不倫は文化?天才美少女カミーユを狂気の老婆に変えたロダンとの愛憎地獄
昨年から、不倫に関する芸能ニュースが途切れることなく続いています。男性側が既婚で女性が未婚であるケースで、ベッキーは例外として、マギーをはじめとする若い女性と年上男性の組み合わせが多い不倫報道。
新しい記事を投稿しました。 なんでも通信談 : 【芸能】マギーとベッキー、この差は何なのか 「不倫」批判にあまりの違い https://t.co/MLpWckKsTL pic.twitter.com/Sc7XCGxvVb
— なんでも通信談 (@nandemotuusin) 2017年1月20日
かつてモデルと不倫を報じられた石田純一の発言に基づいて流行した“不倫は文化”という言葉も度々引用されてきましたが、確かに長い歴史の中では、不倫が素晴らしい芸術作品を生み出し、文化的に大きな貢献をしたこともありました。
????????ノジャン=シュル=セーヌ『カミーユ・クローデル美術館』 カミーユが子供時代に過ごした場所に、今年3月にオープンしました。彼女の作品群が展示されています。
— ヨーロッパ旅行✈情報部 (@euro_tour) 2017年11月11日
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そのひとつが、“近代彫刻の父”と称される彫刻家オーギュスト・ロダンと、弟子である美貌の女性彫刻家カミーユ・クローデルの禁断の恋です。あまりにもドラマチックで悲劇的な恋は イザベル・アジャーニ 主演で映画化もされ、今でも語り継がれています。
Hier soir j'ai regardé "Thérèse Desqueyroux” et ce soir j'ai regardé "Camille Claudel". C'était dur tous les deux... pic.twitter.com/VoyFiLnHtg
— Bonjour (@BonjourKyoko) 2017年1月10日
可憐な天才美少女が中年の師匠に若さと才能を捧げた末に捨てられ、晩年は精神病院で呪いの言葉を吐く老いた魔女に変貌するストーリーは、権力者と不倫を続けている妙齢の女性に引き際を考えさせる時にはピッタリの、背筋が冷たくなるような地獄絵図です。
#映画で印象に残っている背中
— Anaïs Bisenco (@bisenco) 2016年12月30日
『カミーユ・クローデル』
美貌の女流彫刻家カミーユ・クローデル、彫刻家ロダンの恋人でもある彼女は、ロダンのいくつかの作品のモデルともなっています。
その一つが「ダナエ」。
カミーユを熱演したイザベル・アジャーニの背中と髪の美しいこと。 pic.twitter.com/WymmpSfx8f
しかし、そんな涙と情念を吸い尽くし創作された作品の迫力には、ただただ圧倒されるばかりです。今回は、本当に不倫が文化で芸術になり得た、19世紀の物語をふりかえってみたいと思います。
(1/2) Camille Claudel was a young Rodin assistant. Their affair “both made her and destroyed her.” pic.twitter.com/ul1RJ5I5VV
— Bill Stratton (@bill_stratton) 2016年11月10日
カミーユ・クローデルは1864年フランス北部で生まれました。 彼女の母親はカミーユを生む直前に待望の長男を亡くし、続いて生まれたのが女の子であった為にショックを受けて失望し、カミーユは母の愛を十分に受けずに育ちます。
Camille Claudel,
— La Agencia de Arte (@LaAgenciaDeArte) 2017年1月25日
The little lady,
1896, Marble,
Museum of Art and Industry, #Roubaix, France pic.twitter.com/1kTpL0XBZL
その後生まれた妹は何故か母に溺愛され、続いて、生涯にわたりカミーユを支援する弟ポ-ル・クローデルが誕生します。
El poeta y dramaturgo Paul Claudel se convirtió en Navidad. Conoce aquí su historia. https://t.co/1xdUO4ifxH pic.twitter.com/5OYD47v3I7
— Alfa y Omega (@alfayomegasem) 2016年12月30日
カミーユは幼い頃から、物語を立体として捉える才能を持った、想像力豊かな少女でした。物語を粘土で再現するなどして遊ぶうちに、いつしか彫刻に興味を抱くようになります。
カミーユ・クローデル(Camille Claudel )ロダンの弟子で愛人という評価が根強いけれど…もっと注目されていいと思う彫刻家。
— 猫森 (@meneta_) 2016年6月28日
