100年前のNYナンバーワン美少女…服毒死した女優オリーヴ・トーマスの悲劇

2017/4/13 10:25 星子 星子





今から約100年前、サイレント映画全盛期に活躍した美少女の中で、とりわけ美しく、かつショッキングな死に方をしたオリーヴ・トーマスという女優をご存知でしょうか? 今回は、そんな彼女の短い人生を、1910年代のレトロでオシャレなファッションや写真・イラストとともにご紹介します。


※(少し三白眼気味の大きな瞳が美しく個性的なアップの写真)

オリーヴ・トーマスは、1894年にアメリカのペンシルベニア州で労働者階級の貧しい家庭に生まれました。16歳の時に最初の結婚をしますが2年ほどでで離婚し、ニューヨークに転居します。


※( パイピングされた丸く大きな襟と、蝶蝶のような大きなつばのついた帽子がガーリーなオリーヴ)

憧れの都会ニューヨークでデパートガールの職を得て人前に立ちはじめると、その金色の巻き毛とヴァイオレットの瞳の美しさが評判を呼びます。


※(ティペットにかわいらしい頬が触れている写真。ケープの色は分かりませんが、薄いピンクや紫を想像してしまいます)

1914年に開催された「ニューヨーク市で最も美しい女の子」コンテストで優勝した彼女を、著名なアーティスト・ハリソン・フィッシャーが描いた肖像は「サタデーイヴニングポスト」の表紙を飾ります。


※(肌触りの良さそうな胸下切り替えのワンピース。少女らしい花柄ですが、童顔に似合わず豊かな胸が強調されています)

その後彼女は、アメリカの舞台プロデューサー、フローレンツ・ジーグフェルドがプロデュースしていた、今で言う「会いに行けるアイドル」のような若い女性達のレヴュー・ショー、「ジーグフェルド・フォリーズ」のオーディションを受け合格します。

※(セピア色のポスター。バラの装飾があしらわれたクラシカルなデザイン)

天使のような美少女だったオリーヴが、夜のショーにセクシーな衣装を着て登場すると、彼女見たさに多数の男性ファンが押しかけました。



※(スカーフで髪をまとめた写真。モノクロでも神秘的な瞳の色が想像できます)

 オリーヴは、エロティックな女性の絵で人気を博したペルー出身イラストレーター、アルベルト・バルガスのヌードモデルを務めたことがきっかけで、映画会社の目にとまり、インターナショナル映画社と契約を結びます。


※(エロスよりもオシャレさを感じてしまうヴィヴィッドな色彩のイラスト)

1916年『A Girl Like That』でデビューを果たすと、その可憐な容姿が評判を呼び、瞬く間に人気女優と呼ばれるようになります。


※(憂いを帯びた大きな瞳と縦ロールの巻き髪が絵画のような写真)

男装をしてもこんなにキュートな美少女ぶりで、ニューヨークのみならずアメリカ中でアイドル的人気を博します。


※(絶世の美少年のような男装写真)

そして彼女は、同世代の女優で「アメリカの恋人」とも呼ばれたスター女優メアリー・ピックフォードを姉に持つ俳優ジャック・ピックフォードど出会い、恋に落ちます。


※(美男美女カップル。子供がいなかったことが悔やまれる1枚)

大スターの姉をはじめとするピックフォード一族は、ジャックと、かつてセクシーなショーに出演していた経歴のあるオリーヴの結婚に反対しますが、2人は1916年、半ば駆け落ちのような形で結婚してしまいます。


※(遊び人と言われたジャックのいたずらっぽい笑顔がチャーミングな写真)

若く美しいスター同士のカップルはドラッグやアルコール、ダンスなどに興じて享楽的な生活を送ります。


※(奔放な生活態度とのギャップを感じる無垢な美貌)

そんな中、不幸な事件が起こります。オリーヴ・トーマスの若すぎる服毒死です。


※(黒い布をかぶった神秘的な1枚)

1920年、夫妻はパリに滞在していました。オリーヴは夜中にホテルの部屋で、ジャックが梅毒治療ために処方された塩化第二水銀を睡眠薬と間違えて飲んでしまった……と言われています。


※(少しふくよかですが健康的でSEXYなスタイルをしています)

胃洗浄などの治療も虚しく、数日後に彼女は息を引き取ります。奇しくも「狂騒の20年代」の幕開けとともに、若く美しいまま25年の短い生涯を閉じました。


※(当時の新聞記事、義姉メアリー・ピックフォードと夫のジャックも…)

オリーヴの死はあまりに衝撃的で、現在でも自殺説や夫による他殺説が囁かれていますが、彼女の義理の姉であり2歳年上の女優、メアリー・ピックフォードが後にこれを否定しています。


※(「アメリカの恋人」と呼ばれた子役出身正統派美女メアリー・ピックフォード)

メアリー・ピックフォードは1933年に女優を引退してからも実業家としても活躍し、 1979年87歳まで存命でした。メアリーは弟とオリーヴの結婚に反対の立場をとっていましたが、後に自叙伝で「オリーヴは私がこれまでに見た中で最も美しい瞳を持っていました」と語っています。


※(大型犬と、麦わら帽子のオリーヴ・トーマス)

さらにメアリーの親友でオリーヴより1つ年上の同世代スター女優、リリアン・ギッシュは1993年、99歳まで存命でした。


※ (薄幸の美少女役も似合ったリリアン・ギッシュの若い頃。儚い雰囲気ですが享年99歳の長寿)

リリアンは1987の映画『八月の鯨』にも出演してその若々しい容姿と円熟味のある演技で世間を驚かせ、現役の女優で有り続けました。


※ (1970年にはアカデミー名誉賞を受賞し伝説となったリリアン・ギッシュ)

早世し伝説になることと、長寿であること、女優にとってなにが幸せなのかは意見が分かれる所です。

しかし、運がよければまだまだ女優として活躍できたかもしれない才能と美貌を持ったまま、予期せぬ形で人生の幕が下りたオリーヴ・トーマス。彼女がもし長寿だったら、……。 トーキー映画で天使の声を聞き、カラーフィルムでヴァイオレットの瞳を見ることができたかもしれない、と考えると、残念に思えてなりません。


【参考】
※ The Mysterious Death of Olive Thomas - Silents Are Golden
※ Olive Thomas - allmovie
※ Olive Thomas - FIND A GRAVE


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(星野小春)