曲に「宮島さん」というものがあります。宮島さんとは厳島神社の愛称で、歌詞には厳島神社の神主がおみくじでカープの勝ちと占う様子が描かれています。
↑「宮島さん」は童謡「花咲か爺さん」の替え歌である。ちなみに実際に神主さんがおみくじで勝利を占うことはない。
今年の全国高校野球選手権(夏の甲子園)に広島県代表として出場し、大会の本塁打記録を更新した中村捕手の活躍で決勝戦まで進んだのが広陵高校です。
もともとはその広陵高校や広島商業高校など県内のいくつかの高校で「宮島さん」は応援歌として使われていました。それが1980年代末期ごろからカープでも採用されたのです。