「ワルツ」と「シャクンタラー」が特に好き。 pic.twitter.com/EX4rCMUfKl
ある時、カミーユの作品を見た彫刻家アルフレッド・ブーシェが、彼女の才能を見出します。女性は芸術家になることはごくまれで、ましてや力仕事である彫刻家は男性の仕事……と捉えられていた時代背景もあり、家族は彼女が彫刻家になることに大反対しますが、ポールの家庭教師でもあったブーシェの後押しもあり、17歳のカミーユは家族を説得し彫刻の道に進みます。
painters-in-color:French artist Camille Claudel (1864-1943) - - https://t.co/jWri1kiiUO pic.twitter.com/Lurx94sHLc
— Zang Media (@Zang_Media) 2016年1月19日
後に、ブーシェは留学をするため、オーギュスト・ロダンに彼女の指南役を依頼します。
カミーユの美貌、才能、若さに魅了されたロダンはたちまち彼女に夢中になり、内縁の妻ローズとの間に子供もいる身で、彼女を熱心に口説きます。ロダンの才能に敬意を抱いていたカミーユも彼の求愛を受け入れ、2人は恋に落ちます。42歳のロダンに対し、カミーユは19歳の若さでした。
Camille Claudel–#Love #Despair and Auguste #Rodin #art #lovestory https://t.co/dBsrTfzuzi pic.twitter.com/ykgWfl1p58
— DailyArtDaily (@DailyArtDaily) 2016年11月18日
2人は共同で数多くの作品を制作し、ロダンの熟練の技とカミーユの若い感性が混じり合い、情熱的な傑作を生み出します。
Les bourgeois de Calais par Rodin by Fabien-Perrochon #photo #foto #photography #fotografia #image #mb #timbeta #be… pic.twitter.com/5H0UxpMAhw
— Rafaela Campos (@rafa_2307) 2016年11月16日
しかし、ロダンの内縁の妻、ローズは、ロダンが成功する前からロダンを支えてきた糟糠の妻でした。世間的には、母親のような穏やかな愛情でロダンを穏やかに包むタイプのローズが妻であるのに対し、カミーユは情熱的で刺激的、時にエキセントリックな若い美貌の愛人という立場で見る向きが強かったようです。
Camille Claudel par Auguste Rodin // Terrible symbole il l'enterre avant son internement ? pic.twitter.com/qU6w2AEihC
— Maddy2 (@AMaddy2) 2017年1月19日
ロダンは、2人のどちらかを選ぶことができず、曖昧な態度をとり続けます。 15年も続いたこの三角関係が終をとけたのは、カミーユがロダンの子を妊娠したことがきっかけだったと言われています。
【ミューズの話②】ショパンとジョルジュ・サンド、アポリネールとローランサン、ロダンとカミーユ・クローデル。後世に残る芸術作品を生み出すにはミューズの存在があるに違いない!ロダンのカミーユの彫刻は、大恋愛の悲惨な結末を物語るような表情をしていて切ないなぁ。(ブ) pic.twitter.com/kDLAYkVqK0
— 美熱女子 (@binetsujoshi_PR) 2017年1月18日
カミーユは中絶し、結局ロダンは、愛人が徐々に若さを失いつつある時期に彼女を切り捨て、母親のように安らげる糟糠の妻・ローズを選びます。カミーユがその時の嘆きを描いたと言われる彫刻『分別盛り』は、悲痛な叫び声が聞こえてきそうな、鬼気迫る迫力があります。
恐ろしい彫刻といえば、カミーユ・クローデルのこれだな。追いすがる彼女自身、去って行く男ロダン、連れて行くロダンの妻。オルセー美術館で見た時は、1時間以上前から動けなかった。カミーユ・クローデルはこの彫刻を完成させ、そして発狂した。 pic.twitter.com/6QvnhcIgB9
— 泰延bot(非公認) (@hironobot3) 2017年1月21日
外交官として駐日フランス大使などを歴任し、カミーユのジャポニズム趣味の影響で親日家でもあった弟のポールは著書の中で、
「あの美しく誇り高い女がこんなふうに自分を描いている。嘆願し、屈辱を受け、ひざまずき、裸で。すべては終わった……。彼女は私たちの前に、こんな姿で永遠にさらされているのだ」
と語ったとされています。
ポール・クローデルと言えば、親日派の文化人で、次の言葉を残している。
— 渡辺 TUNA (@kisaragi3460) 2016年8月17日
「日本は貧しい。
しかし、高貴だ。
世界でどうしても生き残ってほしい民族をあげるとしたら、それは日本人だ。
