感動的純喫茶が地下に密かに(2/2)
入ってすぐの壁にはフィレンツェが描かれたリトグラフ。200年以上前の景色とのことですが、描かれている建物はフィレンツェに現存するんだとか。
彫刻は繋ぎ合わされたのではなく、一つの大理石を彫って作られたものだそう。
昔はお酒も出されていたそうで、その名残の棚もインテリアに一役買っています。
年代物のジュークボックスを新聞置き場に。
今は配っていないという貴重なマッチを見せていただきました。描かれているのは店内にある印象的な置物。
モーニングサービスはゆでたまごかトーストのどちらかを選びます。
場所柄、平日にビジネスマンのランチや打ち合わせなどで活気づく。この日も絶妙な間隔で紳士たちが一休みされたり、話し合いをされていました。こんな素敵な純喫茶で打ち合わせなんてうらやましい。。
昭和50年に創業し、一度だけ壁を塗り直したそうですがずっと同じ内装。カウンター上部のデザインや照明、ソファや椅子、壁やレリーフなど店内の全てが凝った造りで見惚れてしまいます。
嬉しいことに土曜日も営業されているので、喫茶店好きの人にはぜひとも訪れていただきたい。近くには戦前からある名古屋名物のレトロなビルがあったりと、「フィレンツェ」に感激してくれる人にはきっと楽しいエリア。
ところで、フィレンツェの入っている「ノノガワビル」はもともとメナード化粧品の本社ビルだったそう。「野々川」はメナード化粧品創業者で現ダリヤ化粧品の社長さんのお名前。
今はメナード化粧品の本社は移転してしまいましたがその名残がお店の隣に。ガラスの扉が味わい深い。
貴重な存在になりつつある正統派食品サンプル。
地下へ案内する看板の「グリル」の文字になんだかときめく。「フィレンッエ」と「ツ」が小さいところにも惹かれます。
ちょっぴり薄暗い階段を下りると、思いがけずきらきらと輝く窓。扉を開けてびっくりの知られざる純喫茶。
ビジネスマンだけの秘密の場所にしておくのはもったいない・・名古屋へ訪れた際はぜひ地下への階段を下りてみてください。琥珀色の空間が待っています。
レモン糖度 99
※残念ながら閉店されました。
フィレンツェ 名古屋市中区丸の内3丁目5-24
次回は猫のいる喫茶店(予定)です。お楽しみに。
(文と写真:レモン糖の日々)
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