不倫は文化?天才美少女カミーユを狂気の老婆に変えたロダンとの愛憎地獄

2017/1/26 11:50 星野小春 星野小春




昨年から、不倫に関する芸能ニュースが途切れることなく続いています。男性側が既婚で女性が未婚であるケースで、ベッキーは例外として、マギーをはじめとする若い女性と年上男性の組み合わせが多い不倫報道。



かつてモデルと不倫を報じられた石田純一の発言に基づいて流行した“不倫は文化”という言葉も度々引用されてきましたが、確かに長い歴史の中では、不倫が素晴らしい芸術作品を生み出し、文化的に大きな貢献をしたこともありました。



そのひとつが、“近代彫刻の父”と称される彫刻家オーギュスト・ロダンと、弟子である美貌の女性彫刻家カミーユ・クローデルの禁断の恋です。あまりにもドラマチックで悲劇的な恋は   イザベル・アジャーニ 主演で映画化もされ、今でも語り継がれています。



可憐な天才美少女が中年の師匠に若さと才能を捧げた末に捨てられ、晩年は精神病院で呪いの言葉を吐く老いた魔女に変貌するストーリーは、権力者と不倫を続けている妙齢の女性に引き際を考えさせる時にはピッタリの、背筋が冷たくなるような地獄絵図です。



しかし、そんな涙と情念を吸い尽くし創作された作品の迫力には、ただただ圧倒されるばかりです。今回は、本当に不倫が文化で芸術になり得た、19世紀の物語をふりかえってみたいと思います。




カミーユ・クローデルは1864年フランス北部で生まれました。 彼女の母親はカミーユを生む直前に待望の長男を亡くし、続いて生まれたのが女の子であった為にショックを受けて失望し、カミーユは母の愛を十分に受けずに育ちます。



その後生まれた妹は何故か母に溺愛され、続いて、生涯にわたりカミーユを支援する弟ポ-ル・クローデルが誕生します。



カミーユは幼い頃から、物語を立体として捉える才能を持った、想像力豊かな少女でした。物語を粘土で再現するなどして遊ぶうちに、いつしか彫刻に興味を抱くようになります。



ある時、カミーユの作品を見た彫刻家アルフレッド・ブーシェが、彼女の才能を見出します。女性は芸術家になることはごくまれで、ましてや力仕事である彫刻家は男性の仕事……と捉えられていた時代背景もあり、家族は彼女が彫刻家になることに大反対しますが、ポールの家庭教師でもあったブーシェの後押しもあり、17歳のカミーユは家族を説得し彫刻の道に進みます。



後に、ブーシェは留学をするため、オーギュスト・ロダンに彼女の指南役を依頼します。

カミーユの美貌、才能、若さに魅了されたロダンはたちまち彼女に夢中になり、内縁の妻ローズとの間に子供もいる身で、彼女を熱心に口説きます。ロダンの才能に敬意を抱いていたカミーユも彼の求愛を受け入れ、2人は恋に落ちます。42歳のロダンに対し、カミーユは19歳の若さでした。



2人は共同で数多くの作品を制作し、ロダンの熟練の技とカミーユの若い感性が混じり合い、情熱的な傑作を生み出します。



しかし、ロダンの内縁の妻、ローズは、ロダンが成功する前からロダンを支えてきた糟糠の妻でした。世間的には、母親のような穏やかな愛情でロダンを穏やかに包むタイプのローズが妻であるのに対し、カミーユは情熱的で刺激的、時にエキセントリックな若い美貌の愛人という立場で見る向きが強かったようです。



ロダンは、2人のどちらかを選ぶことができず、曖昧な態度をとり続けます。 15年も続いたこの三角関係が終をとけたのは、カミーユがロダンの子を妊娠したことがきっかけだったと言われています。



カミーユは中絶し、結局ロダンは、愛人が徐々に若さを失いつつある時期に彼女を切り捨て、母親のように安らげる糟糠の妻・ローズを選びます。カミーユがその時の嘆きを描いたと言われる彫刻『分別盛り』は、悲痛な叫び声が聞こえてきそうな、鬼気迫る迫力があります。



外交官として駐日フランス大使などを歴任し、カミーユのジャポニズム趣味の影響で親日家でもあった弟のポールは著書の中で、

「あの美しく誇り高い女がこんなふうに自分を描いている。嘆願し、屈辱を受け、ひざまずき、裸で。すべては終わった……。彼女は私たちの前に、こんな姿で永遠にさらされているのだ」

と語ったとされています。





カミーユはロダンを失ったショックを振り払うように創作に打ち込みますが、ロダンの愛人だったという醜聞もあり、「淫らだ」、「ロダンの真似でしかない」と、正当な評価が得られず、若さ、芸術性、情熱、あらゆるものをロダンに奪われた結果になります。



内縁の妻ローズと息子がいたものの、法的には、ロダンは死の間際はで独身でした。カミーユにどれほどの罪があったのかと問われると甚だ疑問ですが、魔女狩り的に軽く扱われた1人の芸術家は、徐々に本物の魔女に近づいて行きます。



もともと繊細な芸術家肌の彼女は心を病み、「ロダンがアイディアを盗みに来る」という妄想にとりつかれます。とうとう48歳の時、統合失調症を発症し精神病院に収容されてしまいます。 晩年のカミーユは狂気とともに、30年もの間、精神病院の中で過ごします。ロダンへの憎しみの言葉をつぶやき自分の殻に閉じこもったまま、1943年78歳で、ロダンを恨みながら亡くなりました。映画『カミーユ・クローデル』の中には、「才能は姉を不幸にしただけだった」という、弟ポールのセリフが出てきます。




カミーユの人生を、情熱のおもむくままに念入りに破壊し逃亡したロダンですが、臨終の際は「パリに残した、若い方の妻に逢いたい」と言い放ったそうです。まるで傷ついた被害者は自分であるかもような身勝手さで、ロダンを看取ったローズにとっても、カミーユにとっても、救いのない話ですね。



男性側に悪気がないのもまた、繊細な男性芸術家との不倫が泥沼になりがちなポイントかもしれません。二股をかけられたら三股をかけ返すくらいの狡猾さがなければ、若く美しい女性は崇拝する芸術家に近づかないほうが無難に思える、残酷な不倫物語でした。





死後、カミーユ・クローデルの彫刻は徐々に評価され始めます。ロダンとの合作はもちろん、彼女個人としても、非常に優れた芸術家でした。しかし、ロダンという怪物級の天才の前で、才気あふれる10代の少女は、蟻地獄に堕ちた蟻のように新鮮な才能と若さを吸い取られ、カラカラになってしまいました。



その結果、巨人ロダンの天才的な創造力は超え太り、精力的に恋と創作にのめり込んで歴史に残る傑作を生み出しました。“不倫は文化”、は取り方によっては間違った言葉ではないかもしれません。しかし、文化のために1人の少女が生贄になったことを思えば、芸術家の道に進むことに対する家族の反対もまた、“まとも”であったと言わざる得ません。



※参考- カミーユ・クローデル (文藝春秋社) – アンヌ・デルベ 著、渡辺 守章 翻訳


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(星野小春)