駐日フランス大使 (1921-27)」 pic.twitter.com/QND056Joej
カミーユはロダンを失ったショックを振り払うように創作に打ち込みますが、ロダンの愛人だったという醜聞もあり、「淫らだ」、「ロダンの真似でしかない」と、正当な評価が得られず、若さ、芸術性、情熱、あらゆるものをロダンに奪われた結果になります。
昨日10/19は、彼女の命日でした。
— 英 (@hana238823) 2016年10月20日
遅れましたが、彼女を偲び、一枚だけ。
カミーユ・クローデル
《フルートを吹く女》ブロンズ
1905年以前
レーヌ=マリー・パリス著
《カミーユ・クローデル》
1989年 みすず書房 より pic.twitter.com/WqRzptldyp
内縁の妻ローズと息子がいたものの、法的には、ロダンは死の間際はで独身でした。カミーユにどれほどの罪があったのかと問われると甚だ疑問ですが、魔女狩り的に軽く扱われた1人の芸術家は、徐々に本物の魔女に近づいて行きます。
#Amor #Pasión #Dolor "Sakuntala" de Camille Claudel 1888 pic.twitter.com/qNun3b0W81
— francisco chávez (@comvatt_123) 2016年2月14日
もともと繊細な芸術家肌の彼女は心を病み、「ロダンがアイディアを盗みに来る」という妄想にとりつかれます。とうとう48歳の時、統合失調症を発症し精神病院に収容されてしまいます。 晩年のカミーユは狂気とともに、30年もの間、精神病院の中で過ごします。ロダンへの憎しみの言葉をつぶやき自分の殻に閉じこもったまま、1943年78歳で、ロダンを恨みながら亡くなりました。映画『カミーユ・クローデル』の中には、「才能は姉を不幸にしただけだった」という、弟ポールのセリフが出てきます。
Camille Claudel, Clotho, 1893, French sculptor branded insane by her brother who committed her to an asylum for 30yrs until death #womensart pic.twitter.com/RDyD0fMQ9E
— ♀ womens art (@womensart1) 2016年12月1日
カミーユの人生を、情熱のおもむくままに念入りに破壊し逃亡したロダンですが、臨終の際は「パリに残した、若い方の妻に逢いたい」と言い放ったそうです。まるで傷ついた被害者は自分であるかもような身勝手さで、ロダンを看取ったローズにとっても、カミーユにとっても、救いのない話ですね。
La Porte de l'Enfer selon Auguste Rodin, ou l'art de sculpter les travers de l'humanité. pic.twitter.com/ZLRd2Xrrnz
— Nawelle Dribine (@NawelleDribine) 2016年12月29日
男性側に悪気がないのもまた、繊細な男性芸術家との不倫が泥沼になりがちなポイントかもしれません。二股をかけられたら三股をかけ返すくらいの狡猾さがなければ、若く美しい女性は崇拝する芸術家に近づかないほうが無難に思える、残酷な不倫物語でした。
Camille Claudel posing for #AugusteRodin pic.twitter.com/UAqtp7AU8x
— Αντίγονη (@ipnotic) 2016年12月4日
死後、カミーユ・クローデルの彫刻は徐々に評価され始めます。ロダンとの合作はもちろん、彼女個人としても、非常に優れた芸術家でした。しかし、ロダンという怪物級の天才の前で、才気あふれる10代の少女は、蟻地獄に堕ちた蟻のように新鮮な才能と若さを吸い取られ、カラカラになってしまいました。
『カミーユ・クローデル』
— 蔵臼 金助 (@klaus_kinske) 2016年5月24日
“カミーユ・クローデル展”で彼女の彫刻を観た時、言っちゃ悪いがロダンより才能があるんじゃないか、ロダンは彼女の才能を吸い取ってたんじゃないかと思ったものです。映画を観て納得しました。#1日1本オススメ映画 pic.twitter.com/wW23BpC3Jm
その結果、巨人ロダンの天才的な創造力は超え太り、精力的に恋と創作にのめり込んで歴史に残る傑作を生み出しました。“不倫は文化”、は取り方によっては間違った言葉ではないかもしれません。しかし、文化のために1人の少女が生贄になったことを思えば、芸術家の道に進むことに対する家族の反対もまた、“まとも”であったと言わざる得ません。
※参考- カミーユ・クローデル (文藝春秋社) – アンヌ・デルベ 著、渡辺 守章 翻訳
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(星野小春)