【約100年前の日本】子供の買い食い、職人さんの仕事ぶりなどを捉えた貴重映像

2017/4/27 20:29 服部淳 服部淳


どうも服部です。昔の映像を紐解いていくシリーズ、今回は8万5000本あまりの歴史的映像を公開しているBritish Pathé所有のフィルムを取り上げました。
※動画はページ下部にあります。


タイトルは「Three Minutes In Japan (1921)」。直訳すると「日本に3分」。3分で日本を紹介するという主旨の映像でしょうか。

(1921)というのは、1921年(大正10年)の映像ということを表しています。第一次世界大戦終戦の3年後であり、関東大震災が発生する2年前であり、原敬首相が東京駅で暗殺された事件が起きた年でもありました。


映像と音声を同時収録した「発声映画」が一般化するのは1920代後半以降だそうで、ナレーション代わりに場面の間に説明の字幕が入ります。

「東洋の映像に西洋人が魅せられるのは、おそらく服装や風習の違いが原因なのかもしれません」(以下、著者訳)。


場所は特定できませんが、小学生ぐらい(学年はまちまち)の子供たちが坂をおりてきているところのようです。見たところ、子供たちはみんな和装をしていますが、帽子や日傘は意外と西洋風です。

ちなみに、関東大震災をきっかけに、和装ではいざという時に動きにくいということが認識され、洋装化が進んだといわれています。


「日本は家内制手工業に優れていて、『日出ずる国』と呼ばれる国にふさわしく、ここでは日傘を作っています」という字幕に続き、その作業の様子が捉えられています。親子の職人さんでしょうか。


見事な手さばきで、和傘に紙を貼り・切りしていきます。


そして、名入れも。大久保さんでしょうか。


「我々も日本式の木の履き物を取り入れれば、履き物代が節約できるのでは?」という字幕に続いては……、


下駄の職人さんです。こちらも親子でしょうか。手前の年長の方が花緒を取り付け、奥の方は歯を入れていってるようです。


撮影隊と何やら会話をしつつ、この笑顔。100年の隔たりを感じさせません。


同場所の店先でしょうか、女性が下駄を買いにきています。店先に座って買い物をする光景が、郷愁をくすぐります。


草履から下駄に履き替え。鼻緒がファッショナブルですね。


「機械類は不足してますが、手先が器用な女性らによって、綺麗な造花が作られていきます」という字幕の紹介。造花は、海外で需要が多い日本の輸出品であり、内職する人が多かったようです(参考資料)。


ちょっと険しい表情で造花を作成しているご婦人ですが、


先程の下駄職人の方と同様、撮影者に何か言われたのか、表情が和らぎます。


「洋の東西を問わず、子供たちはみんなお菓子が大好き」という最後の字幕に続き、子供たちが集まっている、お菓子の屋台が捉えられます。湯気か煙が出ているの見えるので、温かい食べ物でしょう。タレを塗って完成です。


カメラを不思議そうに眺めながらペロリ。「3分」というタイトルよりさらに短く、わずか2分34秒で映像は終了します。



引き続き、歴史の1ページを紐解いていければと思います。

(服部淳@編集ライター、脚本家)

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※参考文献
・大正ロマン手帖 ノスタルジック&モダンの世界/石川桂子(河出書房新社 2009)

【動画】「Three Minutes In Japan (1921)」